気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

秘密 小島ゆかり 

2006-03-08 23:26:31 | つれづれ
きみの秘密ぼくの秘密を見せ合はう猫とふたりのクリスマス・イヴ

左手は夕映えやすしともすればたましひ抜けしごとき左手

ぶり大根ぐづぐづ甘し忘年会した人とまた新年会する

寒牡丹見て立つ人のうしろにも寒牡丹あり白を凝らして

父に肖(に)しわれ年を経て母に肖るさびしからねど冬の旅ゆく

(小島ゆかり 秘密 角川短歌3月号)

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短歌3月号の小島ゆかり特集の新作30首から。
例えば四首目。
寒牡丹の咲く場所に立ってる人がいますよ、ということをこういう風に詠うと歌になるんだと思う。寒牡丹がたくさん咲いている様子が窺える。

先日、関西歌会の二次会で、週刊文春に小島さん母子の紹介の記事が載ってるのを見せてもらい、その取り上げ方に落胆した。
世間の歌人への目というもの改めて見たような気がしたが、週刊誌というのはそういうものか。

読んでも読んでも読み終わらない雑誌、本がどんどん貯まる。なんとか短歌人5月号の詠草を清書して送る。

鶯のいろのセーター娘(こ)が着れば華やぐ三月ひひなを仕舞ふ
(近藤かすみ)