あの東日本大震災から10年。毎年この時期に新日本フィルで開催されている平和祈念コンサートだが、今回は10年目だからか、その演奏会に先立って音楽家によるトークイベントが催されたので出向いてきた。
新日本フィルと言えば墨田区となるが、墨田区ゆかりの鉄道となると、まずは東武鉄道となる。その東武博物館にて行われるイベントで話されるのは、クラシック音楽業界では最も鉄道好きとされる、指揮者の秋山和慶氏と、我が新日本フィルのソロ・コンサートマスターであられる崔文洙氏なのだ。この拙ブログを通じて、崔氏とは親しくさせて頂き、鉄チャンであることは承知していた。いつも、いちマニアのわがままなお相手をして下さり恐縮しているのである。そのフランクな人間性にいつも甘えてしまっているが、逆にいざ演奏に入ると、まるで人が変わり、その音楽の内面まで気持ちを響きに乗せて我々聴衆を魅了してやまないのだ。そして今回もうお一人、指揮者秋山氏が鉄道好きとは、今まで知らなかったことだった。聞けばご自宅にD51のライブスチームがあり、庭に線路を敷いて走らせているという。それだけでも、かなり造詣が深い事がわかるが、今回のお二人による鉄道話で、懐かしい光景が蘇ったり、アントンKと同じ時代、同じ時間を過ごしてきたことが実感出来て、ただそれだけで嬉しくなってしまったのである。
アントンKの中でも、今後この二人の音楽家に対する印象が変わったことは明らかだ。ソロ・コンマスの崔氏のヴァイオリンは、オーケストラのコンマスの域を越えていることは明白で、アントンKは、現代に聴くロシアの巨匠オイストラフの響きであると思っている。また指揮者秋山氏は、年齢80歳を迎えられ、これから益々円熟の境地へ向かうはずで、彼の生み出す音楽を積極的に味わいたいと思っている。
掲載画像は、この博物館に展示されているデキ1形式5号のマスコンとブレーキハンドル。昔、都電34系統で見た、簡素な運転台を思い出した。(渋谷-金杉橋)
そして、アントンKが東武鉄道で一番思い入れのあった1720系電車が、哀れな姿で置いてあったので、名誉のために当時の走りの写真を載せておく。
2021-02-17 すみだ平和祈念コンサート2021 トークライブ
「平和と鉄道と音楽」~@東武博物館
指揮者 秋山 和慶
コンマス 崔 文洙