■Wishin' And Hopin' c/w 行かないで / Dusty Springfield (Phillps / フィリップス)
ダスティー・スプリングフィールドは、1960年代のイギリス大衆音楽界を代表する歌手のひとりですが、様々な事情から1970年代に入ると急速に売れなくなった所為で、一時は忘れられた存在でありました。
しかし、何かの機会に彼女のハスキーな歌声や自然体でソウルフルな節回しの妙、それでいてチャーミングな表現に一度でも接すれば、必ずや虜になることは請け合い!
それほど素敵な歌手がダスティー・スプリングフィールドであります。
と、いきなり大上段に構えた書き出しをしてしまったわけですが、それでも彼女については、もう、それしかありえない魅力と凄さを感じるのがサイケおやじの立場であって、大袈裟ではなく、予断は禁物!
ただしサイケおやじが英国の音楽に興味を惹かれたのはビートルズが最初ですから、そのまんまの勢いでホリーズやキンクスに夢中になっていた間に、実はダスティー・スプリングフィールドが実力派としてポップスの王道を邁進していた実情は後追いで知ったのです。
それと、もうひとつ、これは恥ずかしながらサイケおやじの少年時代からの性癖として、年上の綺麗なおねえさまが大好きですから、当時の洋楽雑誌に掲載されていた彼女の写真を眺めては、憧れが♪♪~♪
そして最初に買ったのが中古ではありますが、本日掲載のシングル盤でした。
ちなみにダスティー・スプリングフィールドは既に述べたとおり、イギリスの歌手なんですが、アメリカでも絶大な人気をあり、このシングル盤にメイン収録の「Wishin' And Hopin'」はアメリカ優先の大ヒットになった1964年の傑作で、曲を書いたのはご存じ、バート・バカラックとハル・デヴィッドの名コンビですから、売れて当然とは言いながら、やはりダスティー・スプリングフィールドならではのソフトハスキーな声質によるソウルフルな節回しがあればこそっ!
以下は全くサイケおやじの独断と偏見になるんですが、確かに彼女がブラックミュージックの影響下にある事は間違いないとしても、モロにコピーしてるわけじゃ~なくて、白人である個性を埋没させない上手さがあると思います。
それは所謂「ブルーアイドソウル」という音楽用語で括られる事もありますが、聴くほどに染み込んでくる彼女の魂の歌声は、筆舌に尽くし難いんですねぇ~♪
もう、こんな稚拙な筆を弄するまでもありません。
ただしダスティー・スプリングフィールドに接する「きっかけ」は、例えばエルビス・プレスリーの「この胸のときめきを / You Don't Have To Say You Love Me」やベイ・シティ・ローラーズの「ふたりだけのデート / I Only Want To Be With You」等々のカーバー&リメイクヒットによってもたらされている事も、また事実でしょう。
つまり急速に表舞台から消えていった彼女の諸事情が、あれこれ気にならないと言えば、嘘になるのです。
さて、そうして時が流れた1987年、突如としてヒットチャートを賑わしたのがペット・ショップ・ボーイズとの共演「What Have I Done To Deserve This ?」でありましたが、如何にもヒネリの効いたダンス系ポップスには、ダスティー・スプリングフィールド持ち前の個性がジャストミート♪♪~♪
本国イギリスはもちろん、アメリカや世界各国でも売れまくり、息を吹き返したダスティー・スプリングフィールドは、続けて幾つかのヒットを放っていったわけですが、ここまで書いてきた諸々に関しては、ちょうどその頃、イギリスで放送された彼女の特番(!?)に接したサイケおやじの後追いの知識でありまして、輝かしくも波瀾万丈のキャリアが綴られた往年の映像や音源に感動した記憶が今も鮮烈です。
もちろんそこには落目になっていた1970年代の実相、悪いクスリやバイセクシャル問題等々も含めて、光と影の世界があるわけです。
そのあたりについては、あえてここでは触れませんが、そういうものがあっての歌の味わいが無いと言えば嘘になるような気がします。
また彼女は不治の病により、1999年に意外なほどあっさりと言えば語弊があるとは思いますが、まだまで花を咲かせる時期に亡くなってしまった現実は、如何にも「らしい」と思うばかり……。
だからこそ、サイケおやじはダスティー・スプリングフィールドのレコードを愛でる度に神妙にもなりますし、その歌の力に心底夢中にさせられるのです。
ということで、ダスティー・スプリングフィールドについては、いくら書いてもキリが無いんですが、そのキャリアの初期には兄や友人と組んだスプリングフィールズというフォーク系のグループがあり、幾つかのヒットを飛ばしていた頃の巡業中にアメリカの黒人ソウルミュージャンと邂逅!?
それによってR&Bやジャズに目覚めた(?)た彼女は前述したスプリングフィールズを人気絶頂時に脱退し、ソロシンガーに転身! いよいよブルーアイドソウルの元祖的活動に入ったというのが歴史になっています。
掲載の私有シングル盤B面に収められた「行かないで / Stat Awhile」は、ちょうどその上昇期であった1963年の大ヒットであり、当時の世界的な流行になっていたモータウンサウンドと白人ポップスの幸せな結婚、あるいはフィル・スペクターの流儀がちょっぴり滲み出た素敵な仕上がり♪♪~♪
個人的には、こっちのB面に多く針を落していたのがサイケおやじの好みの表れでしょうか。
今回、この拙文を書くにあたって久々に数次、聴きましたが、やっぱり何度でもサイコォ~~~~♪
という気持はますます強くなるのでした。