バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

あの夏のGoGo/Black Heritage Festival ’87

2011-07-30 | 音楽

夏、ですね。8月生まれの僕は夏が大好きです。まぁそんな夏にはいろいろな思い出があるのですが、先日その思い出のひとつに再会いたしました。それがコレ!

Algreendvd

アル・グリーンのLIVE DVD。収録は1987年の東京!!僕はこの会場に居たのです。

このDVDの1年前1986年のこと、愛知県豊橋で今や伝説的!野外フェスティバル『ブラック&ヘリテイジフェスティバル』(出演はレイ・チャールズ、B.B.キング、憂歌団、ダーティダズン・ブラスバンド、マイティクラウス・オブ・ジョイ等々)が開催されました。
このフェスティバルは翌87年も行われ、2年目は拡大版として東京でも開催されたのでした。そのメインアクトがアル・グリーンだったのです。
会場は立川昭和記念公園!元米軍基地の広大な公園です。少し小雨まじりの夏の日でした。今は高知で暮らしているYと一緒に行ったんだと、思う(笑)

とにかく昭和記念公園というロケーションは素晴らしかった。公園の中心部、コンサート会場がちっぽけに見えるほど広大な「みんなの原っぱ」にゆったりと設けられた客席スペース。緩い規制。子どもと後ろの広場で遊んでいる人もいたりして日本のコンサートではなかなか味わえない雰囲気だった。そして出演者!アル・グリーンにロバート・クレイ・バンド、ケイティ・ウェブスター、スタイリスティックス、チーフコマンダー・エベネザー・オベィ、ジョンコルトレーン・レガシー等これだけの豪華版でチケット代は5000円!!もちろん当時の僕らに5000円は大金だったけどコストパフォーマンスというものを理解する力はありました。安かった!!!!

Bhfes87076

ロバート・クレイ・バンドはまさに第一次絶頂期というイキの良い状態で盟友ベースのリチャード・カズンズ(この後バンドを脱退20年を経て現在は復帰している)がカウントを出しバンドを仕切り、ロバート・クレイがフロントでスター!のキラメキを惜しみなく披露するという素晴らしいライヴでした。予備知識無しに観たニューオーリンズのブギーレデイ、ケイティは最高で一発でファンになってしましました。こちらも名前しか知らなかったエベネザー・オヴェイはアフリカのジュジュミュージックの楽しさを堪能させてくれました。ジュジュといえば巷にはまだ『サニー・アデ』ブーム(代々木オリンピックプールでの初来日公演はNHKで中継されたほどでした)の余韻が残っている頃だったので観客にも受け入れる準備ができていたようにも思えました。そういえば、生でトーキングドラムを聴いたのはこれが初めてだったような気がします。そして驚いたのはスタイリスティックスの人気の凄さ。始まるとお客さんは立ち上がり一緒に歌う人多数。ヒット曲の多い人たちってやっぱり違います。そして最後はアル・グリーン。
その映像を今回入手したというわけです。コレが興奮せずにいられましょうか。

で、バイユーで観たのですが…。あれ??
映像が荒い、というか汚い。
そしてなにより終始(本当に終始)ステージ上のアップばかりだ。第一こんな暗闇の映像じゃなかった。アルが出て来た時はまだ明るかったはず!でもステージには「Black Heritage Festival 87」と書かれている。でもなんか違う~。

この映像の存在を知って購入した時一番楽しみにしていたのは、楽しかった当日の雰囲気、会場の様子。自分が居たあの場所の空気感のようなものに再会できるかなという部分でした。
でもカメラはいっこうに引かないし、客席も最前列が申し訳程度に映るだけ。これじゃぁなぁ…。

発見したことは思った以上にバンドも良くってアル・グリーンもかっこいい!この頃はゴスペル転向時代ではあるもののソウル、R&Bファンを十分満足させる出来だ。でもこんなに夜中だったっけ?

