2024年は法然が開いた浄土宗が開宗850年を迎えるという。それを記念してかどうかは分からないが、東博で法然を特集した特別展が開催中であったので足を運んだ。法然ゆかりの宝物・文化財が多数展示されている。
昨年の京都で開催された「親鸞展」で釘付けになったが、個人的に興味を引くのは「絵伝」。当時の人々や風俗が描かれるので、想像を働かせて読み解くのが楽しい。今回も鎌倉期、江戸期の「法然上人絵伝」が多数展示してあり、江戸期のものは色合いも美しく保存されていた。たまたまかもしれないが、今回の展示は、市井の人々の描写は多くない場のものの展示が中心だったのは残念だった。それにしても、念仏唱えれば、だれもが極楽往生できる、というシンプルなメッセージは当時の人々には相当なインパクトだったろう。
東京会場の見どころとしてPRされていたのは、増上寺や祐天寺など関東の浄土宗寺院からの宝物。増上寺の狩野一信筆という「五百羅漢図」は色鮮やかで、表情豊かな羅漢様達が、飛び出してきそうなリアリティだった。まあ調べればわかることだが、浄土宗ってそもそも庶民が普及の担い手だったはずだが、徳川家の菩提寺が浄土宗の増上寺であるというのも興味深い。
印象的な展示は、最後のコーナーで展示されていた香川県法然寺にある立体涅槃群像。通常絵で絵が描かれることが多い仏の涅槃シーンだが、絵が彫刻になって、3次元に飛び出しているのである。東寺の立体曼荼羅さながら、立体涅槃像群は迫力エンタメとしても楽しめた。
会期は6月9日までです。
(以下、立体曼荼羅)
〈構成〉
第1章 法然とその時代
第2章 阿弥陀仏の世界
第3章 法然の弟子たちと法脈
第4章 江戸時代の浄土宗