OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ザ・バンド気分でやった花嫁

2010-09-16 16:51:05 | 歌謡曲

花嫁 / はしだのりひことクライマックス (東芝)

GSブームが終わった後の我国芸能界は、従来の正統派歌謡曲や演歌の復活、またポップス歌謡の本格化、さらには歌謡フォークの大流行がありました。

特にフォーク関連では所謂アングラ系の歌手やグループまでもが堂々と放送メディアに登場するという状況でしたから、音楽好きの若者達が自ら歌って演奏するのはアコースティックギターを用いるのが主流になったのです。

このあたりは洋楽がリードしていた、シンガーソングライターのブームによるところも大きいでしょう。

ですからエレキを使ったバンドスタイルの演奏を好むサイケおやじのような者は、時代遅れと白眼視され……。

もちろんそこには未だ生き続けていた「エレキは不良」という間違った常識、あるいは日本のロックは売れないという現実があって、しかもアンプやドラムセットを使い、音量もそれなりに大きいバンド形態は、練習場所そのものにも苦労するという内情がありました。

さて、そんな時期に高校へ入学したサイケおやじは、所謂「けいおん」に入れてもらったのですが、そこは前述のとおり、アコースティックギターがメインのフォーク組が中心でした。

というか、ロック系のバンド組も存在していたんですが、実は前年に先輩達が学校側の警告を無視するが如き大音量でギンギンのハードロックを文化祭で演じてしまい、「部」は「同好会」に格下げされ、しかも吹奏学部の預かりになっていたのです。

しかし、それでも細々と存続出来たのは、前述したとおりのフォークブームがあったからで、とにかくそういうものを歌いたいという生徒の気持を大切にしてくれた学校側の配慮に、感謝を忘れてはならないでしょう。

とはいえ、サイケおやじが同好会のバンドに入れてもらった時には、わずか4人という必要最低限のメンバーが揃っていただけで、まあ、それゆえにサイケおやじも最初っからレギュラーという幸運にも恵まれたわけですが、エレキのバカ大将をやろうと意気込んでいた自分が、如何に流行から外れていたかを痛感させられましたですねぇ……。

そして必然的に練習はフォーク組と一緒にやる事になったのですが、そこで最初の課題となったのが、本日ご紹介の大ヒット歌謡フォーク「花嫁」でした。

演じているクライマックスは、フォーク・クルセイダーズのメンバーとしてメジャーに登場した端田宣彦がシューベルツの次に結成した新グループで、この「花嫁」は昭和46(1971)年春から秋にかけてのメガヒット!

確か同年のNHK紅白歌合戦にも出場して、この曲を披露したほどの勢いがありましたから、リアルタイムでフォークを歌いたいのなら、これしか無いの必須演目でした。しかも女性ボーカルがリードを歌っているのが、親しみ易い要因だったのかもしれません。

ちなみにクライマックスは、はしだのりひこ(vo,g)、藤沢エミ(vo)、中嶋陽二(g,b,vo,etc)、坂庭省悟(g,b,vo,etc) という4人組だったんですが、ここに残されたスタジオ録音のシングルバージョンでは、イントロこそアコースティックギターをメインにしているものの、演奏パートの大部分はブラスやストリングスをきっちり使ったオーケストラアレンジになっていますし、当然ながらエレクトリックなギターとベース、そしてドラムスが強いビートでサポートしています。

おまけに重低音が特徴的な当時の東芝サウンドの典型が作られているとあっては、正直言って、これは歌謡曲でしょう。

そして作詞:北山修、作曲:端田宣彦&坂庭省悟による楽曲そのものが、お決まりのコード進行ながらも、流石に良く出来ていると思います。せつない希望に満ちた歌詞と親しみ易いメロディが、悔しいほどに上手く融合しているんですねぇ~♪

ただし当時のサイケおやじは不遜にも、なんでこんな歌謡曲をやらなければならないのか? ツッパリ気分で不貞腐れていたのが本音でした。

これならベンチャーズ歌謡やGSもやれるよなぁ、というのが、せめてもの慰めというか……。

そこで結局、ランチャーズの「真冬の帰り道」とかもやらせてもらったんですが、バンド組の実質的なリーダーだったペース奏者の先輩が、なぁに、フォークって言っても、バックがロックでやれば、ボブ・ディランの気分になれるだろう~♪

そういう転進的解決策を提示したところから、そうかっ! 自分らはザ・バンド!

なぁ~んていう独り善がりで悦に入ったのは、今となっての笑い話です。

ということで、今でもこの歌を聴くと、懐かしさと面映ゆさがゴッタ煮となるサイケおやじです。

そして掲載したシングル盤は後年、百枚纏めて千円という超捨値セールで員数合わせ的にゲットした中の1枚なんですが、これもまた青春の思い出というやつかもしれませんね。

今更恥ずかしがる歳でもありませんが、けっこう好きだったりします。

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