いわき鹿島の極楽蜻蛉庵

いわき市鹿島町の歴史と情報。
それに周辺の話題。
時折、プライベートも少々。

草野心平記念文学館の天

2012-11-12 07:28:30 | Weblog
                               分類・他

                いわき市立草野心平記念文学館
                いわき市小川町高萩字下夕道1-39



 草野心平記念文学館には何度か足を運んでいるが、館内ではいつも目線の高さで見える資料や展示品を見学の対象物としていた。
 前に1度だけ大きな透明ガラスの上の部分(=写真上)に何か文字が書いてあるなと思ったことはあるが、目を凝らしてよく見ないと読めないのでやめてしまった事実がある。

 今回は時間的にも余裕があったので、傍に寄ってガラス張りの下から顎を天に向けて読んでみた。それは紺碧の空に書かれた(透明ガラスの存在を忘れてしまい実際にそう見える)草野心平の詩「猛烈な天」そのものだった。
 アトリウムロビーに張られた大きなガラス窓から、阿武隈山系の稜線を境にして下は小川町の風景が望め、上には無限の青空が広がっている。
 まるで青空に浮かんでいるかのような詩を読んでいる内に、その素晴らしさと雄大さに草野心平の世界へ、いつの間にか誘引されていくような自分がいた。

  猛烈な天
 血染めの天の。
 はげしい放射にやられながら。
 飛び上がるやうに自分はここまで歩いてきました。
 帰るまへにもう一度この猛烈な天を見ておきます。

 仮令無頼であるにしても眼玉につながる三千年。
 その突端にこそ自分はたちます。
 半分なきながら立ってゐます。 

 ぎらつき注ぐ。
 血染めの天。
 三千年の突端の。
 なんたるはげしいしづけさでせう。

                  
     《館内アトリウムロビー》            《草野心平

 この時期に「放射」という文字を見るとナーバスに、あるいはヒステリックな感情を抱く人もいるだろうが、猛烈な天の放射はタクラマカン(中国)の灼熱の地獄にも似た土地を離れる時の心境を詠んでいる。
 詩集「絶景」のうちで有名になったのが「猛烈な天」で、天はカエルや富士というモチーフを超越して繰り返し歌っているし、草野心平の最も早い時期の傑作だ。

 草野心平は「蛙の詩人」と呼ばれることを必ずしも喜んではいなかったようで、詩集「天」の後書き「天に就いて」の中で、「私がいままで書いた作品の約70パーセントに天が出てくる。或いは空とか星雲とか天体の様々な現象が……」などと記している。

 ※小さい写真は画面をクリックすると大きく見られます。     


 

   

  
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ふれあい鹿島公民館まつり

2012-11-11 13:03:21 | Weblog
                                           分類・催

       主催 : ふれあい鹿島公民館まつり実行委員会・鹿島公民館
 
 毎年恒例のふれあい公民館まつりは曇天で時折、小雨がぱらつく中で、第28回目を迎えて今年も盛大に行われました。
                          場所 : いわき市立鹿島小学校体育館&校庭
                                いわき市鹿島町走熊字中島1
         
             《ステージ上で観客にフォークダンスを披露する皆さん》

 二つの部に分かれ、芸能の部は体育館内のステージに各種の団体が出場し大正琴・合唱・太極拳・ウクレレ・フラダンス・フォークダンス・草笛・社交ダンス・詩吟などを披露して拍手喝采を受けていました。
 展示の部では、絵手紙・押し花・つるし雛・水墨画・木工作品・写真・着付け・歴史研究などが自由に見て回れ、モノ作りの挑戦や体験もできました。
       
             《校庭で開かれたバザーは掘り出し物探しで賑わっていた》

  【今日という日の過去】 11/11
 がけ崩れ実験で死者 昭和46(1971)年、国立科学技術防災センターなどが川崎市で実施した人工的ながけ崩れ実験で斜面が予想以上に崩れ、技術者や報道取材者15人が生き埋めになって死亡。
 安全軽視で人災だと批判の声が上がり、平泉渉科学技術庁長官は辞任した。

  行事  11月11日(日)     三碧 赤口  旧暦9/28
   ◆世界平和記念日
   ◆介護の日 ・11月11日(いい日 いい日)


 

 
 


 
                             
