分類:歴 場所 : いわき市鹿島町走熊字鬼越
鹿島小学校から、かしま幼稚園へ向かう道の角を曲がった場所に、願い事を聞いてくれると言われているお地蔵さんがあります。 どこにもお地蔵さんはありますが、このお地蔵さんの特筆すべき点は真北を向いて立っているところにあります。ちょっと身近にいるお地蔵さんを思い浮かべてみて下さい。「どちらかと言われれば北寄りかな?」というのもあるでしょうが、このお地蔵さんは〈北向き地蔵〉として知られているのです。
《親子連れや幼稚園児、車で通る人たちがお参りをして通る地蔵さん》
よく、亡くなった人の頭は北向きにするから、寝る時は北枕といって忌み嫌い、旅先などでも寝る時の頭の向きに拘る人を見かけることもあります。ところが、この走熊(はしりくま)のお地蔵さんは、ご慈悲ある顔を敢えて北に向けています。 昔からお地蔵さんが願いごとを聞いてくれたとか、助けてもらったと言って信仰している人は多く、わざわざ他地区からお参りに来る人たちがいます。
《土台が腐蝕してきた頃の地蔵堂》 《平成23年に新しくした地蔵堂》
沢山の事例を伺っていますが、書き出したらキリがないので一例だけを紹介します。 故、Y・Hさん(享年83歳)は幼少の頃に原因不明の高熱で寝込み、医者に診てもらっても芳しくなく、周囲の人たちさえ 「もう駄目じゃないのか」 と囁いているのまで耳にしたそうです。 実際に自分でも、このままでは死んでしまうと思っていたらしいが、その晩、枕元にお地蔵さんが現れて、それはそれは優しい顔ををして、にっこり微笑んでいたというのです。
翌日になったら嘘のように熱が下がり、元気を取り戻したというエピソードは、私が子供の頃に聞かされました。今では、それだけ真剣になって話してくれた隣のお爺さん(当時)の表情を思い出すと、懐かしくなる歳になりました。