サンデー毎日に興味深い記事が載った。日銀の黒田氏が「今の政策は、そろそろ危ない」と語っているのだという。勿論しかるべく政府内部会議でのこと。そこから漏れ出てきたニュースだ。
なお、このことの関連で前にもいくつかのエントリーがある。4月15日『「財政ファイナンス」が破綻する時?』などである。
【 日銀が乱発国債を買う「ニセ札作り」にも限界 サンデー毎日 2015年7月19日号
ギリシャ危機を目の当たりにしても、日本の指導者はあっけらかんとしている。しかし五カ月ほど前、こんなことがあった。
正確に言えば2月12日、安倍政権の経済・財政政策の基本方針を決める「経済財政諮問会議」の席上で、黒田東彦・日銀総裁が「ここからは、オフレコにしてくれ」と切り出した。
議事録には、黒田総裁の発言として「財政健全化を強く希望する」という言葉だけが記録されているが、この会議には安倍晋三首相、麻生太郎・副総理、榊原定征・経団連会長らのほかに、関係各省の副大臣、官僚ら30人以上が出席していたから、「オフレコ」のハズの黒田発言の中身は徐々に霞が関に広がっていった。
黒田発言とは(その後の『日本経済新聞』の報道などをつなぎ合わせると)―。
〈皆さん、ご存じかも知れないが、今、日本国債の格付けが引き下げられた。その状況で、スイスに本部を置くバーゼル銀行監督委員会では「日本国債を損失が出ない安全な資産と考えるのはおかしいのではないか?」という議論が始まっている。国債をリスク資産と見なし、格付けに応じて査定するように銀行の審査基準を変更するという議論なんだ〉
ここまで聞いて、参加者は静まり返った。これまで銀行が保有する国債は、リスクゼロ資産とされていた。それが......。
黒田さんは「基準が見直されれば大量の国債を保有する日本の金融機関の経営が悪化し、国債が売れなくなって金利急騰につながりかねない」と説明した。国債はもうダメかもしれない、と弱音を漏らした、とみた向きもあった。
日本国の借金は2014年12月末時点で約1030兆円。国民1人あたり約811万円に達し、国内総生産(GDP)に占める割合は231・9%にまで膨らんでいる。
戦後、日本は「預金封鎖」(1946年)の悪夢を経験したが、その時、国の借金は対GDP比204%だったからこれを上回る。
この黒田発言と関係するかどうかは判然としないが、その数日後、NHK「ニュースウオッチ9」(2月16日放送)は「終戦直後の預金封鎖」を特集した。
× × ×
前回、「10年後、『貧乏人は戦地に行け!』が待っている」と書いたら、複数の読者から「大げさではないか?」とのご指摘を受けた。
そうかもしれない。が、大げさではない!とも思う。そこで敢(あ)えて、約半年前の「黒田オフレコ発言」を披露した。
そして注目されるのは、その場に居合わせた安倍さんの反応だ。黒田さんが日本国債の格付けに触れた時、安倍さんは「だから日銀が格付け会社と議論して、説得すればいいじゃないか」と反論した。黒田さんは「以前、どれほど格付け会社とやりあったか、ご存じですか。まったく、彼らは受け付けませんよ」と言い放った。
やり取りを聞いた人々は首相の「経済オンチ」に唖然(あぜん)とした。
× × ×
「異次元の金融緩和」などと称して、日銀が国債発行の80%を買うという、異常な政策を二人三脚で進めてきた安倍・黒田コンビ。二人に亀裂が生まれた!というつもりはないが、二人にとって「破綻寸前のギリシャ」は他人(ひと)事ではないはずだ。
当方も経済については素人だが、国が垂れ流す国債を無制限に中央銀行が直接、引き受けることを「財政ファイナンス」と言い、「国債マネタイゼーション」(国債の貨幣化)とも呼ぶことを知っている。
多分、この言葉すら、安倍さんは知らないのではないか?
