■ゆうべの秘密 / 小川知子 (東芝)
小川知子は昭和40年代後半から大活躍したことで歌手としてのイメージが強いのですが、もともとは女優から歌手へ転向したのが本当のところです。
それはまず子役として活動した後、昭和40年頃に東映に入社、時代劇の脇役としてその可憐な魅力を振り撒きました。特撮時代劇「怪竜大決戦(昭和41年・山内鉄也監督)」に出演したのも、その流れです。
もちろん私がリアルいタイムで観たこの物語はご存知、地雷也・大蛇丸・綱手姫の三竦みをアレンジした忍者物で、彼女はそのツナデを初々しい魅力で演じていましたが、特に見所としては、まず短パン姿が刺客と間違われて松方弘樹と格闘になり、乳の辺りをしっかり触れられて狼狽する場面♪♪~♪ 次に悪漢にレイプされそうになるあたりでしょうか。
尤も基本は子供向けとあって、今となっては刺激度の低いものです。
しかし同じ時代劇でも「大奥(秘)物語(昭和42年・中島貞男監督)」では、岸田今日子とのレズ♪♪~♪ さらに彼女が将軍の胤を宿したことから嫉妬され、流産に追い込まれるという、美しくも悲しい演技が認められ、続く「続・大奥(秘)物語(同)」では、弱冠18歳で主役に抜擢されるのですが……。
残念ながら、初主演作にしては演技が些か不完全燃焼気味だった思います。
そしてこの後、歌手へと転向し、昭和43年春に大ヒットさせたのが、本日ご紹介のシングル曲「ゆうべの秘密(作詞:タマイチコ / 作曲:中洲 朗)」というわけです。
もちろん、ここまでの経緯は後に知ったことですし、前述した大人向けの出演映画作品についても後追い鑑賞だったんですが、それにしても「ゆうべの秘密」をヒットさせ、テレビに登場した小川知子は、まさに若き日のサイケおやじの好みだったお姉さん系、そのものズバリ♪♪~♪
歌詞の中身の意味合いなんか完全に理解出来なくとも、そのエロキューションというか、素敵なファッションセンスとは裏腹の艶めかしさが、なんともたまりませんでしたねぇ~♪
そのあたりは女優出身ということで、ある意味ではプロの演技力があればこそだったのかもしれませんが、次々にカッ飛ばすヒット曲を披露する歌番組の他に、バラエティでも卓抜なコントを披露するなど、幅広い活動を展開していたのです。
その中では昭和49年だったと思いますが、今や伝説の「夜のヒット・スタジオ」事件があまりにも強い印象を残しています。それは私生活で恋人だったレーサーの福沢幸雄の事故死に関連して、生出演中に泣き崩れるという!?!
まあ、今となっては、所謂「やらせ」だったというのが定説になっていますが、リアルタイムでは芸能ニュース等々で大きく報じられた記憶が鮮明です。
ちなみに彼女の持ち歌は、この「ゆうべの秘密」に代表されるように、どちらかというと演歌~歌謡曲系でしたが、既に述べたように素晴らしいファッションセンスは同時代の女性歌手の中では、誰よりもポップで大変にお洒落な雰囲気でした。この感覚が昭和歌謡曲黄金時代の味わいだと思います。
ただし、このシングル盤のジャケ写は、いけません。なんかロンパリ寸前というか、ぶりっ子のやり損いというか……。どうか、リアルタイムでの彼女をご存じない皆様は、絶対に惑わされないことを望みます。
ということで、最近の小川知子は、某新興宗教団体の「顔」として活発な活動をされていた時期もありますし、そう言えば昭和59年にヒットした谷村新司とのデュエット曲「忘れていいの」では、歌っている最中に谷村新司が彼女の胸元に手を入れるという演出も、忘れ難いものがあります。
つまり歌と自らの存在があまりにも強いイメージを喚起する小川知子♪♪~♪
相当にアンタッチャブルな人なのかもしれませんが、忘れ難いです。