実は僕らはこの日終盤、アルのステージを遠くに観ながら(確かアンコール)夜の闇の迫る会場を後にしているのでした。もともとほとんどのショーを飲みながら客席後方の芝生から観ていたのですが。帰るなんて!今考えるととんでもないことです。
その理由はボクシング。当時からボクシング好きだった僕は丁度終わる頃にTVで放映されるボクシングの試合を観る為に「贅沢やなぁ」とちらちら振り返り、立ち止まり聴きながら、立川駅前を目指したのでした。暗かったけど決して夜中ではなかったです。
ちなみにお目当ては当時売り出し中だったマイク・タイソンの試合。当時テレビ東京が放送しており、それを観たかったのだ。まだ自宅にビデオデッキなんかない時代の話。立川の街でようやくテレビを観せてくれる店を見つけてビール。この日のタイソンは倒されまいとする相手に手こずり珍しく判定決着。閉店時間と放送終了時間が近く、なんとなく気まずい雰囲気。試合も盛り上がりに欠け「アル・グリーン最後まで近くで観ればよかったかねやあ」と思ったりもしたものでした。

この日のTシャツを発見!買った時にも思ったけどヨレヨレでなんとも安っぽい(笑)幾らだったんだろ?デザインがこれまた…。

T

ロゴの下のかすれた文字はケイティ・ウエブスターのサイン。この日の会場は開放的な雰囲気で、出演を終えたミュージシャンの多くが客席にで出てきており物販のテントで涼をとっていたりもしました。ケイティのステージに感激した僕は彼女のエグイジャケットのレコードを購入。(見よ!)

110729_2

すると物販テントの奥にいたケイティがサインしてくれました。Tシャツには勝手にしてくれたような思い出があります。そんな彼女も既に故人。時の流れを感じますね。

問題の映像の暗さは!当時このような野外フェスの現場で仕事をする機会の多かったTさんによると「これは画質のせいで暗いんやな。この時代の資料用レベルやったらこんなもんやろ。いろいろ(画質処理を)やったみたいやけどこれが精一杯なんやろな」とのこと。

残念ながらあの日の風景にもう一度、というわけにはいかなかったのですが、その分いろいろと思いだせてアタマの中には絵が浮かんできました。良しとしましょう。

ああ、1987年8月2日。ハタチの終わりやったんやなぁ~。甘酸っぱくもなく、男クサイ思い出をいろいろと思いだしたもんです。

Bhfes077


土曜日は必見!コージー大内のLIVEです。

2011-07-28 | イヴェント案内

今週末、7月30日、土曜日はライヴ営業。コージー大内LIVEです。
とにかく最近の充実ぶりは一見の価値有り!
お時間のある方は是非。
開場19:00 開演20:00 料金 1500円(+1drinkオーダー)です。以下に詳細を…

★大分は日田弁のブルースを聴かせるコージー大内。「弁ブルース」の旗手としてすっかり知名度があがった現在も、九州男の体内で咀嚼されたテキサ スブルースや歌心は変わらず。ねっとりとソウルフルに聴かせてくれます。バイユー近辺では最近の充実ぶりが話題になっています。そして、現在待望の 2ndアルバム制作中! 長いキャリアの中、まさに充実期を迎えているコージーのブルースを是非。


高知本山町より写真が

2011-07-27 | 写真

高知の山間部、本山町在住の藤島晃一さんより不思議な写真が届きました。
そう。撮られているときも不思議ではありました。

いきなり「写真撮るで」「??一緒に入らないんですか」「おれはかまんき」「でも…」「えいき、はいみんなぁ両手を挙げて」「え?え?なんで」「はようはよう。そうそうえいえい」「パチリ」

これまでブログにスタッフやお客様の写真を載せたことって数えるほどしかないのですが…なんとも変で味わい?があるし、写真家でもある藤島さんの作品だし(笑)
モデル各氏に了承を得て、載せてみることにしました。以下に。

201171from_2


ジョージ・サラグッド!!時代性を放棄したニューアルバム!

