バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

マッドウエストLIVE、熱気と熱狂そして酸欠気味。

2015-06-29 | ライヴ報告
『絵金縦遊伝』を観て大急ぎでバイユーへ戻りマッドウエストのリハーサルへ。ダイヤが乱れていた中央線を回避したのが正解で、なんとか間に合い安堵。
そしてエアコン無しの湿度と熱気たっぷりのスタンディングLIVEへ突入したのでした。

地元の星ザ・マッドウエストはこの日のために特製うちわを作ってきてくれました!
先着30名に配られたこのうちわ、LIVE中も大活躍でした~。
近くで横河武蔵野FCがあり、味スタではドイツへ旅立つFC東京武藤選手のラストマッチが行われていることもあって開演前の会話からサッカーの香りの漂う夜となりました。
第1部はアコースティックな手触りの曲を中心に。とはいえダンサブルなのは同じこと。激しく盛り上がる。


第2部はいつも通り、いやそれ以上に暑さと熱さをまき散らすマッドウエスト!

更に更に盛り上がる客席!楽しい!!でもそれ以上に熱い~。次第に酸欠気味…。

過酷な状況なLIVEになりそうで事前に心配していたのですが、確かに暑くて厳しかったものの非常~に楽しくやれました。本当に良かった!なんというか熱くて暑くてハイになりましたね。
この状況で素晴らしいLIVEをキメてくれたマッドウエストに、加減する事なく盛り上がってくれたお客様方に感謝です。

そして、機材が充分でない中でしっかり楽しませてくれたD.J.もっさんには感激しました。もっさんありがとう!

『絵金縦遊伝』を堪能!

2015-06-29 | イベント報告
土曜日はバイユー出勤前に中野プランBへ。
神山てんがい主演、渦ヨーコプロデュースの芝居
『絵金縦遊伝』を目撃に行きました。

幕末の土佐を舞台に幾多の謎に包まれた絵師金蔵、絵金の生涯を舞台化するこの企画、今回は金蔵とその妻・初菊を描いた「二人芝居版」。
場所は初演と同じプランB!幾多の名演が繰広げられた場所に再び絵金が現れます。
バイユーではお馴染みのてんがい&渦の二人。彼らのこの舞台に賭ける熱は本当に凄い。初演の一人芝居は舞台が放射する熱量に圧倒されたものです。
そして今回もやっぱり凄かった。
正直よーやるわって世界。この情熱は感動的です。
構成も内容も面白く、2時間を越える芝居が長く感じませんでした。初菊役の上森ひろみさんの熱演にもグッとくるものがありました。ナカヒラミキヒトくん、阿坐弥さんの演奏陣の斬新な解釈、表現も印象に残りました。
未見の方は是非!と言いたいところなのですが昨夜日曜日との2日間4公演で終了しております。興味を持たれた方はまたの機会に是非

そしてワタシは終演するやいなやバイユーへ。
マッドウエストのリハーサル~灼熱LIVEへと突入するのでした。

今夜6/27(土)はザ・マッドウエストLIVEです!

2015-06-27 | イヴェント案内
6月27日(土)
THE MAD WEST PRESENTS
『呑んだくれは酒場に還る』


出演:ザ・マッドウエスト

  D.J.もっさん(理由アリ)
開場19:00 開演20:00 料金1000円(+要1drinkオーダー) 

★地元の星『ザ・マッドウエスト』。スカやロックンロールを雑多に演奏する男クサ~くてとっても洒落た奴ら。
「飲んだくれは酒場に還る」バイユーLIVE(スタンディングスタイル!)は毎回大いに盛り上がります!楽しめること保証付き!そのうえ低料金!!素晴らしい!
延焼被害により、いまだ屋根に穴があいた状態でエアコンも使えない現在のバイユー。暑さに負けず企画したマッドウエストの男気に感謝です。しかし、感謝はしても暑いはず!みなさん是非薄着でどうぞ

アナログレコード復活!

