急遽時間が空いたので、トリフォニーまで足を運んだ。
本来正月三が日は、単独行動がしづらい状況もあるが、「1年の計はお正月にあり!」というフレーズがやけに耳に残り、空いた時間で即行動に移した訳である。
アントンKには長きにわたり、好きな楽曲を集中的に鑑賞してきた経緯があるが、ヴァイオリニスト崔氏との出会いから、音楽の大きさと幅を無限に広げて頂き、今ではこの歳にして新たな発見の連続で実は楽しくて仕方がない。今回もコンマスとして崔氏が年始一発目のニュー・イヤーコンサートからの出演が解り出向いたのである。
アントンKには初めてのニュー・イヤー演奏会だが、イベント的な要素も多く、司会者の進行でくじ引きがあったり、クラッカーが鳴ったりと、いつもの演奏会とはだいぶ違う華やいだ雰囲気が流れていた。音楽鑑賞に求めるものは、人それぞれ違うが、自分にとっては、それまでは目に見えない精神的な感情、人間の抱える喜怒哀楽のようなものを求めていたが、今回いつの間にかそれに偏っていることに気づかされた。文学にも、娯楽漫画から心に訴えてくる小説があるように、音楽も同様なことを忘れていたようだ。プログラムを見渡しても、ワルツが中心の楽しめる楽曲が並んでいる。もちろん有名なものばかりだが、アントンKには、楽曲そのものよりも、見慣れた顔ぶれの楽団員たちが、華やいで楽しそうに演奏している姿を間近で感じ心が熱くなってしまったのだ。
新年早々暗いニュースが続く中、音楽がいかに心の癒しになるか、前に進む原動力に成りうるのかを再認識したようでならない。衣食住と同列に思えるくらい音楽は重要。少なくとも今のアントンKには生きていくために必要なのである。
ニューイヤー・コンサート2021~新日本フィル交響楽団
ロッシーニ 「ウィリアアム・テル」序曲よりスイス軍隊の行進
J.シュトラウスⅡ 常動曲
J.シュトラウスⅡ ポルカ・フランセーズ「クラップフエンの森で」
J.シュトラウスⅡ ワルツ「加速」
ポッパー ハンガリー狂詩曲
J.シュトラウスⅡ ワルツ「酒、女、歌」
J.シュトラウスⅡ ワルツ「美しき青きドナウ」
外山雄三 弦楽のためのラプソディー
(アンコール)
サン・サーンス 動物の謝肉祭~白鳥
J.シュトラウスⅡ ラデツキー行進曲
指揮 中田 延亮
Vc サミュエル・エリクソン
司会 田添 菜穂子
コンマス 崔 文洙
2021年1月3日 すみだトリフォニーホール