2011-07-26 | 音楽

2120

GEORGE THOROGOOD AND THE DESTROYERS!2011年の新譜です。タイトルは『2120 South Michigan Ave.』。77年のデヴュー以来、一貫してスライドでブギーする雑で大口叩きのブルースロッカー、ジョージ・サラグッド。いつ以来の新譜なのか??ってくらいに過去の人ではありますが…。
このタイトルで「おっ!」と思った方や、苦笑した方には説明不要。そんな作品です。「くだらねーなぁ、しょーがねーなぁ(笑)」と思う方は聴かなくって良いでしょう。え、僕ですか?最高ですよ、最高!
ジョージ・サラグッド、タフなヤツです。なんにも変わってません。1曲目からサイコーです。だって俺、こういうのが好きなんです。以上!

タイトルを聞いて「2011年新譜なのになんで2120?」という方には少しだけ説明を。『2120サウスミシガン・アヴェニュー』というのはかのチェスレコード(ブルースの主な名盤の大部分を生み出したシカゴの伝説的レコード会社)の住所なのです。ということでチェスレコードに捧げでられた作品で、パッケージには「2曲の(オリジナルの)新曲と11曲のグレイトクラシックス(のカヴァー)が収録されている」と大仰に書かれたシールが貼られていてなんともB級感が漂います。
そしてサラグッドを聴く(知る)人の多くであろうストーンズファンはおわかりのようにタイトル曲『2120サウスミシガンアヴェニュー』はチェスクラシックスではなくチェスレコードに憧れたローリングストーンズが初めてアメリカを訪れた時にチェススタジオに赴き感激の面持ちでレコーディングしたインスト曲でありまして、サラグッド氏は10曲のチェスクラシックスと共にこのストーンズナンバーを取り上げているというわけです。
幼なじみのミックとキースが再会した時、ミックがこの住所に手紙を書いて購入したチェスのアルバムを持っていたことがストーンズ結成のきっかけとなったという(好きな人の中では)語られ尽くした有名逸話も大切に紹介されてます。
2011年に作られる必然性も時代性もまったくない、もしかしたら創造性もまったくないアルバムです。しかし!タフに他のことできないんだもん!な信念を持って繰り出されるけれん味のないサウンドは僕にとっては説得力十分。
1曲目のオリジナル曲は先達への敬意と敬愛の念に溢れたイカした楽曲。どこにでもあるブルースロックに聴こえる方も良~く聴いてみて下さい。クリアーに聴こえる言葉を、呼応するギターフレーズを。そうコレでいいのです。もう1曲のオリジナルも良い出来。グッときます。勿論カヴァーも良いです!

ちなみにバイユーで喧噪の中で聴くよりも、ひとりで聴いた方が良かったです。意外に細部に気が配られた作品なのですよ。ジャケットはインナースリーブを模したもののようでチープで良いです。George_thorogood_2 サラグッドやっぱり歯をニカッ!て笑ってるんですねー。
バンドもかっこ良いです。うーん今日は「良い」をたくさん使ったなぁ。

意味ある作品、意義深い時間を過ごしたい方にはお薦めしませんが、だって好きなんだもん!な方には心よりお薦めいたします。


ドラマーエンタ大活躍の震災復興義援金企画第6弾の夜

2011-07-25 | ライヴ報告

昨夜の震災復興義援金第6弾、大盛況で終えております。出演者の皆様、お客様に感謝をおくります。「真摯な催し」の香り漂う音楽祭という印象でした。
それもこれも今回の企画者として諸々の調整に奔走し、ほぼ全編にわたって出演したドラマー遠田和範(山形県出身)あってこそでありました。ありがとうエンタさん。

110724_2045vout_2 ライヴはまずトリオロックバンド『VOUT』でスタート。お客さんの反応も上々。僕はこのバンドは映像では観ていましたがナマは初めて。当たり前ですがナマの方がずっと良かったです。ミディアムテンポの楽曲にいい曲が多く楽しめました。

