アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

今後の展望~年末から来年にかけて

2012-11-25 18:06:28 | 音楽/芸術

今年は大阪フィルの第九へは行かない。大植が振らないからだ。

前任者の朝比奈氏の頃(90年代)は、毎年暮れは大阪へ行き、フェスティバルホールでベートーヴェンを聴いて、そのあとの「蛍の光」に心打たれて年を越すことが通例であった。東京で聴くのとはどこか違う、温かさというか、一体感というか、独特の雰囲気が好きだった。この雰囲気も、後任の大植になって幾分変化を感じていたが、今年になって、その大植も常任を下りた関係からか、大詰めの第九は振らないようだ。残念だし、寂しい。

年末になぜ第九かという議論は後にして、アントンKも意外に俗っぽいのか。年末のクラシックの演奏会は、第九一色になるから、やはり聴かない手は無いと行き始めてからウン十年。また新たなターゲットを見つけないと・・

先日、久しぶりにマーラーを聴いたが、正直昔のような心の葛藤は無かった。今でも何か残っているかといえば、外面的なものしかなくなっている。多分自分が変わってしまったんだと思う。普段は気付かないし、久々にマーラーの音楽に身を置くことで知りえたということか。決して嫌になったという訳ではない。うまく言葉にならないが、同じ曲でも、聞こえ方が違ってきているように感じた。少なからず、自分自身が良くも悪くも変化し歳とったということかな~

かたや、新たな発見で好きになる曲も増えてきたし、相変わらず毎日欠かさずに聴く曲もある訳だから、好きな時に聴きたい曲を聴けばそれで良い。音楽と付き合うことは、まずはそこからだ。最近では、シベリウスのシンフォニーを聴く頻度が上がってきた。若い頃は、前期から抜け出せないでいたが、今では、その逆で後期のものを好んで聴いている。かなり個性が勝り独特の世界が広がっている後期の作品。メロディが埋もれてしまい、口づさむような曲では決してないし、数回聴いただけでは、何も残らないかもしれない。そんな曲でも、今の自分にとっては、とても後味が良い。

指揮者についても変わってきたかもしれない。朝比奈やチェリビダッケ亡き後、しばらくの空白の後、小林研一郎、スクロヴァチャフスキ、下野竜也、そして山岡重信ともちろん生演奏に触れてきた。なるほど、今までに聴いたことのない、新しい響きや解釈が聴かれると、嬉しくなり、クラシックの醍醐味を真に味わえた気分に浸れる訳だ。

近年、コンサート会場に足を運ぶことが減りつつある。気に入ったプログラムが無いことも原因だが、中々自分好みの演奏をするであろう指揮者に出会えないことが、最大の理由だろう。最近のクラシックの演奏会では、世の中の流行りなどを加味したプログラムを、はやりの演奏スタイルで演奏していることも少なくないと聞く。このご時世、少しでも集客が良い内容に越したことは無い。指揮者や、オケの団員だって生活があるのだ。しかし、それでいいのだろうか・・聴衆に合わせるのではなく、自分たちの音楽を我々聴衆に語る掛けてくれるべきではないか。

 ~~~~~~~~~~

掲載写真は、文とは関係ないが、数年前、大阪フィルの東京公演の際、指揮をした大植氏にサインをしてもらったもの。フランクな彼が、色紙に向かうなり、縦書きの、それも漢字を書き始めたのには、面食らった。


ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデンを聴く

2012-11-23 16:34:36 | 音楽/芸術

たまたまFMラジオから予告で、ティーレマンの演奏会の生放送の告知があった。最初は気にもとめていなかったが、演奏曲目がブラームスということで聴いてみることにした。

番組の冒頭で、解説者が今晩の指揮者ティーレマンにとって、今日の演奏曲である、ブラームスの1番は、「勝負曲」であるという。確かに、ミュンヘン・フィルの常任になった時も、CDに同曲をレコーディングしていたように思う。そして今回は、今後を占う意味でも、新しい常任オケになるシュターツカペレ・ドレスデン相手に、再びブラ1で勝負しようと言うわけか。なるほど、彼らしいこだわりだ。どちらかというと、ドイツ伝統的な演奏スタイルをとるティーレマンであるから、前回のMPO(ミュンヘン・フィル)との内容とは、さほど変わらないと想像がつく。が実際はどうだろうか?

アントンKの貧相なスピーカからでは、細かなところまでは聴き取れないが、ホールがNHKホールということもあり、残響など皆無で音色がダイレクトにマイクに伝わっているようだ。だから、中々こちらには雰囲気が伝わらない。やはり実際会場に出向いて、自分の耳で聴くのが一番だと今さらながら思った。 しかし、ティーレマンのいう指揮者、地元ドイツではすごぶる人気が高いそうで、日本でもそこそこのようだが、果たして自分にとっては如何なものか?19世紀に流行った演奏スタイルであるようだし、確かにフルトヴェングラー風のところも散見できるから、日本でも人気なのかな?数年前、日本にミュンヘンフィルと来日したとき、ブルックナーの8番を聴いたが、思いのほかパッとしなかった印象がある。当然、ベートーヴェン、ブラームス、そしてブルックナーはお得意にしているらしいので、今後やはりチェックしておかなくてはならない存在だ。