2015-06-26 | ある日の出来事
一昨日のバイユー、ひとつ良い事がありました。

なんと被災以来途絶えていたアナログレコード再生環境が復活しました!

バイユーお客様の重鎮、ご意見番?で、ベーシスト。オーディオセッティングを本業とするAさんが、現在の不十分な機材での再生環境復活に取り組んでくださいました。

これまでずっと乾燥させていた2台のレコードプレイヤー。細かくチェックして頂いたのですが、なかなか通常の形での再生は困難でした。しかし、そこはプロのワザ。プレイヤーの出力部分に手を加え…などなど。完全ではないながらアナログレコードの再生が可能となりました!!!
最初、機材故障の為なかなか両スピーカーから音が出なかったのですが、太い音が出た時の感激といったら…。
自分としては普通に喜んでいたつもりなのですが、どうやらかなりの喜びようだったようです(笑)半年以上ぶりのレコードの音!やっぱり俺はアナログレコードの音が大好きみたいです!!

Aさんが最初にかけたのはジョニー・ウィンターの『ロックンロールフーチクー』!

あれ以来、レコードの並びがめちゃくちゃになっているので手近にあるものから選んで頂いたのですが、グッとくるセレクションでした~。
ジョニー!こんなに湿地帯臭のするサウンドだったんですね。素晴らしい!!

その後は数ヶ月前、下北沢フラッシュディスクランチで購入したまま聴けてなかった盤を次々と…。アイズレー、最高でした。

まだまだ100%ではないですが、とりあえずしばらくはこの状態でレコードバンバンかけて行きます!

機材を買えばもっと便利になるのはわかっているのですが。まだ漏水が有り、今後どこから漏れてくるかわからない現状、建物の先行きが不透明な現状では新たな機材の購入に踏み込めないのをご理解いただければ、と思います。

でもとりあえず嬉しいです。
閉店後片付けながら、いろいろと聴いていったのですが久しぶりのレコードの音!
やはり素晴らしい。

A山さん本当にありがとうございました。

JBの映画!身体が動きます!!

2015-06-24 | 映画
JB映画、ようやく観てきました~。あっという間の139分!ひとことで言って面白い‼
作りモノの映画で色々言う人もいるかと思いますが、文句なく楽しめます。
JBを少しでも好き、とか興味がある、という人は(今の上映はあと少しで終わりそうだけど…)絶対にスクリーンで観ることをオススメします‼︎

音はホンモノのJB、
デカイスクリーンで観ると身体が動きます!!

『絵金縦遊伝』今度の土日です!

2015-06-24 | イヴェント案内
いよいよ今週末に近づいてまいりました。
いわゆる「最後のお願いです!」です(笑)
バイユーゲイト応援企画、
神山てんがい&渦ヨーコ渾身の舞台
『絵金縦遊伝』
バイユーでチケット販売しておりますし、ここへの返信で予約でも結構です。計4回公演、お時間のある方は是非。
※写真の女性は渦ヨーコではございません。ネンノタメ。

詳しくはこちらを。

ジム・クエスキン&サモア・ウイルソン&グレイトバンド!素晴らしい音楽に包まれて幸せな気分になりました

2015-06-22 | 音楽
日曜日は曙橋バックインタウンにジム・クエスキン&サモア・ウイルソン、ジャパンツアー最終公演を観に行ってきました。
僕は初ジム・クエスキンでした。

そんな昨夜、もちろんジムは目当てだったけれどそれ以上にこのツアーの為に組まれた日本人バックバンドの音楽を聴くのが大きな目的でした。

そのバンドはバイユー出演をきっかけに意気投合して仲良くなったマンドリン奏者井上太郎が選んだものでバイユーのお客様方にはお馴染みのクラリネット奏者・近藤哲平(ゴールデンワックス・オーケストラ)が抜擢されていました。哲平くんを応援している身としては嬉しいこと、そしてジムの音楽を愛している哲平くんが共演を喜んでいることも僕にとって非常~に嬉しかった。今や日本一のマンドリン奏者といわれる太郎が彼を選んだというのも嬉しかった。加えて金沢公演ではW.C.カラス先輩がオープニングアクトで出演。カラス清先輩も喜んでいてツアーの様子をチェックするのも楽しく、なんだか観る前から嬉しい気持ちでワクワクしながら会場に向かったのでした。