そして休憩を挟んでダブルマンダラ。このバンドはそれぞれソロで活躍しているメンバーが集まった集合体でもあるためまずはソロコーナーからスタート。マンドリン弾き語りにマンドリンメインのトリオバンド編成。女性ボーカルのマンドリンによるトラッド弾き語り。そして若い娘によるブルース。そして若くない男によるバンジョー弾き語り。と飽きさせない展開。写真はバイユー初登場の『スーマー』さん(バンジョー)にしようかと思ったのですが…華やかさを考慮。最近バイユーにも馴染んできた?赤い髪のブルースギタリスト『Chihana』を載せてみます♪

110724_2137

そして最後はダブルマンダラ。なんと極めて珍しいというフルメンバー10人編成での登場。1曲目のオリジナル曲から盛り上がります!ボーカルがかっこいいです。

110724_220610

しかしエンタくん!彼にはこういうイナタく泥臭いサウンドが似合いますね~。なかなかいません。こんなドラマー。ビートが歌っていたし、語ってました。そう、字余りな感じでナダれ込むところなんてタマりません(笑)本領発揮!?
もちろん確かな技術があったうえでのイナタイドラム。雑食ライヴ飲み屋にはこんなビートが似合うのです。

というわけで、長時間のライヴとても楽しかったです。

入場料収益(出演者分とバイユー分含めた全額)からバンド経費を引いた¥20000を義援金とすることになりました。皆様ありがとうございました。募金先等は7月分として後日改めてお知らせいたします。
出演者たちもバイユーゲイトも、まだまだこれからだということで思いは一致しています。義援金だけでなく人的交流も含めて続けて行きたいと思っています。
これからもどうかよろしくお願いいたします。


震災復興義援金企画『ダブルマンダラ』&『VOUT』

2011-07-24 | イヴェント案内

今夜7月24日(日)は
『三鷹バイユーゲイト震災復興義援金企画第6弾』
出演はダブルマンダラ
(福田vo&g、 大曽根mandolin&vo, スーマーg,banjo&vo、Chihana g&vo、山口敦子vo、倉蔵g、稲塚b、エンタper、ハラシンharp&vo)
そして THE VOUT(小見山範久g&vo、藤浦崇之b、遠田和範dr)

★都内のバーライヴシーンで活発に活動する2バンドの共演。注目は打楽器奏者!
エンタ、遠田和範と表記は違ってもどちらも中央線界隈の多忙なドラマー、そしてバイユーではお馴染みのエンタさんです!
東北出身で今回の震災被害に心を痛め、復興支援に熱く燃えている彼とバイユーによる義援金企画なのです。
開場19:00 開演20:00 料金 1500円(+1drinkオーダー)
ルーツミュージック好きならきっと楽しめます。是非!


東西めおとアワー無事終了!

2011-07-24 | ライヴ報告

昨夜の『東西めおとアワー』盛況のうちに終了しております。

110723_2223 大阪からやってきたスワンピータケシ&杉本 “Q” 仁美さんたちのアメリカ南部寄りのスワンプサウンドにあてられたか?MOTELもなんだかいつもよりブルージイだったような気もしました。両者充実した演奏。ねっとりと歌に浸る夜、お客さんも楽しそうでいい感じでした!終演後はゆったりとした宴会へ…。僕はQさんとザディコ話で盛り上がったのでした。ザディコで喜んで頂けて満足でした(笑)

110723_2020motel

そして地元の星、MOTEL次回は!
11月1日(火)須藤もん40歳のバースディライヴとなります!

バイユーでは極めて珍しい平日ライヴ。お誕生日当日にやります!
MOTELのふたりをたっぷり聴いていただきます。お楽しみに♪


本日はLIVE!MOTEL登場『東西めおとアワー』です。

2011-07-23 | イヴェント案内

本日7月23日、土曜日はライヴ営業。
お馴染み、音楽好きの集まる酒場界隈では名の有るアコースティックデュオ『MOTEL』(須藤もん&対馬照)主催のシリーズLIVE。今回は大阪から同じく夫婦デュオ『スワンピータケシ&杉本 “Q” 仁美』を招きます。

午後7時開場/8時開演 料金2000円(+1drinkオーダー)です。お楽しみに!

