まわりで起こっていること

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退屈

2012年10月11日 | Weblog
志ん生に、「あくび指南」という落語があって。

長屋の暇人が、あくびの仕方を指南してもらいに、稽古に行くわけだ。

その頃の、江戸の長屋では、暇人が多かったと見えて。

たいくつで、たいくつで、たいくつで、あぁあ、とあくびをするのを習うんだね。

ところが、今では小学生まで、塾やら何やらで、忙しいようだね。

大人は、仕事と家事、育児に追われ、いそがしく、日々すごしているしね。

スケジュール帳が、真っ黒になるのが、ま、ひとつのステータスみたいだし。

以前、PTAの役員やってたころ、お母さんたちが、やおら、カレンダー付きのノートをとりだしね。

その日は、空いてます、空いてません、みたいな会話をしたのをおぼえているんだけど。

いかにも、颯爽と、キャリアウーマンみたいで。

もっとも、男たちも、なにやら、黒々した手帳、というイメージでもあったな。

仕事をたのむなら、忙しい人に頼みなさに、なんて、標語もあったりね。

いつの頃から、忙しいが、商売繁盛だったり、人生の充実感だったりに、おきかわったのかね。

落語の、職人の世界では、一日仕事をするのは、粋じゃなく、かっこわるいことになってるからね。

退屈が、発明の母、だったり、いくさの母だったりしたのかも、ですけど。

定年退職を迎えたサラリーマンが、さて、これからどうするか、みたいなイメージが浮かぶんだけど。

経営者だったり、団体の役員だったりした方々が、その役割からおりたときね。

そんなときも、「あくび指南」なんて受けなくても、あくびをしてくらすのかもしれない。

ところで、あくびやらくしゃみやら、ってのは、自分を吹き飛ばすから、それこそ、自我を超越するには、最適なんだろうけどね。

自我の肥大した、この時代だから、ちょうどいいかも。

だれか、あくび讃歌、だとか、退屈のすすめ、だとかの本でも書けば、売れるかもしれないな。

昨日、toshさんとの会話で、「枕草子」ね、あの中で、登場人物は、みんな退屈してたみたいね。

なんて聴き、それもありだろうな、と。

退屈が人生の本道です、ってわけで。
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