実は白状すると、自分はとてもジム・クエスキンのファンとはいえない人間でした。もちろん彼の音楽は知っているし、どういう方かも知っている。ルーツミュージック好きですから、当然彼の音楽は好きです。でもこれまでの来日も「へー来るんだ」と思いながらも行っていないし、足を運んだ知人友人から素晴らしさを聞いても「いいね~」と軽い反応でした。なので今回も太郎や哲平くんを含めたジム・クエスキンバンド!というのが大きな魅力だったのでした。

満員の店内。太郎とベースの岩見継吾くんのデュオに途中からハンバートハンバートの良成くんが加わるという編成のオープニングアクトが始まった時から良い雰囲気。客席の空気も大事です。あ、良いLIVEになるな。と思うものです。

そしてジム・クエスキン。とにかく素晴らしかった!
最初のジムのギターの音一発で自分の身体が気持ちよく反応し「あ、これは素晴らしい!」と理解しました。75歳のジム、バックバンドもいることだしまさかあんなにクッキリとした音でビート感も気持ちいいギターを弾き演奏をリードするとは思わなかった。そして深みがあってあたたかい歌声。

※写真はトムズキャビンFBからのものです。

ジムのお気に入りのシンガー、サモア・ウィルソンも(失礼ながら)予想外の素晴らしさでした。綺麗でセクシーな歌の上手いお姉ちゃんくらいに思っていたのですが、実際にナマで聴くと押し付けがましくなく歌を慈しむような歌い口になんとも説得力があって素敵な歌手でした。セクシー系?との印象も(露出多めながら)ステージでの佇まいからそのようなところは感じられず、逆に地味目にさえ思えました。やっぱりナマで聴かなきゃわからないもんです。

そしてそんなジムをサポートするバンド!!ツアーで濃密な時間の中、8本のLIVEをこなし最後の9本目。ほとんど生音かというようなバンドサウンドがとにかくふくよかで気持ちいい。柔らかな手触りなのに強くて厚みと弾力がある。月並みな表現だけどスウィングしているというのかな。緩急、そして各メンバーの押し引きが絶妙で素晴らしい。めくるめくアメリカンルーツミュージック絵巻が目の前で繰広げられてゆく…。

一番後ろの席から観ていたのですが、音楽を熱心に聴くようになって35年近く、こうやって素晴らしい音楽に包まれてじっくり味わいながら時間を過ごす喜びを改めて感じてなんとも幸せな気持ちになりました。血が沸騰!するような興奮の時間ではないのですがじんわり2時間に渡って感激が持続する、あったかいLIVEでした。

※写真はバックインタウンFBからのものです。

哲平くん、素晴らしかった。かなりグッときました。彼の演奏からは演奏している音楽に愛情を持って入りこんでいる気持ちが滲み出てきます。本気度が愛おしい。
そして改めて太郎が凄いミュージシャンなんだということを再認識。上手い、ではなく凄いのひと言。

終演後、火事のことを心配してくれる太郎。「またバイユーでやるよ。行くよ。(俺:ちゃんと店がなおったらな~)いや!すぐ行くよ」と勢いのある好漢ぶり。嬉しかったです。

ジムの希望でこの日のみ参加したギタリストの有田純弘さん、この方も凄腕でした。ぶっつけに近い形だったそうなのですがバンドの演奏にとけ込んで時に上にはみ出す素晴らしい演奏。驚きました。調べると、有名な方なんですね~。
前述のベースとフィドルも素晴らしく、伝説的なミュージシャンを最高の形で支える日本人バンドの素晴らしさに、なんだか誇らしいような気分になったものです。
実際ジムは「このバンドをアメリカに持って帰りたい」とまで言っていたそうです(全員のフルネームを完全に覚えていて、ソロの時に「テッペイ!」とか声をかけるのが素敵でした)。