そして日曜日は『三鷹バイユーゲイト震災復興義援金企画第6弾』です。山形出身のソウルフルなドラマーエンタくんが大活躍の予定!こちらもお楽しみに♪


三陸を行く。(音楽がありました)

2011-07-22 | ある日の出来事

三陸路では被災地を訪れたことが大きな出来事のひとつだったのですが。そこには音楽がありました。人がありました。僕らが時に振りかざしたりする「音楽のリアリティ」なんてものを一瞬で凌駕してしまうような現実の凄まじさの中、人の手触りも生々しい音楽の場に身をおいてきました。

初日、大船渡の『秋刀魚だし 黒船』では「復興の狼煙をあげよう!」という思いを持って集まったミュージシャンたちの熱演が続き、長丁場のライヴを飽きることなく楽しむことができました。シャイさん意外はみんな初めて聴く方々。それを全部楽しめるって凄いことです。

110716_1756

110716_1647shy1st

すべて楽しめたのですが特に印象に残ったのが及川智明さん。普段『東洋線』というバンドをやっているという彼の弾き語りは独特の手触りと熱があって素晴らしかった。110716_1735 (1曲のみ)方言で歌われた1曲目の、歌詞(の意味)が伝わり辛いからこその説得力?に身を乗り出してしまったら、もう最後まで釘付けでした。ギターと声の音の響き、なかなか意味がわからない(失礼!)歌世界。なのにじわりと胸の奥が熱くなる語り口。言葉がトンガッて突き刺さってくるというわけでもないんだけど心を熱くしてくれる不思議なメロディと歌心。声が魅力的だから、なのでしょうか?もっと聴きたい!と思わされるミュージシャンでした。(終演後お話しし、頂いた音源をバイユーで流しているので既に聴いたという方もいると思います。彼には近くバイユーで歌っていただく予定です!お楽しみに。)
東京から参加したAsia SunRise大樹さん、中山八大さんの豊富なライヴ活動によって培われた客席の心をガッチリつかむ熱いステージ!(彼らにも演っていただくつもりでいます)。そして地元のまっとさん、白石松則さんたち(彼らにも東京に来る機会があれば是非、と思っています)。誰もが競い合うような熱演でした。
そしてトップと最後の2ステージを務めたシャイさんのソウルフルなステージに(『イマジン』や『青い月…』『記憶』の沁みたこと!)

110716_2108shy2nd_3

お客さんも出演ミュージシャンも大興奮のエンディングを迎え終演。

その後、復興を祈り『手持ち花火大会』となったのでした。

110716_2154_2 大船渡の奇麗な月夜の下、大人たちが笑顔で大量の花火に火をつける。狼煙というより煙幕のようなケムリの中笑う。

目の前を通る道を少し下って行けば壮絶な被災地が広がっているのが嘘みたいに思えました。そんな風に思ったのは僕だけじゃなかったようで、他にもそんな声が聞こえてきました。

110716_1809

でも時間を経て手に入れた「負けない。」という意志が伝わってもきました。
そんな今年初花火でした。

野球場の中に立ち並ぶ仮設住宅に泊めて頂いた翌日は
大槌町、陸前高田市でのライヴ。いずれの会場でもShyさんの歌が(炊き出しライヴ等の為、大興奮で受け入れられるわけじゃないけれど)確実に客席に笑顔を生み出してゆくのを目の当たりにしました。

110717_1344live

思わず声を失ってしまうほどの、歌さえも押しつぶされかねない圧倒的な現実の中で丁寧に届けられる音楽の誠実さが強く印象に残っています。

中でも忘れられないのが、県内でも最も被害が甚大な場所のひとつ陸前高田市の惨状を目にした後のステージで歌われた『What a Wonderful World』。文字で書く以上に勇気のいる選曲、そして音を慈しむような歌声に激しく胸を揺さぶられました。

