OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

背信と羨望がザ・フー

2013-10-20 15:33:54 | The Who

ワイルド・アクション / The Who (Track / 日本グラモフォン)

日本盤シングルの大きな魅力のひとつが、ピクチャースリーヴの素晴らしさでしょう。

もちろん確かに日本のレコードは全体的に値段が高く、特にサイケおやじが子供の頃は自らの乏しい小遣いに比較して、とてもとても、その歌が好きだからといって、気易く買えるものではありませんでしたからねぇ~、ジャケ写の魅力というのも、実に大きな楽しい要素でありました。

しかし……、それが裏目に出る事だって、少なからずあったわけですよ……、思い込みと言われれば、まあ、それまでなんですけど、本日掲載の1枚は、まさにそれが先行して、肩すかしを極められた傑作でした。

だって、演じているのがザ・フーであり、暴虐のアクションがモロに堪能出来るにちがいない曲タイトル「ワイルド・アクション」に、ド派手なステージショットを使ったジャケ写が鮮烈ですからっ!

しかもこれが発売されたのは昭和47(1972)年2月、という事は例のウッドストックの熱演が映画でも公開され、その勢いがアルバム諸作はもちろん、シングル曲「Summertime Blues」や「無法の世界 / Won't Get Fooled Again」等々を我国でも大ヒットさせていた頃ですから、ザ・フーという稀代のロックバンドの新曲に期待するなというのは、殊更ファンにとっては無理な話です。

そこでサイケおやじはザ・フーの新譜シングルをゲットする心意気に燃えていたところに、レコード屋の店頭で出会ったのが、しつこいようですけど、このジャケ写にして、この曲タイトル!!

当然ながら、それまで全く聴いた事も無かったのに、絶対に凄いはずっ!

そう思うのが、これまたザ・フー信者の素直な気持でありましょう。

ところが速攻で帰宅して、レコードに針を落せば、クリビツテンギョウ~~!?!

ザ・フーをザ・フーに成らしめている爆裂のドラムスも地鳴りのペースも出ず、なんとっ!? 大人しい(?)アコースティックギターの地味なカッティングやピアノに導かれた、いやはやなんとも、曲タイトルとは裏腹の……。

うわっ、これは……、と思った次の瞬間、それでもドラムスが入ってくるあたりから、ボーカルに力が漲ってくるというか、グイノリの曲展開と中間部での十八番のコーラスワークがザ・フーならではの仕掛の妙♪♪~♪

そこであたらためて確認してみると、「ワイルド・アクション」という曲タイトルは完全に「邦題」であって、本当の曲名は「Let's See Action」なんですから、納得する他はありません。

いや、と言うよりも、これはこれでザ・フーでしか演じられない唯一無二のロックであり、似た様な事は当時の他のバンドでもやっていたんですが、お叱りを覚悟で書かせていただければ、これをもしもフェィセズあたりが?

と思っただけで、些か額に汗が滲むでしょう。

流石はザ・フー! それが最終回答であります。

ということで、実は何度でも聴きたくなるほど、魂が高揚させられるのが、この「ワイルド・アクション / Let's See Action」です。

あぁ~、この構成万全の様式美♪♪~♪

最後になりましたが、実は「ワイルド・アクション / Let's See Action」については諸説云々、制作過程には噂ばかりが先行した幻のアルバム「ライフハウス」絡みの音源である事は確かと言われていますが、演奏メンバーが果たしてザ・フーだけでなく、セッションミュージシャンの存在も含めて、どうにもはっきりしません。

そのあたりも含めて、サイケおやじはザ・フーの全盛期を感じる諸々が、ここに聴けると思っているのでした。

コメント (10)
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