ナンマイダンボを唱和して「安産」「延命」を祈願
鹿島町走熊にある天徳院福正院蔵福寺で25日、走熊区の婦人たちが集まり十九夜講を行った。
かつて、いわき地方では部落ごとに行われていたが、現在では稀に見られる民俗行事になってしまった。毎月19日の夜に輪番制で決まった家に女性たちが集まり、安産と子育て、そして延命などを祈願する。これを人々は親しみを込めて「十九夜さま」と呼んでいる。
《ナンマイダンボと唱和しながら数珠を回していく》
祭壇に観音様が子供を抱いた姿の掛軸をかけ、団子やお菓子、果物などを供え線香をあげると、全員が車座になって直径約1,8mに1,000個の数珠玉が通された綱を右回りにたぐり寄せ「ナンマイダンボ」「ナンマイダンボ」と念仏を唱えながら自分の手元に大きな数珠が回ってくると、深く頭を下げる数珠繰りが行われる。
数珠の大玉に「南無阿弥陀仏」と書かれていることから「ナンマイダンボ」の唱和は、「ナムアミダブツ」が進化(簡略)されて唱えやすくなったというのが容易に窺い知れる。
《2年に1度、クレヨンで彩色される如意輪観音像》
本来、安産・子育てを願う事から如意輪観音を守り本尊とするので、如意輪観音像とか十九夜塔は、そのどちらか、あるいは両方が各地域(旧・部落)に存在する。
走熊地区では、この貴重な伝統的行事を継承しているが、現実問題として集まる回数が少なくなったり、場所を寺に限定したりして、継続の難しさが対話の中で垣間見られた。
《数珠を背に受けて厄払い》 《大数珠玉に南無阿弥陀仏とある》 《数珠が1回まわる毎に置かれる5円銭》
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