《病院内では時々面白い会話と出合う》
母から病院の診察券を預かると、私が一足先に病院の受付口へ向かい少しでも若い受診番号を貰っておくことが、最近やるべき仕事の一つに加わりました。
母は約1時間後に介護の人の車に乗せてもらって玄関先までやって来ます。
あとは車椅子に乗り換えて受診と、処方箋を受け取って薬局で薬をもらうまでの間、私は母と終始付き合う時間となるのです。
以前までは受付番号が40番前後で、大袈裟に言うと家に戻るまでは一日仕事だったのですが、朝の早い内に診察券を受付に提出することによって大概は午前中で済むようになりました。
私は文庫本を持ち込んで時間を潰すのですが、どの患者さんも何度か来院している内に馴染みの人ができるらしく、待ち時間の話し相手欲しさに人が動く度にキョロキョロしている仕種を見るのは、いつもの光景。
そして誰かを見つけようものなら手招きして側に呼び寄せます。
相手は一瞬びっくりしたような顔をしますが、患者仲間と判ると俄かに相手も顔を綻ばせて喜びます。
お互いに病状の経過報告と世間話で話は弾んでいきます。
私は本を閉じ目を瞑って、高齢の女性二人の会話に暫し傾注することにしました。それは読書よりも興味を惹く話題が豊富に聞けるような気がしたからです。
患者さんは高齢の方が大半を占め、普段「話すこと」に飢えているような印象を強く感じました。だから、このような場で発散していくのでしょう。
一人の方が「今日は先生に芋洗いをして貰うんだ」と言ったら、それを聞いた方も「へー、それは大変だ」と大きく頷きました。
芋洗いを頼まれた医師も、よく承知したものだと私も大変だと思った瞬間、次の言葉で私のパニックは収まりました。
「ベッドみたいなところさ寝そべって写真撮ると、身体が輪切りのようになって写る機械だっぺ」と聞いていた方が言いました。
MRI(Magnetic Resonance Imaging System )=磁気共鳴画像装置のことを話していたのです。
相手の方も「芋洗い」で通じたのです。
◎昔、NHKのことを「エムエッチケ」と云っていた人を思い出しました。
母から病院の診察券を預かると、私が一足先に病院の受付口へ向かい少しでも若い受診番号を貰っておくことが、最近やるべき仕事の一つに加わりました。
母は約1時間後に介護の人の車に乗せてもらって玄関先までやって来ます。
あとは車椅子に乗り換えて受診と、処方箋を受け取って薬局で薬をもらうまでの間、私は母と終始付き合う時間となるのです。
以前までは受付番号が40番前後で、大袈裟に言うと家に戻るまでは一日仕事だったのですが、朝の早い内に診察券を受付に提出することによって大概は午前中で済むようになりました。
私は文庫本を持ち込んで時間を潰すのですが、どの患者さんも何度か来院している内に馴染みの人ができるらしく、待ち時間の話し相手欲しさに人が動く度にキョロキョロしている仕種を見るのは、いつもの光景。
そして誰かを見つけようものなら手招きして側に呼び寄せます。
相手は一瞬びっくりしたような顔をしますが、患者仲間と判ると俄かに相手も顔を綻ばせて喜びます。
お互いに病状の経過報告と世間話で話は弾んでいきます。
私は本を閉じ目を瞑って、高齢の女性二人の会話に暫し傾注することにしました。それは読書よりも興味を惹く話題が豊富に聞けるような気がしたからです。
患者さんは高齢の方が大半を占め、普段「話すこと」に飢えているような印象を強く感じました。だから、このような場で発散していくのでしょう。
一人の方が「今日は先生に芋洗いをして貰うんだ」と言ったら、それを聞いた方も「へー、それは大変だ」と大きく頷きました。
芋洗いを頼まれた医師も、よく承知したものだと私も大変だと思った瞬間、次の言葉で私のパニックは収まりました。
「ベッドみたいなところさ寝そべって写真撮ると、身体が輪切りのようになって写る機械だっぺ」と聞いていた方が言いました。
MRI(Magnetic Resonance Imaging System )=磁気共鳴画像装置のことを話していたのです。
相手の方も「芋洗い」で通じたのです。
◎昔、NHKのことを「エムエッチケ」と云っていた人を思い出しました。