と言うわけで、昨今精神医学系の本(本格的な医学書じゃなくて読みものとしておもしろいのが中心だけどね)を多少読みかえしてるのでネタにするが、ネットで精神病関係の発言する連中が大好きなのが「サイコパス」と言う言葉。
ここ読みに来る「お好きな方」なら、ネットで使われるその用語の意味は概ね分かると思うが、犯罪を嗜好する人とか、罪悪感がない人とか、そんな感じで使われますね。
で、この言葉を精神医学用語だと思ってる方も多いと思うんですが、これが厳密には間違い。少なくとも現在において、カルテに「サイコパス」と書かれることはほとんどない。診療の事実上の基準となっているアメリカのDSMという診断基準に、サイコパスやサイコパシーと言う言葉がもうないからなのね。
とは言え、かつては確かにそういう用語が使われていたことは事実でね。「精神病質」と言う名前でこれの英語がサイコパシー。これに罹患してる人をサイコパスとは言った。ただその言葉は今ではもう使われなくなっていて、サイコパスに類する人は「反社会性パーソナリティ障害」と呼ばれている。こう言い換えられたのはずいぶん前だから、今や現役の精神科医で精神病質なんて言葉をカルテに使う人はいない。サイコパスという言葉もまたしかり。
で、心理学においては一応まだ現役の用語。精神科医学の世界においては、雑談には使うかもしれないけど、実際の現場でその用語が使われることはまずない。実際、「カプラン」というクッソ高価な臨床精神医学テキストを紐解いてみても、「サイコパス」や「Psychopathy」という言葉は出てこない。綴り的に「Psychopathology Inventory for Mentally Retarded Adults」という言葉が出てくるが、綴りが近いだけ。Psychopathologyってのは精神病理とかそんな意味で、直訳すれば「知的障害成人者の精神病理目録」とかそんな感じで、意味的には全く関係がない。
まあ、精神科医療と心理学ってのはそれなりに近しい立場にあるし、フロイトの本あたりは精神科医も勉強で読むけれども、それは精神科医療の歴史を学ぶために読むんであって、自分の治療に役立たせるために読むものじゃない。
で、みんなが思うのは、「サイコパスが今では反社会性パーソナリティ障害という診断名なのは分かった。じゃあ、その診断されれば罪は軽くなるのか?」と言うことだと思う。この答えは実は微妙な回答しか出せない。イエスでもありノーでもあると言える。まあ、回答とすれば限りなくノーに近いが。
そもそもの話として、重大事件であれば逮捕→裁判の流れは止まらないと考えて良い。そして、反社会性パーソナリティ障害は、「障害」と名前がつくように、病気とは一概に言い切れない部分もあり、それだけをもって罪を軽く出来るかといえば結構難しい。パーソナリティ障害なんか病気じゃない。ちゃんと逮捕して罰を科して、悪いことしたんだということを体にたたき込むしかない、という精神科医も多いからね。
要は順序が逆で、反社会性パーソナリティ障害で困ってるから、と自発的に医者にかかれば治療(つーても直接的に作用する薬はないからカウンセリングと行動療法が中心)の対象とはなるが、それが元で犯罪を犯したからと言っても、そこは性格のもんだから刑が軽くなる可能性は低い、とまあ、そんな感じ。
実際例を示せば、ぬたりが生まれた頃、ぬたりの地元を震撼させた某連続殺人事件があり、犯人は死刑(執行済み)となったわけだが、彼にもきちんと精神鑑定の診断書が残されている。そして、そこにはしっかり「精神病質(当時はこの言葉をまだ使っていた)」の名前が踊っているのである。精神鑑定でサイコパスの診断は下されていたのだ。
しかしながら刑執行は止まっていない。判決から死刑執行まで3年弱と結構早い。連続殺人であり、罪があまりに重すぎるのはあるけれども、サイコパスがほとんど酌量の材料にもならないことが分かりますね。
まあサイコパスと言う言葉をネットで弄ぶのは別に良いけどね。ネット自体が言葉を弄ぶ場とも言えるし、ぬたりもこうして言葉を弄んでるわけでな。でもそれは罪を起こした言い訳には使えるかもしれないけど、言い訳「にしか」使えないことは留意しておいて欲しいところね。