帰り際、80歳くらいとおぼしきおばあさまたちが感激の面持ちでシャイさんと言葉を交わす場面を忘れることはないでしょう。

そして一緒にその時間を過ごしたMさんとふたりで夜道を一関まで走ったことも忘れることはないでしょう。
ただ行っただけ、になることのないようここで得たつながりを大切に生かしてゆきたいと思っています。

音楽が何にも勝る特別なものというようなある種、驕った気持ちはありません。ただ人間の営みのひとつとして大切なものである、ということは良くわかりました。主催した黒船の岩瀬さんや復興食堂を運営する方々は正しいのだと思います。
これからも微力ながら協力させて頂きたいと思います。
皆さんお世話になりました。


三陸を行く。

2011-07-19 | ある日の出来事

連休の週末。東北をいや、震災による津波の被災地をまわってまいりました。

常日頃お世話になっているShyさんが出演する『復興目指して NEVER GIVE UP!』というライヴ&炊き出しイベントに押し掛けスタッフとして参加させていただいてきました。
主催は大船渡の『秋刀魚だし 黒船』という時にライヴハウスも兼ねる、なんともソウルフルなラーメン屋さん。シャイさんに頼んで店主・岩瀬さんを紹介していただき、勝手な申し出(お願い)をさせていただいたのでした。

震災以来、悶々とした日々を過ごしていた私。いまだ原発事故の収束の気配も見られないというのに日に日に日常を取り戻してゆく街。津波被災地の惨状を写真や映像で目にしつつも「あの日」の気配を薄めてゆく東京の空気。そんな中で日々暮らしながら説明のしようのない焦燥感?でいっぱいだったのかもしれません。

行ってどうする、見に行くだけに思われないか?失礼ではないのか。とも当然考えましたが。現地で同じジャンルで生きる人たちと共に行動したいという気持ちを抑えられませんでした。本当に自分勝手で…お世話になった方々には感謝と恐縮の気持ちでいっぱいです。

新幹線は開通していてもまだまだ海沿いの地域へのアクセスは厳しい三陸路でした。岩瀬さんの「(もうイベントの準備はできてるし)特にすることはないかもしれないけど、見ることに意味はあると思うよ」との言葉に甘えて大船渡のライヴだけでなく翌日の大槌町の炊き出しイベント~陸前高田市でのライヴまでご一緒させて頂きました。

初日の大船渡のイベントは関わる人々の熱い想いのこもった素晴らしいもので何度も胸が熱くなりました。入場無料、飲食無料。もちろんラーメンも無料(黒船の秋刀魚だしラーメンは本当に美味しかった!!)。
開場前には「是非、お客様に声をかけ、ふれあって下さい」との穏やかだけど強い意志を感じさせる主催者挨拶があり気持ちが高ぶったものでした。そして地元 のミュージシャンを中心とした出演者陣が皆個性的でなんとも良かったです。大切にしたい出会いがいくつもありました。

翌日は岩瀬さんに案内していただき被災地を回りました。大船渡の末崎地区、そして中心部。まだまだ津波の爪痕は深くただ呆然とするしかありませんでした。「チリ津波はここまで来た、忘れるな」という意味の表示が残るビル。しかし実際にやって来た津波はその3倍以上の場所にまで達していました。
かつては栄えた街、釜石も大きな被害を受けていました。
ぬけるような青空の下、まさに町が根こそぎ失われていた大槌町では思わず足がすくむような感覚を味わいました。

当初から「凄いですよ」と言われていた陸前高田は
あまりの広範囲に渡る徹底的な破壊にただ絶句。いまだ水が引いていない地域もあり筆舌に尽くし難い状況でした。

岩瀬さんから「1ヶ月前はもっと凄かった、2ヶ月前ならもっと。写真や映像は見たんでしょ?」と聞かれました。
でもその凄い映像よりもかなり片付けられた今の生の体験の方がずっとずっと凄かった。その場の空気、匂い、音を失った広大な大地。そして目の前の海。
そのように伝えると。「そうなんですよ」と…。
大げさな表現かと思いますが…広島や長崎の原爆後の写真や沖縄や東京が焼け尽くされた後の写真の中に自分が入り込んだかのような感覚を味わいました。わかってはいたことですが、想像力や映像の力の限界を感じたものでした。