休憩なしの2時間のショウ。アンコールの最後には自然とスタンディングオヴェイション多数(俺も!)。

終演後はすぐにサイン会。もうすっかりジム・クエスキンファンとなってしまった僕はCDと、主催の麻田さんが「前回来日時に気合いを入れて作ったのに大量に売れ残った」と言っていたジャクバンド冊子をこのコンサートに敬意を表して購入。
サイン会は元からのファンではないので遠慮しようと思ってたけれど…なんだかとてもフレンドリーな余裕のある雰囲気で和やかにお客さんがジム・クエスキンを囲んでいたので、せっかくだからと後ろに並びサインをいただきました。「素敵なショーをありがとう」と伝えると笑顔で返してくれたジムさん。おお、素敵な人だ~。
居合わせたMえさんが「有さん、写真撮ってあげるよ」と言ってくれたのでジムさんとサモアさんと撮影。

終始バタバタしていなくって、なんとも良い感じ。近くにいる主催の麻田さんも笑顔で話していて、バンドメンバーも周りでお客さんと談笑。
ブルース&ソウルレコード誌のジャグバンド特集を持参してジムさんを囲んで盛り上がっている方々も(GWO、Y本さん)。音楽好きの幸せなひと時って感じ。
トムズキャビン、素晴らしいです。

しかし75歳のジムさん、この日は昼の部もたっぷり2時間演奏したとのこと。計4時間。終演直後のサイン会でも穏やな笑顔で元気。素晴らしい!是非、また来て欲しいと心から思いました。

写真は同じく会場に居合わせた(同じく哲平くん目当てで)A山H夫さんと哲平くんを挟んで記念撮影。

無事届きました。ネパール震災支援義援金についての報告。

2015-06-17 | イベント報告
5月2日&9日にバイユーゲイトにて開催したイベントと店頭で集まったネパールへの義援金について、無事目指す場所に支援が到着した報告です。

「義援金報告」ここまでの経緯に関してはこちらをご覧下さい。

5月22日に下北沢パラッツオの林田さんに、現地に入るMIZOさんに託すお金を渡してきたところまでお伝えしましたが

5月30日にMIZOさんこと溝口さんが支援先の小学校の先生に会いお金を手渡す事が出来たとの連絡を頂きました。

そして先週末、その受け渡し時の写真が届きました(5月30日の手渡し報告後、溝口さんが現地でネット環境に戻れなかったとのことで写真の到着に時間がかかったようです。僕も写真を待っていました)。

支援先の小学校は溝口さんが暮らすランタンへ向かう途中の小さな村にあるのですが、政府によりカトマンズから先への立ち入りが禁止されていたため
支援先の小学校の先生に連絡をとってカトマンズまで受け取りにきてもらったそうです。写真はその時のもの。

領収書は使い方を間違っていますが(笑) 宛名が先生。210万円ではなく、21万円~( , )に1マス使った為見辛い~。 下にKsで書いているの両替後の現地通貨。円安でレートが下がり両替屋でかなり粘って170940ルピーだったそうです。 判子を押している溝口さんが預かり、宛先の人に渡しましたの意だそうです。
※義援金は下北沢パラッツオからのお金も足して21万円でした。

その後、林田さんと先生の連絡も取れており村人と協議をして使い道を決めるそうです。 民家が60軒ほとんどの家が壊れたので屋根用トタンに使われそうだとのこと。
溝口さんは先生に対しカトマンズまで呼んだからとバス代も渡してくれたそうでありがたい。ちゃんとした方で良かったです。

とにかくダイレクトに貢献できて本当に良かった。 出演者の方々をはじめ、諸々こちらを信用してくれた皆様に感謝しています。ありがとうございました。

以上少し遅くなりましたがご報告いたしました。

バラムアリゲイターズをみなさん是非!!

