少し前に購入していながら、それも大興奮して購入していながら自分ひとりで楽しみ、紹介が遅れていた1枚。
The End ライブ&トリビュート
『だってあの娘が好きって言ったんだもの』
僕が、バイユーゲイトのイベントなどで度々歌って来た曲『引き潮』。
「自民党に殺されるくらいなら無人島で死にたいって言ったね」で始まり「どんよりした曇り空でもドンウォリー」という印象深いサビ。「あ!あれね」という人も多いかと思う。
僕はこの曲をギターパンダ、のりをさんの歌で聴いて知ったのだけどオリジナルはこのThe Endさん。
5年前だったか…長野在住で長野を中心に活動している彼の存在を知った時。
当たり前な僕はちょっと前まではちっとも当たり前ではなかったインターネットで彼について検索した。ところが彼の情報はほとんど出てこなかった。彼について、『引き潮』について語っている人が少しはいたけれど、いわゆるオフィシャルな情報にはまったく辿り着けなかった。本人が発信している情報がないのだ。
それはまるであなたの思っている当たり前は当たり前じゃないかもしれないよ。って言われてるみたいだった。
その後、僕はどうだったかというと「いつか出会えるだろう」と熱心に探すことをやめてしまった。
時折、唐突に情報に出会うことがあったけど、それはもう終わってしまった関東でのLIVEだったり、日程的に近すぎて自分の抜けられない仕事が入っていてどうにもならない状況だったりした。
「なんか今時?ですが、mixiで彼からの情報が手に入るようですよ」と聞いたときは、
あれだけ盛り上がっていたのに一気に潮が引くように寂れてしまったミクシィのコミュニティで、ってのがなんかいかにもな感じがした。だけど、僕はそのミクシィに貼り付くこともしなかった。
彼はメディア露出にも興味がなかったようで、口コミにより『引き潮』が多くのミュージシャンにカバーされて話題になっても、表に出てきたりはしない。
とはいえ自分の曲を歌いたいという人たちとは交わっていたようで、難しい人なのかな?と感じながらも「なんとなくいい感じだな」とも思ったのでした。
そんな諸々を知るにつけ
「HP、ブログやSNSを使ってバイユーのことを中心にバリバリいろんなことをまき散らしてる俺なんかとは違うんだなぁ」と思いつつも、なんとなく彼の感覚も理解できるような気がしたものでした。
とはいえミュージシャンとして、とにかくすくない情報量。もちろん音源も無し。
もっと曲を聴いてみたい…
一度だけ本人未許可の音源を聴ける機会があったのだけど…。
なんとなく「やめておこう」と聴かなかった俺は、心の隅に彼の存在を気にしながらそのままにしていた(待っていた?)のでした。
なんだ!熱が低いやん!!と言われればその通りかもしれませんが。そんなことってあるのです。
そんな時SNSで、このアルバムの発売記念LIVEが東京で行われ、行ってきたという人の書込みを発見したのでした!!
やっぱり、ライブは既に終了していたし、アルバムが発売されたのは1年前のことだったけど俺には十分すぎるニュースでした。
だってCDを手に入れれば聴けるのだ!!
とにかく購入!
The End 待望の初音源リリース!
なのに一瞬なんだかよくわからない仕様のCD。
いきなりの3枚組!!!トリビュート盤??
1枚目は彼の長野でのライブ盤。あとの2枚は彼の楽曲を様々な人がカバーした(リクオさんや友部正人さん、ふちがみとふなとさんも参加してる)トリビュートアルバム。
スタジオ録音盤ではなく、ファーストアルバム感が薄い。期待通りにはいかんなぁ~(笑)
でも彼の曲が一気に36曲(重複有り)も聴けるという事実に思わず体温があがった俺でした。
初めてちゃんとい聴いたThe End。
シニカルでキンキーな語り口、そして孤独感あるユーモア。これでもか!って聴かせるわけじゃないけれど(失礼を承知で言えば)達者なギター。そして、ちょっと青臭くってあったかい声が魅力的だ。かすかにハスキーなところがロック臭を漂わせる。
ライブ盤ゆえに語りも入っているので(当然か。)ああ、ナマで聴きたいなという気持ちになる。
次から次へと現れる楽曲、良い曲沢山。
かなり満足です。静かにおすすめします。
音楽の情報が溢れかえり、無料で気軽に聴き捨てられたりもする昨今の状況とはまったく相容れないずっしり重い3枚組。
インターネットも決して無敵ではなく、遠かった長野が音盤によってようやく手元にやってくる。
お手軽ばっかりじゃ、やっぱりねえ?な1枚。いや、3枚。
買った方がいいです。
以下に、発売元に載っていたプロフィールを
(これにだっておお!オフィシャル!?と喜んだものでした)
The End(ジエンド)
長野在住のミュージシャン。
長野市の歓楽街・権堂。その片隅で歌い続けること20余年、その間コツコツと生み出されたThe Endの歌には独特なユーモアと優しさ、音楽に対する愛情が溢れている。
2014年3月には活動歴およそ20年を記念して、7時間強にも及ぶ伝説のワンマンライブが開催された。
現在まできちんと発表された音源はなく、今回のCDが実質の初音源となる。
CDこそなかったものの、2000年ごろ発表した「引き潮」という曲は、全国各地で複数のミュージシャンにカバーされ、最終的には東京で「引き潮祭り」というライブイベントまで開催された。