アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

撮影に困難を極めた急行「新星」

2019-08-30 19:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

国鉄時代、夜行列車はブルトレをはじめ多くの列車の設定があり、どこかへ旅に出る際、その旅の始まりは当然のごとく夜行列車に乗車する計画を立てたもの。もっとも当初は、寝台車は高値の花であり、普通座席車に乗り、うたた寝で移動した。オハ47やスハ43、スハフ42などよくお世話になった客車たちだが、まだ10系寝台車に乗りたくても乗れない時代、ますます憧れが増していった。後年、オハネフ12や、スハネ16等の乗車は叶ったが、気持ちが先走ってしまったせいか、外観とは反して、あまり良い印象は残っていない。それでも、10系寝台車を連ねた急行は大好きになり、東海道線の急行「銀河」が20系になってしまうと、東北、上信越線を走る急行列車に憧れたものだ。

夜行列車の撮影は、日の長い時期に限られていたが、当時は移動もままならず、自宅から始発で出向いても、間に合わない列車も存在していた。今回は、今でもそんな列車だったことを思い出す急行「新星」を掲載してみる。急行「新星」は、上野-仙台を結ぶオール寝台の急行列車。10系のハネやロネを連ねた魅力満載の列車だったが、なにぶん走行距離が短いためか、上野に早朝到着し走行写真の撮影は間に合わなかった。これは尾久への推進回送だが、時間的にやっとこの列車に間に合い、シャッターを切ったことを思い出す。ゆっくりと寝台車が現れ、10系独特の走行音に浸った最後に、前に大きく突き出たパンタグラフのEF57を見た時、眠気も吹っ飛び歓喜したことが昨日のよう。こんな駄作でも思い出深い写真になっている。

1976-04-25  回1102ㇾ 急行「新星」 EF573   東北本線:西日暮里付近にて


我が良き友よ~ハチマル

2019-08-29 20:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

JR各社から秋季臨が発表された。夏臨の時もそう感じたが、やはりどうしても新幹線中心の設定であり、趣味的見地から見回してみてもパッとしなかった。この傾向は、近年特に顕著に現れ、今後も益々そうなっていくことだろう。客車列車の設定は、毎度おなじみの列車たちが名を連ねていたが、電車・気動車に対しても形式の統一化が進んでいるように感じる。いよいよ撮影手法を変えていかないと、自分の中でマンネリの時代に突入してしまう危機感を持った次第。一つの節目を感じている。

今回は、ゴハチとともによく撮影したEF80という電気機関車。もちろん国鉄時代の話だが、国鉄晩年をともに過ごした電機といっていいだろう。但し、ファンの人気度はまるで違い、可哀そうなくらいEF80の人気は無かった。ゴハチと違い、走行線区も限られ台数も少なく、華やかさに欠けていたことは認めよう。しかし、常磐の主として生まれ、まだ首都圏では珍しいと言えたローズピンクの車体を揺らしながら走る武骨な姿は、唯一無二のもので、当時のアントンKにはとても魅力的に映ったのだ。決してスタイルが良いとは言わないが、音やシルエットで、ハチマルだと判る個性はやはり今も忘れがたい。

掲載写真は、臨時急行「十和田」が早朝上野へ着き、その後尾久から東大宮まで回送されるシーン。アントンKは、EF80の団臨も当時は好んで沿線に出ていたが、ブルーの12系や14系をけん引するハチマルも好きで、その色合いも懐かしく思い出深い写真となっている。赤羽付近での撮影だが、付近の様子は、現在とはまるで違うことがわかる。

1979-10-29 回6216ㇾ EF8029   14系10両    東北本線:赤羽付近にて


峠を越える夜行列車の魅力

2019-08-27 19:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

前出の碓氷峠のロクサンや阿武隈越えのED75重連など、厳しい鉄路を往く列車たちは、昔からアントンKに生きる力を与え、勇気づけられてきた存在だった。列車に揺られて峠道を行くとき、喘ぎながら黙々と走る列車に理由なく感動し、列車そのものを自分自身に置き換えて人生の道しるべとしていた。モーター音に励まされ、ジョイント音に癒されてきたのだ。

上越線の三国峠もその一つ。清水トンネルを頂点としたこの区間は、大きく迂回しループ線を使いながら高度をかせぐ。この区間は、当時専用機関車EF16が君臨しており、電車以外のおおかたの列車には補機として、その姿を見ることが出来た。雪景色ばかり発表されることの多い上越線だが、夏場の山深い風土も魅力に富んでいて好きな線区だった。現状、列車は変われど、線区やそれにまつわる景色は昔のまま残存しているだろうから、機会を見つけて行ってみたいが、何かきっかけを見出したいところ。

