いわき市鹿島町を歩こう 62
トベタナ 所在地 : いわき市鹿島町走熊字小和口
トベタナは塩、たばこ、駄菓子を売っていた店で、写真下の人が立っている道を左へ行くと米田・三沢地区を経由して湯本へ出る重要な道でした。
いまは7本松の信号から直進できる江名⇔湯本線(県道48号)が開通して便利になったが、かつては七本松の道はT字路だったので米田・三沢・湯本方面へ行くのには必ずこの道を通らなければならなかったのです。
《子供の頃、トベタナのこの辺りでよく遊んだ記憶が甦る》
トベタナという店は看板が揚がっている訳でもなく、親も村の人も「トベタナ」「トベタナ」で通っていました。そうなると不思議がったり、疑念を抱いたりする必要はないのです。社会通念上、それで通用するからです。
しかし、私はその意味を知りたかった。同級生に聞いたら 「トベタナはトベタナだっぺ」 と軽く一蹴されてしまいました。どうやら相手も意味は分かっていないのです。
気になって仕方がなくなったので直接、店に行ってアメ玉1個を買いながら店の小母さんから聞き出しました。
小母さんの顔には何の表情も動かなかったが、立ち掛けに膝を戻してもう一度私の顔を見ると笑顔になって話してくれました。
「本当はウチの店は小野商店というんだけどもな、爺ちゃんの名前が藤兵衛だから皆が藤兵衛の店(たな)と言うようになって、トウベエタナからトベタナになったんだよ」優しい声だった。
いつも心の中にあった疑問が解けて、スッキリとした瞬間でした。 納得。
《トベタナがあった場所で、その奥に見える建物はモーテル》
突き当りのブロック塀の中が例のトベタナがあった場所で、現在では畑になっています。
写真の手前から右の道が旧鹿島街道で平方面になります。