2015-06-15 | 音楽
先日、飲みにいらっしゃったTイさんが「ウエダくんこれかけて~」と差し出したCDを見て「おおお!コレ!!なんスか~」と大興奮なオレ。

『BAYOU-DEGRADABLE / THE BALHAM ALLIGATORS』
ニック・ロウの片腕としても知られるピアニスト&アコーディオンプレイヤーそして素晴らしいギタリストでもあるゲライン(ギャレイン?)・ワトキンスが率いたパブ・ロックバンド『バラムアリゲイターズ』(かつて日本盤ではゲラントやゲライントの表記を見たことがありますが、日本での呼び名が定着してはいないようなので音源の中で聞こえる「ゲライン」としておきます。彼のソロアルバム群は最高の中の最高です!)。
アメリカンルーツミュージックを愛好するパブロック勢の中でも屈指の深南部派。ブルースというよりも南部のスワンプポップ、ケイジャンの香りたっぷりのサウンドはスキモノには堪りません。それでいてイギリスのパブサウンド臭濃厚なオリジナルな手触り!こういうリアルに生活、土地の香り豊かなミクスチャー度合いには心底グッときます。本当に最高なバンドです!

以前から大好きなのですが、お薦めしてもなかなか入手が難しかった彼らの作品が一挙にまとめられたのがこのCD。2枚組、LIVE盤を含む全4枚のアルバムの曲が44曲たっぷりと収録されています。
ファーストアルバムからは2曲カット、サードアルバムのLIVE盤からは3曲カット、セカンドと4枚目は全曲収録。そしてファーストシングルのAB面収録という内訳。
「目玉はシングルかぁ他は持ってるしなぁ」という方もいるかもしれませんが僕は素直に嬉しさいっぱいです。手軽にまとめて聴ける素晴らしさ!並び等の聴き心地も良く、デザイン&ブックレットも素敵です。
アルバムタイトルはよくわかりませんが…化学分解?分解性??。

名前は知ってるけど~という方、絶対に楽しめるのでこの機会に是非。なによりこのCDの売上げが良ければ彼らの今後の活発な活動(バンドでやるかどうかはともかく)が期待できると思うのです。

リリースは去年暮れなんですね~教えてくれたTマイさん感謝です。

五十嵐正史 竹内浩三を歌う 素晴らしいです。

2015-06-10 | 音楽
自分が音楽に感激する判断基準のひとつに「熱」がある。
聴いている者の体温を上げ、強烈に揺さぶり音楽に巻き込む熱気。その音楽表現から沸き起こる、無視する事ができないほどの「熱」。熱量の大きい音楽には有無を言わせぬものがある。
LIVE、生演奏ではその場に作り上げた空気や温度、風景も一緒になって攻めて来る。音楽ジャンルや諸々を越えてねじ伏せられる体験を何度か味わったことがある。
録音物の場合は、「熱」を届けるに多くの関門がある。音盤を飛び出してスピーカーをくぐり抜け辿り着いてくるには強靭な熱量が必要だ。

生意気言うようだが、浅はかで軽薄な熱モドキには騙されないよう50年近くかけて感覚を鍛えてきたつもりだったりもする。

一昨日。月曜日のバイユー閉店後、深夜の店内でこの音盤にヤラれた。

ひたぶるにただ 五十嵐正史 竹内浩三を歌う / 五十嵐正史



五十嵐正史&ソウルブラザーズとしてバイユーにも定期的に出演してくれている五十嵐くん。
彼が、1945年フィリピンに於いて23才で戦死した竹内浩三の残した詩に曲をつけ、歌った作品だ。