はっきり、言おう! 中央銀行が国債を大量に印刷して、それを引き受け、カネに換える。過ぎたる国債は「ニセ札」ではないのか? 】
なお、このことの関連で前にもいくつかのエントリーがある。4月15日『「財政ファイナンス」が破綻する時?』などである。
【 日銀が乱発国債を買う「ニセ札作り」にも限界 サンデー毎日 2015年7月19日号
ギリシャ危機を目の当たりにしても、日本の指導者はあっけらかんとしている。しかし五カ月ほど前、こんなことがあった。
正確に言えば2月12日、安倍政権の経済・財政政策の基本方針を決める「経済財政諮問会議」の席上で、黒田東彦・日銀総裁が「ここからは、オフレコにしてくれ」と切り出した。
議事録には、黒田総裁の発言として「財政健全化を強く希望する」という言葉だけが記録されているが、この会議には安倍晋三首相、麻生太郎・副総理、榊原定征・経団連会長らのほかに、関係各省の副大臣、官僚ら30人以上が出席していたから、「オフレコ」のハズの黒田発言の中身は徐々に霞が関に広がっていった。
黒田発言とは(その後の『日本経済新聞』の報道などをつなぎ合わせると)―。
〈皆さん、ご存じかも知れないが、今、日本国債の格付けが引き下げられた。その状況で、スイスに本部を置くバーゼル銀行監督委員会では「日本国債を損失が出ない安全な資産と考えるのはおかしいのではないか?」という議論が始まっている。国債をリスク資産と見なし、格付けに応じて査定するように銀行の審査基準を変更するという議論なんだ〉
ここまで聞いて、参加者は静まり返った。これまで銀行が保有する国債は、リスクゼロ資産とされていた。それが......。
黒田さんは「基準が見直されれば大量の国債を保有する日本の金融機関の経営が悪化し、国債が売れなくなって金利急騰につながりかねない」と説明した。国債はもうダメかもしれない、と弱音を漏らした、とみた向きもあった。
日本国の借金は2014年12月末時点で約1030兆円。国民1人あたり約811万円に達し、国内総生産(GDP)に占める割合は231・9%にまで膨らんでいる。
戦後、日本は「預金封鎖」(1946年)の悪夢を経験したが、その時、国の借金は対GDP比204%だったからこれを上回る。
この黒田発言と関係するかどうかは判然としないが、その数日後、NHK「ニュースウオッチ9」(2月16日放送)は「終戦直後の預金封鎖」を特集した。
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前回、「10年後、『貧乏人は戦地に行け!』が待っている」と書いたら、複数の読者から「大げさではないか?」とのご指摘を受けた。
そうかもしれない。が、大げさではない!とも思う。そこで敢(あ)えて、約半年前の「黒田オフレコ発言」を披露した。
そして注目されるのは、その場に居合わせた安倍さんの反応だ。黒田さんが日本国債の格付けに触れた時、安倍さんは「だから日銀が格付け会社と議論して、説得すればいいじゃないか」と反論した。黒田さんは「以前、どれほど格付け会社とやりあったか、ご存じですか。まったく、彼らは受け付けませんよ」と言い放った。
やり取りを聞いた人々は首相の「経済オンチ」に唖然(あぜん)とした。
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「異次元の金融緩和」などと称して、日銀が国債発行の80%を買うという、異常な政策を二人三脚で進めてきた安倍・黒田コンビ。二人に亀裂が生まれた!というつもりはないが、二人にとって「破綻寸前のギリシャ」は他人(ひと)事ではないはずだ。
当方も経済については素人だが、国が垂れ流す国債を無制限に中央銀行が直接、引き受けることを「財政ファイナンス」と言い、「国債マネタイゼーション」(国債の貨幣化)とも呼ぶことを知っている。
多分、この言葉すら、安倍さんは知らないのではないか?
はっきり、言おう! 中央銀行が国債を大量に印刷して、それを引き受け、カネに換える。過ぎたる国債は「ニセ札」ではないのか? 】