ここ読みに来る「お好きな方」なら、ネットで使われるその用語の意味は概ね分かると思うが、犯罪を嗜好する人とか、罪悪感がない人とか、そんな感じで使われますね。
で、この言葉を精神医学用語だと思ってる方も多いと思うんですが、これが厳密には間違い。少なくとも現在において、カルテに「サイコパス」と書かれることはほとんどない。診療の事実上の基準となっているアメリカのDSMという診断基準に、サイコパスやサイコパシーと言う言葉がもうないからなのね。
とは言え、かつては確かにそういう用語が使われていたことは事実でね。「精神病質」と言う名前でこれの英語がサイコパシー。これに罹患してる人をサイコパスとは言った。ただその言葉は今ではもう使われなくなっていて、サイコパスに類する人は「反社会性パーソナリティ障害」と呼ばれている。こう言い換えられたのはずいぶん前だから、今や現役の精神科医で精神病質なんて言葉をカルテに使う人はいない。サイコパスという言葉もまたしかり。
で、心理学においては一応まだ現役の用語。精神科医学の世界においては、雑談には使うかもしれないけど、実際の現場でその用語が使われることはまずない。実際、「カプラン」というクッソ高価な臨床精神医学テキストを紐解いてみても、「サイコパス」や「Psychopathy」という言葉は出てこない。綴り的に「Psychopathology Inventory for Mentally Retarded Adults」という言葉が出てくるが、綴りが近いだけ。Psychopathologyってのは精神病理とかそんな意味で、直訳すれば「知的障害成人者の精神病理目録」とかそんな感じで、意味的には全く関係がない。
まあ、精神科医療と心理学ってのはそれなりに近しい立場にあるし、フロイトの本あたりは精神科医も勉強で読むけれども、それは精神科医療の歴史を学ぶために読むんであって、自分の治療に役立たせるために読むものじゃない。
で、みんなが思うのは、「サイコパスが今では反社会性パーソナリティ障害という診断名なのは分かった。じゃあ、その診断されれば罪は軽くなるのか?」と言うことだと思う。この答えは実は微妙な回答しか出せない。イエスでもありノーでもあると言える。まあ、回答とすれば限りなくノーに近いが。
そもそもの話として、重大事件であれば逮捕→裁判の流れは止まらないと考えて良い。そして、反社会性パーソナリティ障害は、「障害」と名前がつくように、病気とは一概に言い切れない部分もあり、それだけをもって罪を軽く出来るかといえば結構難しい。パーソナリティ障害なんか病気じゃない。ちゃんと逮捕して罰を科して、悪いことしたんだということを体にたたき込むしかない、という精神科医も多いからね。
要は順序が逆で、反社会性パーソナリティ障害で困ってるから、と自発的に医者にかかれば治療(つーても直接的に作用する薬はないからカウンセリングと行動療法が中心)の対象とはなるが、それが元で犯罪を犯したからと言っても、そこは性格のもんだから刑が軽くなる可能性は低い、とまあ、そんな感じ。
実際例を示せば、ぬたりが生まれた頃、ぬたりの地元を震撼させた某連続殺人事件があり、犯人は死刑(執行済み)となったわけだが、彼にもきちんと精神鑑定の診断書が残されている。そして、そこにはしっかり「精神病質(当時はこの言葉をまだ使っていた)」の名前が踊っているのである。精神鑑定でサイコパスの診断は下されていたのだ。
しかしながら刑執行は止まっていない。判決から死刑執行まで3年弱と結構早い。連続殺人であり、罪があまりに重すぎるのはあるけれども、サイコパスがほとんど酌量の材料にもならないことが分かりますね。
まあサイコパスと言う言葉をネットで弄ぶのは別に良いけどね。ネット自体が言葉を弄ぶ場とも言えるし、ぬたりもこうして言葉を弄んでるわけでな。でもそれは罪を起こした言い訳には使えるかもしれないけど、言い訳「にしか」使えないことは留意しておいて欲しいところね。