■きみまつと / シュリークス (東芝)
この季節、各地各所で新人歓迎会は風物詩と思いますが、殊更学業の場においては、様々なサークルや部活の勧誘も大切な附帯行事でしょう。
若き日のサイケおやじにしても、すっかり遠くなったそんな日々の中、めでたく進級出来た高校2年の春の新入生歓迎会では、どうにか存続していた所謂ケイオンのバンド組の一員として、その場で演奏を披露したわけですが、やはり当時は歌謡フォークの大ブーム期とあって、ロックを標榜していた自分達は肩身が狭く……。
なにしろ前年晩秋にドラムスを担当していた最上級生が抜け、ベースの先輩がドラムスに、そしてサイケおやじがベースにコンバートされ、全く寡黙な上級生女子がキーボード、そしてボーカルの先輩がギターも兼任というギリギリの布陣でしたからねぇ、ここで踏ん張れなければ、バンド組のお先は真っ暗という状況でした。
そこで結局というよりも、必然的にフォーク組と合同演奏と言えば体裁は良いのですが、実質的にはバックバンドみたいな扱いでやらされた中のひとつが、本日掲載のシングル盤A面曲「きみまつと」です。
演じているシュリークスは保坂としえ&神部和夫という、後に夫婦となるフォークデュオで、しかも今日では保坂としえがイルカの芸名でソロ活動を展開し、あの「なごり雪」とか、シンミリと和みのヒット曲等々を放っていることが有名ですから、この作詞:阪田寛夫&作曲:山本直純が提供した「きみまつと」にしても、皆様には抒情派フォークという予測認識があるやもしれません。
しかし、掲載シングル盤に収録されたバージョンは、青木望のアレンジが強烈(?)なロック調で、具体的には全篇にドカスカ暴れるドラムスがロックバンドの意気込みを満たしているのですから、バンド組にとっても、それほど異存は無かったのです。
そしてやらしてもらいましたよぉ~、ドカドカ煩いハードなフォークロックをねっ!
さらに続けてGFRの「Heartbreaker」は、もちろんバンド組の単独演奏へ突入すれば、体育館はすっかり興奮のルツボ!
と書きたいところなんですが、ウケていたとは決して言えないのが本当のところ……。
あぁ、思い出してもサビシ~~~~ィ~~!▼?▼
それでも最後には再びフォーク組との合同演奏で、クライマックスの「花嫁」をやりましたんで、ど~にかこ~にか、面目は保てたと自分達に言聞かせることが出来ました。
また、これが功を奏したと思いたいんですが、バンド組に2名の参加希望者が来てくれたのは嬉しかったですよ♪♪~♪
ちなみにサイケおやじが新入生の時は、前年秋の文化祭でバンド組の先輩諸氏が学校側の注意を無視するが如き大音量で演奏した事件(?)から、ケイオンそのものが「部」から「同好会」へと格下げ、しかも吹奏楽部の預かりになっていたとかで、歓迎会での演奏披露はフォーク組のコーラスみたいな歌が1曲だけだった現実を思えば、それゆえにバンド組は肩身が狭くとも、夢のようでした。
ということで、新人歓迎会に何時になっても様々な思い出の宝箱でしょう。
そこには緊張と緩和、人間関係のあれこれ、さらには未来と過去がゴッタ煮となるような感慨も深く、毎年繰り返される悲喜こもごもが人生の味わいになるんじゃ~ないでしょうか。
ひとつの通過点だとしても、それは一期一会ですし、当たり前の幸せをそうと感じる気持ちは、恥ずかしながら今に至って気がついた次第です。
うむ、人生は長いようで、短く、また長く???