~~~~~~~~~~~~~~~~

写真は、文とは無関係だが、赤く染まった紅葉の絨毯が綺麗だったので思わず写した1枚


マゼール/N響を振る

2012-11-21 20:51:57 | 音楽/芸術

先月、N響の定期にロリン・マゼールが登場している。

おそらくN響を振るのは初めてだと思う。お得意のワーグナーをはじめ、チャイコフスキーやベートーヴェンのシンフォニーやコンチェルトを演奏したようだ。彼も今年で82歳となり、巨匠の類に入ったといえる。しかし、相変わらず研ぎ澄まされた耳でN響を操っていたのだろうか、ちょっと聴いてみたかった。たまたまFMの生放送で、グリーグのピアノ協奏曲と、チャイコフスキーの第4交響曲を聴くことができたが、今までの印象にある個性までは、よく分からない。昔から、録音ではおとなしいが、実演ではやらかすと言われているマゼールであるので、その縦横無尽の棒さばきを持って我々聴衆を手の内に入れて欲しい。そんな演奏回に出会えたら、どんなに幸せか・・

そう来年は、ミュンヘン・フィルを引きつれて来日の予定で、お得意のブルックナーの第3を振る。これは行かないと後悔するかも・・今から楽しみにしている。もう11月も下旬、すぐそこは第九の季節か・・早いものだ。

~~~~~~~~~~~

写真は、先日訪れたNHKホール。しばらくぶりだから、街のあまりの変化に驚いた。


生涯現役を貫く

2012-11-19 20:54:12 | 音楽/芸術

朝比奈隆の企画展に行ってきた。

写真やビデオを中心に、その生涯にわたる活動や実績がわかりやすく展示されていた。2001年12月までは、まさに朝比奈中心に音楽と接してきたが、それ以後すでに10年以上時間が流れたことになる。本当に時の経つのは早いものだ。こうして展示物を見ると、色々な思い出が甦るが、この中で圧巻なのは、朝比奈が使用していたオケの総譜である。得意にしていた、ベートーヴェンやブルックナーのものは、書き込みが多く、ぼろぼろで、どんなにか愛着をもってこの音楽に向かっていたのかが読み取れて熱くなってしまった。アントンKが、朝比奈の実演を聴いたラストは、亡くなる3カ月前(2001年9月)に大阪で聴いたブルックナーの9番であるが、いつものようにこの年の第9を振る予定がキャンセルとなり、自分も来阪をキャンセルした矢先に訃報が届いたのだった。人よりうんと長生きをして、1日でも多く舞台に立つと言っていた朝比奈隆は、生涯現役を有言実行した訳であり、今でもアントンKの師匠であることを再認識した。


エド・デ・ワールドのブルックナーの8番を聴く

2012-11-17 20:18:30 | 音楽/芸術

N響定期公演に久々出向いた。第1740回定期において、オランダの指揮者エド・デ・ワールドがブルックナーを振るからである。この曲は、長年好きで聴いているが、CDコレクションにも、エアチェックの音源にも、このワールド指揮のものはないはずだ。かつて、CDでマーラーの交響曲を何枚か聴いたことがある程度で、実演はもちろん今回がお初となる。レパートリーは、後期ロマン派中心に、ワーグナーも得意で昔から手掛けているようなので、中々期待が持てるというものだ。N響の定期公演は、同じプロを昨日今日と連日演奏するから、どちらに行こうか迷ったが、FM生放送もある初日である16日を選んだ。

久しぶりのNHKホールは、相変わらずだだっ広くやはりここでクラシックは今や場違いに感じる。残響はほとんど無いし、音色があちこちからバラバラに分散されてしまい、座る座席にもかなり影響を受けると思われる。しかし、今晩のN響は、力演をしている。全体的には、3楽章後半からフィナーレにかけて調子が上がってきたように感じたが、弦楽器の音色は安定しており素晴らしく、いわゆるブルックナーの素朴な部分に触れられた。さてワールドの指揮振りはというと、基本インテンポで流れを形成していき、あまり深読みせず、楽譜忠実型であったといえる。テンポは、中庸であり、オーソドックスな内容であったから、聴き終わった後の充実感は満足できたが、時間が経つと忘れそうな演奏であったようにも思う。このエド・デ・ワールドも今年72歳だそうで、中堅指揮者からいよいよ巨匠の域に達してきたということになるが、あと5年10年のうちにどう変わっていくか静かに見守っていきたい。皇太子殿下もお出ましになられたが、ご満足されただろうか。うかがえるものなら、感想を伺いたい。