気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2006-03-13 21:46:56 | 朝日歌壇
ユリカモメあおぞら領す発(た)つものと居残るわれと春疑わず
(浜松市 松井惠)

夜に来て明日帰る子が月光を青くくずして雪下ろしいる
(山形県 清野弘也)

棺桶に歩いて入るが目標とウォークの会長(おさ)の挨拶
(宇都宮市 河西弘正)

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一首目。青空を介して、飛ぶユリカモメと地上で見る作者との対比があざやか。結句「春疑わず」で、一首がひきしまる。
二首目。この冬、雪が多かった地域の親孝行な子供さん。月光を青くくずして、という表現が美しい。
三首目。ウォーキングの会の会長さんの挨拶のことを詠っているようだ。いくらなんでも、これじゃあ自殺じゃないか。だがこれほどの過激さで歩いている会長さん。「かいちょう」とせず、かい、おさの・・・と読ませるところに息継ぎがある。いや、それとも会員全員が棺桶に歩いて入るのを目標とする会で、その長の挨拶?それならもっと怖い。

ストーブの残りの灯油の気にかかる三月なかば三色だんご
(近藤かすみ)