今日の紹介は入手したばかりの『RAYAN FORET』の2008年盤。
ライアン・フォレット?誰?という方も多いことでしょう。南西ルイジアナで活躍するスウワンプポップ系のシンガーです。Foret Traditionというバンド名義で現役で活躍中のバーバンドシンガー。HPのライヴスケジュールにはラフィエやバトンルージュ、フランクリンにレイクチャールズ、ゴンザレス更にはテキサスはオレンジなんて地名が見えてスキモノ心は疼きます。
彼のことは『ケイジャンレイディオ』で知りました。頻繁に流れるもので最初は「いいねぇ~」と気持ち良く聴き流していたのに…とうとう「ああーもう買うか!」となり購入に至った次第です。スワンプポップマナー全開!R&B、ソウルを甘く切なくイナタく決めてくれてます。キーボードを弾き歌うライアン・フォレットはソツがないというか普通に上手いシンガーです。甘酸っぱさ切なさも適度に持ち合わせています。バンドもイナタイサウンドなれど、特にドサクサというわけでなく普通~にバッチリです。いわゆるなんの問題もないんだけどちょっと薄い、というか軽いというか…。そんな感じです。ダメダメでカッチョイイともちょっと違うんだなぁ。うむ、これって難しい。とても魅力を語っているようには読めませんね。
でもこの薄さ、軽さが足を取られズブズブの沼地的魅力の源なのだ。よくこの手のスワンプポップ畑のR&B、ブルースの良さは、ルーツミュージックを1周してみないとわからないと聞きますが、たぶん2周しようが3周しようがピンと来ない人にはピンとこないそんなもののような気がします。だってホンモノの方がイイに決まっているのにこの微妙な空気感に心躍るのだから始末が悪い。
スワンプポップに限らずバーバンドの味わいって説明が難しい。前述の様にルーツミュージックをどんなにマニアックに愛好したって、それらを雑多に混ぜ込み演奏する(乱暴に言ってしまえば)ある種まがい物だからこそ生み出せた奥深い魅力は伝わらなかったりする。その反面、オリジナルに造詣が深くなくてもいきなり身体が反応するという人も居る。英パブロックにテックスメックス…好きモノは皆同じ音楽が好きだ。不思議。
そんなライアン・フォレット。ラジオでよく流れていたのは『スウィートソウル・ミュージック』。アーサー・コンレイやティナ・ターナーのほうが良いに決まっているんだけど、聴いてるうちに欲しくなってしまいました。
エルヴィスのサンレコード盤を模したデザインも激B級のカッコ良さ。あまりに雑なパッケージもご愛嬌な好盤です!
深刻な軽さ、ってのがいいですね。
一朝一夕になせる技ではないんですよね。