その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響/ファビオ・ルイージ メンデルスゾーン・プログラム

2024-05-19 07:30:25 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


(夕刻の代々木公園)

先週のAプロがレスピーギのローマ3部作という派手なプログラムだったの対して、今週のCプロはメンデルスゾーン2曲という地味プログラム。あっさり行くのかと思いきや、どうしてどうして、力籠った、充実の演奏会でした。

前半の「夏の夜の夢」は、劇自体、私がシェイクスピア喜劇の中では最も好きなもの。メンデルスゾーンの序曲も組曲も好みです。冒頭の神田さんのフルートから始まって、終始、N響は個人技、合奏ともに素晴らしい。神秘的だったり、ワクワクしたり、ロマンティックだったり、華やかで、場面場面を想像しながら聴くのは実に楽しかった。

後半の交響曲第5番「宗教改革」は数年前に鈴木ジュニア(優人さん)の指揮で聴いているはずですが、あまり記憶に残っておらず(ゴメンナサイ)。ほとんど初めての感覚で臨みましたが、期待以上に聴きごたえのある音楽と演奏で大いに感銘を受けました。確かに「宗教改革」とうたうだけあって、バッハに通じる宗教的な音楽が組み入れられ(第4楽章冒頭はルターが1529年に作曲したコラールの旋律が使われているそうです(Wikiから))、荘厳さを感じつつも、ど真ん中直球の宗教音楽とは一線を画します。バッハ的な教会音楽も「モダン」になるとこう進化するんだと、妙に納得でした。

私にはむしろ、この楽曲のより劇的でダイナミックさに魅かれました。ルイージさんの熱い指揮に引っ張られて、N響も熱量高く応えます。管弦楽の合奏の厚みが豊で、個人技も冴えていました。第4楽章のフィナーレ部分の盛り上がりは、背筋が伸びました。決して、予定調和的な感動お約束のプログラムでは無かったはずですが、今回の充実の演奏は、ルイージ/N響の底力を改めて認識させるものでした。

余談ですが、〈開演前の室内楽〉が出色でした。ラヴェルの〈マ・メール・ロワ組曲〉を編曲した竹島さん自身も打楽器で登場し、管楽器メンバーが加わって、美しく楽しい演奏をご披露頂きました。観衆に大受けで、私の知る限り初めての〈開演前の室内楽〉のカーテンコールでの呼び戻し。この室内楽企画は今季限りとのことで、残念です。




定期公演 2023-2024シーズンCプログラム
第2011回 定期公演 Cプログラム
2024年5月17日(金) 開演 7:30pm(休憩なし) [ 開場 6:30pm ]

NHKホール

メンデルスゾーン/「夏の夜の夢」の音楽-「序曲」「夜想曲」「スケルツォ」「結婚行進曲」
メンデルスゾーン/交響曲 第5番 ニ短調 作品107「宗教改革」

指揮:ファビオ・ルイージ

開演前の室内楽
ラヴェル(竹島悟史編)/組曲「マ・メール・ロワ」

クラリネット、小クラリネット:伊藤 圭
ファゴット、コントラファゴット:水谷上総
トランペット、フリューゲルホルン:長谷川智之
トロンボーン、ユーフォニアム:新田幹男
打楽器:竹島悟史


<開演前の室内楽で打楽器が登場するのは最初で最後?>

Subscription Concerts 2023-2024Program C
No. 2011 Subscription (Program C)
Friday, May 17, 2024 7:30pm [ Doors Open 6:30pm ]

NHK Hall

Program
Mendelssohn / A Midsummer Night’s Dream —Overture, Nocturne, Scherzo, Wedding March
Mendelssohn / Symphony No. 5 D Minor Op. 107, Reformation

Conductor: Fabio Luisi


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