竹内浩三は三重県出身。東京で映画学科の学生として大学生活をおくり、映画を見ては食べ飲み歩きくという日々を過ごした。文学、酒、女の子が大好きな(モテなかったようでよくフラれらようだ)今も自分たちの周りに居そうな男。
そんな男が大学を繰り上げ卒業させられ、戦地へおくられた末、命を落としました(生死状況は不明)。文学青年であった彼は陸軍入営後も含め、多くの詩や絵を残しました。

そんな竹内浩三作品に29才で出会った五十嵐くんは16年かけて少しずつ曲をつけた。
そう、日々の暮らしそして音楽活動の中でじっくりと詩に向き合い曲をつけていったのだ。次々にではない。なので選ばれた詩、つけられたメロディには16年の時間や暮らしのなかでタイミングを含めそれなりの理由があるのだと思う。

こんな風に、遺した作品に向かい合ってもらった竹内浩三は幸せだと思う。いや、彼は非道な国家と戦争の犠牲になったので幸せではないから、
「彼の作品は幸せだと思う」。

LIVEで竹内作品を歌う五十嵐くんとソウブラも強烈に心に響くが、この音盤に込められた熱量はそれ以上に凄い。
…比べるのが間違ってますね。別の種類の凄さです。

どういう音楽が録音されているかある程度知っていた自分が、店内を片付け翌日の準備をしていたダラけた俺が、スピーカーから出てくる音楽に釘付けになった。
とにかくもの凄い情熱、熱量。

1曲目『骨のうたう』から耳を奪われた。

戦死やあわれ 兵隊の死ぬるやあわれ
とおい他国で ひょんと死ぬるや
だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや
ふるさとの風や こいびとの眼や
ひょんと消ゆるや
国のため 大君のため
死んでしまうや
その心や…

と歌われる音の隙間に漂う空気に圧倒される。

反戦、体制批判そんなシンプルなメッセージではない。

俺たちと同じようななんら生産性のない行為や毎日に情熱を傾けている「決して立派でない男」が日常をうたい、やがて大切な「個」を奪われてゆく様を作品として遺し。遺された作品が70年後に同じような精神世界でちょっとだらしなく暮らす僕らのメロディに乗せて歌われる。そんな音楽なのだ。

実際五十嵐くんは自身のブログで「彼の遺した詩を歌にしたぼくのCDを、チンケな戦後の嘘っぱち反戦平和の政治世界の道具にすることは絶対にありませんが、彼のようにクソみたいな時代でもひたぶるに自分を生き切った証しを、誰か一人にでも伝えられたら本望だと…」と記しています。

どうしようもない、ロクデナシな「個」でも個は個。
それを侵すような輩や流れに抗うことは今の自分たちにとっては当然で、それは政治的でもなんでもない。

少し知るに竹内浩三は素晴らしい才能の持ち主で有ると同時に、なかなかにダメなヤツでもあったようだ(笑)それも伝説の芸術家のような破天荒さではなく、今の俺たちと大差ないダメさ加減。リアリティがあります(ゆえに日常をうたった作品が沁みるのです)。

そんな詩の数々が五十嵐くんの溢れ出る情熱によって~映画も見れない、ロックンロールもできない(竹内浩三はロックンロール知らないか~)ようになってしまった時代と、2014年(昨年リリース)の身近な空気を繋いでくれる稀有な音楽作品となりました。

このアルバム、音楽のテイスト的には普段僕がお薦めしているタイプのものとは違うかもしれませんが、「この音楽を作りたい歌いたい」という圧倒的な熱に包まれた素晴らしい作品です。
とても強いのに押し付けがましくなくって、僕は大好きです。

明らかにちょっとおかしい今の時代、多くの方に聴いて頂きたい作品だと思います。

ご購入はこちら
バイユーゲイト店頭でも販売しております。



ムサパラ&ザ・マー!なんだか懐かしかったです!!

