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アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

波多野澄雄「東アジアの歴史問題と日本の対応」

2013年11月20日 | 歴史観
波多野澄雄「東アジアの歴史問題と日本の対応」(2013.11.19)

 頭書の講演を聴く機会があった。戦後補償問題について語りながら、講師には被害者に寄り添う感性が全くない。ほとんどが日本政府の立場の解説であり、とても聴いていられず、中座を考えたが、最後まで聴くことにした。
 後半はレセプションであったが、とても不快で、参加する気にもなれず、帰宅した。思いついた順に講師の発言について検討していこう。

(1)日本の援護立法の特徴として、日本人優先、公務優先、国籍差別を挙げているが、講師は「(国籍差別を)悪いといっているわけではない」と全面的に肯定している。朝鮮から24万人、台湾から22万人が軍人・軍属として動員され、それぞれ3万人、2万人が戦死しているにもかかわらず、謝罪と補償どころか、日本人のように「援護」する必要もないというのだ。

(2)講師は「戦争責任者は誰か」と問いながら、天皇にもあることを明言しなかった。講師は筑波大の名誉教授であるが、真理に生きる教員ではなく、体制順応型の御用学者のようだ。また、サンフランシスコ条約のなかに「東京裁判の判決を受託した」と書かれているが、「南京での虐殺30万」という判決文をさすのではなく、「結果の受託」に過ぎないという考えを支持しているようだ。肝心なところは必ず曖昧にしている。

(3)日本の教科書検定制度は検閲ではなく、校閲または改善意見を付すだけだと、教科書検定制度を100%支持している。最近中国や韓国が抗議をしなくなったのは、検定制度についての理解が進んだからだとウソをついている。韓国も中国も毎回抗議している事実を知らないわけではあるまい。検閲ではなく改善意見を付しているだけだから従わなくてもよいならば、教科書問題は起きない。教科書会社が検定に従わざるを得ないという現実をねじ曲げている。

(4)講師は従軍慰安婦に関する調査に参加したが、文書資料は見つからなかったという。日本軍が敗戦前後に、夜を徹して公文書を燃やし、戦犯容疑の証拠を隠滅していたことを知らないはずがない。裁判官が証拠を隠滅して、判決を出したようなもので、被害者がいても、証拠がなければ無罪という論法だ。村山談話や河野談話は証拠もなしに軍の関与を認め、お詫びしたと否定的に見ている。

(5)独島(竹島)問題について、講師は議論の積み重ねが不足しているとしているが、日露戦争で日本が窃取したのである。歴史的事実を無視して議論など成立するはずがない。まさに、政府の提灯持ちだ。

(6)最後に、安倍政権に「新たな歴史談話」を進上している。だが、その前に慰安婦問題や強制連行問題を解決せよと、講師自身の責任ある発言をしてはどうか。

 会場からは、「特定機密保護法を作ろうとしている政府に、歴史文書の公開を期待することなどできない」「不二越に強制連行され強制労働させられていた少女たちから学べ」など、講師に対する不信と批判の発言が相次いだ。
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