それ故か、現地では「(最初は見に来て欲しいとは思わなかったけど)今は見られる(見る意思のある)人には見てもらった方がいいかなと思う(ようになってきた)」という声も聞きました。

確かに復旧は動き始めたのかもしれません。しかし復興にはまだまだ長い時間がかかります。本当にまだまだこれからです。
ただ見た、だけだったかもしれません。だけどこれからに繋がる出会いもいくつもありました。そして「見て感じた」ことによって自分の被災地支援活動に貧弱ながらも根っこが出来たような気がします。

勝手な僕を受け入れてくれた岩瀬さんとShyさんに心より感謝いたします。そして仮設住宅に泊めて頂いた岩瀬家の方々。塚田さん、牧さん(本当にありがとう)。井上さん他スタッフの皆様。イマジン富山さん。出演者の大樹さん、八大さん、まっとさん、白石さん、及川さん。本当にありがとうございました。

ライヴについてはまた書きますね。


哀愁の?チカーノ・ロックンロール!『ロス・ファビュロコス』

2011-07-13 | 音楽

またまたすっかり時間の経ってしまっている未紹介盤を取り上げます。
震災のまっただ中に到着した故の放置盤、それがコレ。

Losfabulocos

軽快でありつつ哀愁も漂うチカーノ(メキシカンアメリカン)ロックンロール! LOS FABULOCOS の2ndアルバム『Dos』です!
アコーディオンを核としたギターロックンロール!これだけで食指の動くという人も多いかと思います。僕もそうです。ロス・ロボスやダグ・サームが好きな方、テックスメックスからルイジアナポップまでを守備範囲とする方は絶対に楽しめます。この季節にもピッタリですね。そうそう、まずジャケでヤラレる人も多いかと思います。正解です。若干のB級感もありますがそれがまた良いのです。
バンドの中心はアコーディオンのヘスス・クエバス。プロボクサーとしか思えない名前です(笑)そしてもうひとり。ファビュラス・サンダーバーズやマニッシュ・ボーイズで知られるギタリスト、キッド・ラモス!!
この人イナタくってカッコイイのです。本盤でも期待通りにキメてくれています。Kidramos2000 キッド・ラモスといえば2000年のソロアルバム『West Coast House Party』をよく聴きました。カッチョイーです。冒頭1曲目からまるでゲイトマウス!のテキサススタイルのギターが飛び出して「これは凄い、まるでゲイトだ」と思うのですが、すぐにホンモノのゲイトマウス・ブラウンが弾いていることに気づきます。1曲目からゲイトマウスを迎える大胆さに脱帽でした。タイトル通りの楽しいアルバムでお薦めです。

ロス・ファビュロコスではそんなブルース、スイング色よりもチカーノロックンロール!という感じでふくよかにイナタく気持ち良く楽しめます。ザディコが好きな人も楽しめると思います。
暑くなって需要も増して来た良盤であります。


リバース・ブラスバンド2011年の新作!

2011-07-07 | 音楽

Rebirth2011


…実は。届いた時点で彼らの音楽に自分が上手く入り込めなかったというか
良し悪しを判断するところまでもいけない。こういう音楽を「聴く耳」がなかったため、この素敵なジャケットに包まれた本盤を遠ざけることとなってしまっていました。その後、BGMとして気楽に流すようにはなれたものの~向き合うタイミングを逃したままブログでの紹介も先送りになっていたというわけです。

大好きなニューオーリンズスタイルのブラスバンドのサウンドを楽しめなかったのは、あまりに普通でカッコ悪いのですが…震災後の緊張感とやり場のない憤り、諸々の為だと思います。
 


