俺の膵臓癌レベル4 K.Yさんの作品です
(ご本人から了承をとって、載せることになりました)
(ご本人から了承をとって、載せることになりました)
膵臓癌のレベル4と診断されると、終末も半端ではない。私が地球から離れる年月も長くて1年と担当医から言われると、3ヶ月、半年というケースもあるだろう。身近な陶芸仲間も2ヶ月の命だった。肝臓にも転移している。これは最悪。抗癌剤入院の始まる前に、最大限の終末をと考え、着実に実行した。テニスラケットは30本を処分し、軒下の東郷町の陶土はバケツ15杯を処分し、保有の陶芸品は、ゴミ袋に10袋を入れた。残すは衣料品と僅かな書物、資料となった。財産一覧表は改めて整理し、葬儀に必要な現金は引き下ろした。家内にも預金をいくらか振り替えた。明日電動ろくろを陶芸仲間に差し上げる。頭髪はスポーツ刈りにし、脱毛に備えた。
膵臓癌に特有なお腹の張りが日毎に強くなる。みぞおちが張り、痛む。体力はあるが、内臓の老廃化はすざましいのだろう。
膵臓癌レベル4は、癌の最悪で、短命だから、お別れは劇的となる。家内は動転し、娘は毎日泣いている。
陶芸部長は辞退し、文化協会の役員も退き(いずれも、居住自治体のサークル)、大学のクラス会の幹事も無理だと伝える。いつでも死ねる体制が必要となる。伸ばしていた家の不具合も矢継ぎ早に業者に電話をかけ修理していく。トイレの水漏れ、ドアの不具合を直す。洗濯竿の高さを低くなった家内に合わせ、劣化している放水ホースを新品にし、2階にもインターホーンを設置する。電光石火の終末だ。
今日の早朝、共同農園にアオザキがいた。大きな羽を伸ばして去って行った。俺も地球から遠い宇宙に去ろうとしている。