その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

週末弾丸奈良・京都旅(2):朝のゴールデンタイムの二月堂・法華堂

2024-05-28 07:30:28 | 旅行 日本

朝ランから戻ってシャワーで汗を流したら、ホテルに荷物を預けて7時半にさっさとチェックアウト。朝のゴールデンタイムの東大寺界隈の散策に出ました。

この近辺で私が最も好きなエリアである二月堂と三月堂(法華堂)を目指して歩きます。時間の関係で今回は大仏殿もパス。境内は朝から鹿さんたちが闊歩してます。


(南大門前の参道の鹿さん。「引っついてくるんじゃないよ」と言われているよう)

5月の奈良は過去に何度か訪れてますが、ここまでの快晴の奈良はあまり記憶がない程。大仏殿の奥から裏参道を上って二月堂へ。本堂の舞台から奈良盆地を見渡します。真っ青の空の下、澄んだ空気は透明度高く、濁りを一切感じません。風景を見ながらぼーっとしていると、お寺の焼香の匂いが鼻をくすぐり、ウグイスのさえずりが聞こえます。更に耳をすますと、水の流れる音、参拝者が鳴らす鈴の音、お賽銭箱に吸い込まれる硬貨の音、音の風景も楽しめます。


(二月堂裏参道)


(二月堂の本堂の舞台から奈良盆地を見下ろす)


(二月堂本堂)

続いて、隣の三月堂(法華堂)へ。天平五年(733)年の創建とされ、東大寺の中でも一番古い建物として知られています。私は多くの仏像が鎮座されている堂内が最高に好きな空間です。ご本尊の不空羂索観音立像を中心に梵天と帝釈天が脇を固め、前方には金剛力士のペアや増長天、持国天が立ち、背後は広目天、執金剛神(秘仏)、多聞天が守ります。10体すべてが奈良時代に作られたもので、国宝です。これ以上の布陣は無いと言っても良いでしょう。


(法華堂。中は撮影禁止)

そして、仏像の歴史的・文化的価値を差し置いても、この空間に一歩入り込んだ途端にその緊迫した雰囲気に打たれない人はいないのではないかと思います。完璧な静寂のお堂内なのですが、それぞれの仏像が今にも動き出さんばかりの躍動感を持っていて、その静と動の混在から生み出だされる空気の荘厳さが凄まじい。

開門は8時30分からのはずなのですが、到着した8時20分にはもう入れるようになっていて、先客もいらっしゃいました。このお堂有難いのは、内陣に向かって小上がりがあって、そこに腰かけて仏様達と会話ができるのです。御尊顔を見つめたり、その作りの全体を眺めたり、踏みつけられている邪鬼の気持ちを察したり、30分程があっという間に過ぎてしまいます。5人程の参拝客が小上がりに座って、夫々の思いで、黙って仏様と会話しています。考えてることは夫々違うでしょうか、この静寂の中で感じるものはきっと同じ感覚なのだろうと思ったりしました。

9時を回ったところで退出し、今回の旅のハイライト「空海展」を観に奈良国立博物館を目指して、山を下り始めました。


(鐘楼(国宝)と鹿さん)


(梵鐘(こちらも国宝。重さ26.3t・・・と言ってもどのくらい重いのか良く分かりませんが・・・)


(朝日に新緑が映えます。鹿も嬉しそう)

5月25日7時40分~9時20分

 


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