熱く燃えました!忘れられない夜になりました。Shy LIVE

2011-07-05 | ライヴ報告

あの震災の翌日、3月12日からもうすぐ4ヶ月。まだまだなんにも解決していなくって、悪くなっている部分すらある現状の中~各自が平時を取り戻そうと、復興へむけて動き始めています。
「やれることをやるのだ」と言いつつ日常に復帰したバイユーにあれから4ヶ月、Shyさんがやって来ました。
あの日中止にしたライヴの振替公演。バイユースタッフもお客さんもとても気持ちが入っている夜でした。
開演前にはほぼ満員の入り。それ以上に熱気が凄い。みんなの期待感を感じる。15分ほど押させてもらって開演。1曲目の『ヘイヨー魂』のこれまであまり聴いたことのない絡み付くような熱のある演奏に、私一発でヤラレてしまいました。いや実はリハーサル時に既にヤラレていました。冷静ではなかったかも(笑)
お客さんの全身で受けとめるような聴き方も凄かった「ヘイヨー~♪」からスタートしたライヴは少しづつその熱を増してゆく。110702_2053shy久しぶりのニューアルバムを録音している話と『君にファンキー♪』で盛り上がる!
確か釧路での経験からできたという『秋刀魚、さんま』。「サンマ、サンマ三陸のサンマ」「女川のサンマ」、歌詞に手が加えられ三陸地方の地名が歌い込まれて行く。前回は楽しく朗らかな印象だったこの新曲が強さと悲しさと願いのこもったフォークソング(民族的な、民謡、という本来の意味での)の手触りを感じさせるものに変わっていた。聴き入ってしまいました。
その後も静まり聴き入ってしまうような圧倒的な印象の1stセットを歌い終えると同時の大歓声の中終えたシャイさんが休憩中お客さんと言葉を交わしている。自然に切り替えている姿に驚くがこれもいつもの光景。『BAR LIVE』を感じさせる瞬間だ。イギリスのパブってこんな感じらしい。そういえばニューオーリンズでもこういう光景を見たなぁ。そんな感じで狭い店を抜けて廊下へ~2ndセットへと、ON STAGEへと切り替えるのだ。なんというか…しなやかでタフ。

タヒチのウクレレを手に始まったステージは、お酒もすすみ~いよいよ気持ちの高揚を押さえきれなくなったお客さんたちの大歓声の中進行。110702_2051shy
本編最後にシャイさんがギターをかき鳴らし「雨の日ばかりじゃない~」とサビのフレーズを叫んだときの大歓声はとてもバイユーとは思えないほど、大きなライヴハウスのようなヴォリュームでした。
『青い月の笑う夜』。彼以外が歌っても絶対にこんな説得力を持っては聞こえてこないだろう言葉が素直に感情を刺激してくる。本来、前向きでストレートな歌詞があまり得意ではない僕ですが、感情が高揚するのを押さえることはできませんでした。言葉を超えるものってあるんですね。
最初は大人しかった初めてのお客さんたち(結構居た)も熱烈なコール&レスポンス!
そして当然、熱烈なことこのうえないアンコール。
僕が言うのも変だけど「この広さでこの盛り上がりのライヴって凄いなぁ」と感激しつつ眺めていました。

110702_2053shy_2

最後は椅子の上から後ろに向かって高くジャンプしたシャイさんが勢いあまって背中から壁にぶつかって着地して終了。
客席の様子から「もう1アンコールか!!」と身構えていたけれど汗まみれのシャイさんが「ありがとう~!」と何度も応えて「じゃあ僕にビールを!!」と言ったのでお客さんもお疲れさんモードに(笑)僕も、この熱気のままで終わるのがいいか!と思いました。
一同上気した笑顔で拍手して終了となったのでした。MCで「秋から冬のあたりにまたバイユーで!」と言ってくれたので皆さんまた会いましょう!

先日、王子でのローリークックさんのライヴで音楽によっていろんなものが溶けてゆくような感覚を味わいましたが、今回は諸々の気持ちを振り切ってココロが高揚する瞬間をたっぷりと味わいました。

なんというか、バイユーやってて良かったです。

※写真は1、2枚目。あえてブレブレ勢いモノを載せてみます。3枚目は『君にファンキー~』のシャッターチャンス!そう今回の「カシャリ!」はワタシです。