■さすらいのバロック c/w 日曜日の朝落ち葉が / 范文雀 (クラウン)
何時になっても漂泊していると感じるのはサイケおやじの僻みなんでしょうが、だからこそ、気分にジャストミートのレコードを選んだり、鑑賞したりする楽しみは倍加すると書けば、やっぱり妙なレトリックを用いてるにちがいないわけですが……。
それを承知でご紹介させていただくのが、本日掲載のシングル盤です。
まずはジャケ写ポートレートに登場している范文雀のクールビューティな面立ちにシビレるでしょう♪♪~♪
発売されたのは昭和47(1972)年ですから、彼女のファッションが当時の梶芽衣子の代名詞として流行した「さそりファッション」をど~しても想起させられるのは賛否両論かもしれませんが、范文雀にもオリジナルが如き相応しさが感じられのですから、たまりません♪♪~♪
そして聞かせてくれるのが、彼女ならではのアンニュイなヘタウマ歌唱なんですねぇ~♪
しかも収録両面2曲とも、ヨーロピアン調のセミクラシック風ポップス歌謡に仕上がっておりまして、特に作詞:ちあき哲也&作編曲:三木たかしが提供のA面「さすらいのバロック」は、せつなくも哀しい喪失感が四季の移ろいに重なる漂泊の傷心、それが心に染み入りますよ。
もちろんここでは「おんな心」ではありますが、しかし、さすらう心象風景に男女の境目は不要でありましょう。
とにかく聴いているうちに感傷に溺れそうなる現在の自分が怖くなるほどです。
また、その意味でさらに素晴らしいのが作詞:伊勢正三(!)&作曲:値一滴、そして編曲:小山恭弘による「日曜日の朝落ち葉が」のクールな捨て鉢フィーリング♪♪~♪
当然というか、こちらもイージーリスニングなヨーロピアンサウンドに彩られている中、感情を抑えた范文雀の棒読み台詞歌唱が冴えまくりとあっては、自ずとその世界に惹き込まれてしまうのもムベなるかな!?!
なにしろ間奏では、媚びる寸前ギリギリの語りまで披露してくれるのですから、これぞっ! 女優レコードの真価真髄と思うばかりです。
ということで、何かと身辺が落ち着かないサイケおやじにすれば、こ~ゆ~刹那の音盤に縋る時こそが、今は至福です。
近況報告としては昨夜、旅から帰宅し、今朝も各所に出向くスケジュールに追いまくられている中、もしも好きな音楽や映画、エロスの楽しみが持てなくなったとしたら、それこそ断末魔でしょう。
そうした時間を捻り出すことに腐心するのが、生きている証なのかもしれません。