2015-06-09 | ライヴ報告
あの火事からちょうど半年。7日、日曜日は『ムサパラ&ザ・マー』という普段バイユーに集っている方々にとっては興~味津々なLIVEでした。

7年前?8年前?バイユーのカウンターに集うお客様方によって結成されたムサパラ(a.k.a.ル・オードムーゲ)。そしてこれまたバイユーゆかりの漫画家先生二人を中心に結成したザ・マー。
ムサパラは幾度かメンバーチェンジがありながらも、バイユーで行われるパーティや外での主催イベントなどでハウスバンドのように活躍。ザ・マーはその兄弟バンド的な存在です(大御所漫画家先生二人が若くて上手い人を集めて結成するという選択肢もあったであろうにロックバンドの潔さ!初心者中心に結成したため初期はムサパラの面々が演奏アドバイスもしていた)。

この組み合わせは本当に久しぶり。
ムサパラ♂~ザ・マーA~ザ・マー~ムサパラ~ムサパラ&ザ・マーと入れ替わりながら今回も楽しく、大真面目に音楽絵巻が繰広げられたのでした。

特にムサパラの演奏はこれまでの普段のバイユーの風景を思いださせるもので、なんだか懐かしく感じました。
いつも真剣勝負!のザ・マーはアコースティックセットも聴かせてくれるなど、新境地を見せてくれました!



バイユーいいところだね!と思いました。


五郎さん素晴らしかった!圧倒されました。

2015-06-09 | ライヴ報告
土曜日は1年振りの中川五郎+五十嵐正史&ソウルブラザーズLIVE

今年の早い時期から「今、バイユーでやりたい」と声をあげていてくれた五郎さんとソウブラのみんな。熱い、グっとくる演奏を時間を届けてくれました。
心より感謝します。ありがとうございました。

不安定な場所に登ってコワイコワイと言いながらハジケる勇姿。

「梅ちゃん以外は要らなかったのに」と五郎さんにイジラレながら、先攻を務めたソウブラ。

真摯なステージ。気持ちが入ってるのが強く伝わってきて思わず恐縮してしまいそうになる素敵な演奏でした。

社会的メッセージ性の強い音楽を素朴なアレンジで親しみやすく聴かせる彼ら。市井の声を、生活の匂いを響かせるような歌声は、彼らのようなスタイルの音楽を好む人以外にも歩み寄り耳を傾けさせる説得力が増して来ているように感じました。なんというか腰の低い力強さと言いましょうか。
まっすぐで気恥ずかしいと思う人もいるであろう表現、そんな風に感じる人たちにも彼らのソウルフルさは伝わるように思います。

そして五郎さん。

参りました。これくらいやられれば参りましたとしかいいようがありません。歌い、演奏しなければおかしくなってしまう。
「世の中がおかしな方向に進んでいる」今歌う圧倒的なリアリティ。そして説得力。
9時過ぎに始まって11時過ぎまで繰広げられたLIVEは、音楽的嗜好やメッセージ表現の嗜好を遥かに凌駕した有無を言わせぬものでした。

自ら感銘を受けた他人の詩を含む大量の歌詞をそして楽曲を、一切譜面を見ることなく全開で歌い弾く姿。人前で楽器を弾く人なら息をのんでしまうような力強さに溢れていました。圧倒的。

飄々としたステージングの中、「(50年近いキャリアの中で)今が一番のいい時期。一番、自分がやりたいように歌えている」と真面目な目で言い切った五郎さん。参りました。

なごませる瞬間と激しいプロテストソングの数々とのブレンド具合も素晴らしかった。これぞyoutubeでは絶対に伝わらない説得力!これまで観た五郎さんのLIVEで最も感激した夜となったのでした。

最後はソウブラと共に。いつものムチャブリ連発。

モンロー前田悠平も登場。

終演後「こんなにたっぷり…ありがとうございました」と言うと
「限界くらまでやりました。これで良いでしょうか?」とニヤリと笑った五郎さん。

パンクロッカー然とした佇まいでいつものように赤ワインを飲む姿、また是非バイユーで見たいです!!