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悲恋の伝説 「 二本杉 」

2012-11-06 13:44:06 | Weblog
                                          分類・歴

                        場所 : いわき市遠野町入遠野字天王323の乙
                         八坂神社 境内
 

福島県指定天然記念物(昭和36年3月22日指定)になっている入遠野の八坂神社にある二本スギは“行って見ただけの価値はあるが場所的に判りずらい”と耳にしていたのですが、実際に行ってみると本当に直行するのに難儀しました。
    
                 《八坂神社へ上っていく入口にある標識》
 しかし見つけました。一本の標識に「県指定の二本スギ」の文字が入っていますが、此処まで来て目にしても訪問者には困るのです。
 途中に「県指定の天然記念物、二本杉まで何キロ」だとか「指差しマーク」の看板とかの表示があってもいいではないかと思いました。(県教育委員会のナント不親切なことか、あるいは観光PRの職務怠慢を感じてしまいました)
 グチっても仕方がないので検討改善の余地があることを提言して坂を上りました。
 
    
           《スギの巨木。しかも二本だけとなれば伝説を残しても当然!?》
 昼なお暗い密林を思わせるような杉林の中にある急な坂を上っていくと、八坂神社の直ぐ隣に偉容な二本の杉があるのには圧倒されました=写真。
 この巨木の素晴らしいところは、樹齢1100年(推定)を数えるというのにどこにも損傷が見当たらずに、その容姿を誇っているかのようなのです。

   ◇二本の杉にまつわる悲しい伝説とは次のような話です◇
 昔、昔(おとぎ話風に)京の都に王子様とお姫様がいて、お互いに好きになってしまいましたが、2人はいとこ同士だったために親から猛反対されて仲を引き裂かれるようになっていきます。
 それでも諦めきれずに思い立ったのは、2人でどこか遠くの地へ行って幸せになろうと手を取り合って奥州へ旅立ちました。
 ところが、目的の土地まで辿り着くまでにこの土地で息絶えることになり、あの世で1000年の契りを結ぼうと固い約束して死の世界を選ぶようになってしまいました。
 その2人の精霊が二本の杉の巨木に宿っているというのです。
 
 哀しみの伝説を打ち消すかのように、二本の杉は、気高さと恒久の歳月を守っています。鬱蒼とした森の中で寄り添うように聳え立っている二本杉の巨木は今、じっと見つめているとまるで夫婦のように思えてなりませんでした。
 
                       
              《八坂神社》                   《右同》 


            《近くにある農道は彼岸に向って行く一筋のサッドロードに思えた》  

       
 
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文藝誌「風舎」の活動内容

2012-11-05 14:18:16 | Weblog
                               分類・催

              文藝風舎 事務局 いわき市鹿島町
            & FAX 0246-29-5317
           月例会場所 いわき市好間町
     文藝風舎
 文学愛好者が毎月1回集い、文章講座、会員作品の合評会、プロ作家の作品を通して勉強会、機会あるごとにあらゆる文学賞に応募して同人相互の筆力アップに繋がる活動をしているのが文藝風舎です。

           《同人誌「風舎」のバックナンバーの表紙

 年1回発行の同人誌風舎も今年で7号を迎えることになり、12月初旬には市内の次の書店でも販売されます。 ◇ヤマニ書店本店(平2丁目) ◇ヤマニ書店(ラトブ店) ◇鹿島ブックセンター(鹿島街道)
 同人誌風舎には会員の作品(小説・詩・短歌・エッセイ)が掲載されている他、吉野せい賞に入賞された方の作品も毎号取り上げられているので文学に興味のある方に喜ばれています。

        《風舎の案内と会の活動について説明する文藝風舎会長


            《文藝風舎の広報活動に出席した女性会員》

 今回の吉野せい賞表彰式から、主催者の吉野せい賞運営委員会・いわき市教育委員会から当会の創作活動の趣旨と内容についてご理解を戴き、会場の一角を借用して文藝風舎の存在をアピ-ルできる場を設けることが出来ました。

            《今年表彰された方たちの受賞挨拶
 
 いわき市出身の作家・吉野せい(1899~1977)の文学業績を記念して、市内在住者及び出身者、又は通勤・通学している人を応募の対象として新人の優れた文学作品を表彰する第35回吉野せい賞表彰式が4日行われました。
 受賞挨拶をししている人は小説「麗子と幸恵」で奨励賞を受賞した、司法書士でいわき市在住の大和田実さん(90歳)です。
             
           《記念講演ではノンフィクション作家の柳田邦男さんが登壇

 演題はスライドを駆使し「いのちの危機と言葉の力」を約3時間近く熱弁を振るいました。  


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