EF16が現役の時代には、「鳥海」「能登」「北陸」「天の川」という夜行列車がこの峠を毎日越えていた。今から思えば隔世の感だが、当時のEF58とEF16との重連は、この区間の最大の魅力と言ってもいいから、よくその夜行列車の撮影に出向いたもの。今回は夏場に水上で撮影した画像を掲載しておく。EF16というと、福米時代の面影を持つ11号機12号機が一番のお気に入りだったが、現代のように運用など把握することもなく、ただ来た列車にカメラを向けて無心で撮影していた時代。何とEF16の代わりにEF15のご登場となった。今こうしてこの画像を観ていると、しばし休息後の発車シーンが、音とともに不思議と蘇ってくる。これは20系化後の急行「天の川」だが、暗闇に消えていく20系を見送った時、心底感動したことを思い出している。

1980-07-26   803ㇾ EF1576+EF58175   天の川   上越線:水上にて


重連総括運転~ED75

2019-08-25 19:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

現在、機関車による重連運転は、全国的に見回しても珍しい列車になってしまった。思いつくのは、いずれも貨物列車ばかりで、JRの中央西線や私鉄の三岐鉄道に定期列車として残存している。同一形式の機関車による重連運転は、やはり魅力的な被写体だった。必然的に重連運転にならざるを得ない列車が、足並みを揃えて進む姿は純粋に好きだったし感動したものだ。また重連総括運転ではないが、運用の都合上回送で重連になるケースも散見できる。根岸線や武蔵野線など目立たない線区に今でも残っているようだが、言ってみればこんな非効率な運用は、いつ無くなってもおかしくはない現状だろう。重連になる意味は違っても、被写体としてみれば魅力的なことには変わらないのだ。

昔、国鉄時代に東北本線で撮影したED751000番台による重連特急貨物列車。区間貨物列車でED75三重連列車も存在した時期があったが、やはり王道は、アントンKにとってこの特急貨の方だった気がしている。その目的で生まれた機関車が、文字通り重連運転で峠道へと挑む姿は、頼もしく誇らしかった。きっと、このED75重連運転に変わった現在のEH500でも、同じような頼もしい光景が繰り広げられていることだろう。いずれこの目で確かめに行きたいと思っている。

1980-03-26     ED751034+1028      東北本線:越河付近にて


夏の終わりに~矢ケ崎の夕景

2019-08-23 20:00:00 | 鉄道写真(EL)

碓氷線が消えてから随分と時間が流れてしまった。立派な本線にして、全列車重連補機を連結しないと峠を越えられない線区だから、特殊中の特殊だろうが、こうして時間が経ってしまうと、何もかもが懐かしく思えてならないのだ。ロクサンの力強い面構えは、かろうじて今でも横川へ出向けば我々を迎えてくれるが、あの山々にこだまするロクサンの雄叫びは過去帳の中へ入ったきりだ。蒸機列車のように、まず音から認知され、ゆっくりと迫ってくる電気機関車は、このロクサンくらいなものではないのか。横川と軽井沢の間のみの運転であり、その特殊性から好みは随分と別れるようだが、アントンKにとってJR化後のロクサンは身近な存在になっていた。結局のところ97年の廃止まで、峠の春夏秋冬をテーマとして何度も通ったが、コマ数は多いものの類似画像が多く、今にして思えば納得できていないのだ。

今回は、ロクサンが最後の66‰をせり上がってきた単機回送を掲載しておく。EF63の運転特性上、連結面側の走行写真は撮影しにくい。当然連結面だから、上下列車ともに先頭に立つことはなく、狙いは単機回送列車のみという事になる訳だ。多種多用の車両を押し上げるためか、数々のジャンパ栓が鈴なりになり、双頭連結器とともにかなりの重装備な顔つきなのだ。幸いにも、夕方には定期で軽井沢まで上る単機回送列車の設定があり、気が付けば碓氷に行けば必ずこの単機を狙うようになっていった。俯瞰撮影も試みたが、やはりせっかく前に顔を出している重厚な面構えだから、正面がちに捕らえることが増えていった。写真は、夕日に輝く軽井沢の矢ケ崎で撮影したロクサンの雄姿。当時バケペンに400mmを導入直後で、機会を見つけては400mmで撮影していたが、このレンズはピントの山を掴むのが難儀であり、本当に苦労したレンズ。ピントが決まれば途轍もない画像が得られるのだが、最後の最後まで難しかった思い出が多々蘇るのだ。

先日の鉄道模型イベントで「峠の釜めし」を食った。

価格はともかく、中身は当時と変わってないと思われるが、何か昔とは違って感じる。ドライブインやサービスエリアで食べた時も同じ思いだった。やはり「峠の釜めし」は、峠の中で、ロクサンを感じながら食うに限るのだ。

1994-08-18  単171ㇾ  EF6310   JR東日本/信越本線:軽井沢付近