気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

プーさんの鼻 俵万智

2006-03-05 00:05:55 | つれづれ
もう会わぬと決めてしまえり四十で一つ得て一つ失う我か

とりかえしつかないことの第一歩 名付ければその名になるおまえ

「これもいい思い出になる」という男それは未来の私が決める

外に出て歩きはじめた君に言う大事なものは手から放すな

揺れながら前へ進まず子育てはおまえがくれた木馬の時間

(俵万智 プーさんの鼻 文藝春秋)

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俵万智の最新歌集を読む。言葉がすっと読めるので、すんなりどんどん読みすすむ。彼女の描く像は、彼女の実像と限りなく近く見える。それを確信犯として作っているのだろうけれど、読者のかなりの割合が本当のことだと読むと思う。すんなり読めても、すんなり読んではいけない。いや、それとも捻くれてしまった私がいけないのか?