分類:歴
場所 : いわき市鹿島町久保相京作
地域(部落)の疫病と安全を守る「お地蔵さん」が覚醒
高さ23メートルの岩山に、鎌倉時代(1100年代)に彫られたとされる久保の磨崖仏(正式名:石像薬師如来)が完全崩壊したのは令和元年(2019)8月24日の夜でした。
この磨崖仏は平成21年(2009)4月に、市指定有形文化財に指定されたもので岩山の東西南北に薬師・阿弥陀・弥勒・釈迦像の4体が彫られていましたが跡形もなくなってしまいました。
《磨崖仏が彫られていた岩山が崩壊した時の様子》
仏像に挟まれるような形で、もう1体のお地蔵さんもあったのですがナントこのお地蔵さんは、崩落岩塊の撤去工事中に無傷のままで現れたのでした。地蔵さんは岩山に直接彫られたものではなく、像が入る部分だけを岩に四角く掘りその中に置かれていたものです。
《崩壊前にあったお地蔵さんの姿と位置》
お地蔵さんは正式名を「地蔵菩薩」と言い信仰の対象としては、安産を護ってくれる子安地蔵・亡くなった人の無念や苦しみの想いを引き受けてくれる身代わり地蔵、それに村の境界にあって疫病や災難を防いでくれる道祖神などがあります。
童謡の歌詞に ♪村の外れのお地蔵さんは いつもニコニコ見てござる というのがありますが、どうやらこれは道祖神を指しているものと思われます。
《崩壊現場から蘇った久保のお地蔵さん》
久保のお地蔵さんは、昔の久保村と船戸村とのちょうど境にあることから道祖神なのでしょう。
あの悲惨な崖崩れ個所から蘇り、再び笑みを浮かべながら地域住民の前に現れて護ってくれている霊験あらたかな地蔵菩薩なのです。