OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ラスカルズの自由の尊さ

2009-04-29 10:21:19 | Rock

自由への賛歌 / The Rascals (Atlantic / 日本グラモフォン)

ラスカルズは所謂ブルーアイドソウルと呼ばれる白人R&Bグループですが、確かにそのとおりながら、実は洒落たコード進行の名曲、意外にジャズっぽい味付けの演奏、そして基本はオルガンロックという、私の大好きなバンドのひとつです。

近年では山下達郎のお気に入りとしても有名ですよね。

メンバーはエディ・ブリガッティ(vo,per)、ジーン・コーニッシュ(g,vo)、フェリックス・キャバリェ(org,p,vo)、ディノ・ダネリ(ds) という4人で、ニューヨーク出身らしいのですが、名前からしてイタリア系でしょうか?

まあ、それはそれとして、やっていることはソウルミュージックのニューロック的解釈でしょうが、ヒットソングのキモを大切にしながらも、ジャズやラテンミュージックも貪欲にミックスさせた音楽性は実にお洒落で、しかも熱い魂が大きな魅力です。

デビューしたのは1965年で、翌年春にはファンキーロックな「Good Lovin'」を大ヒットさせ、さらに1967年には元祖AORの決定版「Groovin'」を永遠のヒット曲にしているほどですから、今もって人気が高いのも納得される活躍でした。

そういうスタイルを作り出していたのがバンドの中心人物だったエディ・ブリガッティとフェリックス・キャバリェのコンビで、曲作りからアレンジ、さらにボーカリストとしても熱い魂とソフトな黒っぽさを併せ持った、ほんとうに素晴らしいミュージシャンです。

そして皆様ご推察のとおり、このバンドにはレギュラーのペース奏者がいませんから、スタジオレコーディングではセッションプレイヤーを入れていたのですが、そこに参加していたのが、エレキベースではチャック・レイニーやジェリー・ジェモット、またウッドペースではリチャード・デイビスあたりの極めて凄いグルーヴメイカー達ですから、サイケおやじが夢中になる要素が揃っていたというわけです。

さて、本日ご紹介のシングル盤は、ラスカルズ最大のヒット! 原曲名は「People Got To Be Free」、1968年夏から秋にかけて全米チャートのトップを独走しています。

力強いソウルビートに乗って、いきなり歌い出されるサビメロの景気の良さ! たたみかけてくるブラス&ホーンの気持ち良さ! グルーヴしまくるエレキベースとドカドカ煩い8ビートに拘るドラムスは、当時流行していた南部系ソウルミュージックのニューヨーク的展開というか、キメのビートリフも実にカッコイイです。

そしてもちろん、フェリックス・キャバリェのリードボーカルは熱血ですし、エディ・ブリガッティとの掛け合いやコーラスの黒っぽさ、唸るオルガンにジャズっぽいギターのオカズも冴えまくりという、まさに間然することない名曲名演です♪♪~♪ なによりも歌の泣きメロそのものが秀逸ですよっ!

実は告白すると、サイケおやじは最初にラジオでこの曲を聴いた時、黒人のグループかと思ったほどです。う~ん、それにしては洒落ているなぁ~、なんて思っていたのですから、今となっては笑止なんですが。

とにかく私は昭和43(1968)年のクリスマスに買ったという思い出の1枚でもあります。何故って? だって、これを持って従姉のお姉さま達が集まるパーティへ行ったんですから♪♪~♪

そしてラスカルズが大好きになったのは言うまでもありません。しかし当時はLPを買うことが出来ず、それでも執念でコンプリート近くまで収集出来たのは二十代も既に後半に入った頃でした。

ちなみにラスカルズはライブバンドとしても人気があったそうですが、その現場でのベース奏者は誰が務めていたのかも、かなり興味の対象です。

それと、この「自由への賛歌」が収められているアルバム「Freedom Suit」は2枚組で、C面には2曲、そしてD面に1曲だけという、長いアドリブ中心の演奏が聴かれます。そこにはオリジナルメンバーに加えて、ゲスト参加のホーンセクションや蠢きグルーヴ系のエレキベースが大活躍♪♪~♪ キング・カーティスのテナーサックスも出てきますし、メンバーの中ではディノ・ダネリが4ビートまで叩く大奮闘! またフェリックス・キャバリェのサイケオルガンとかジーン・コーニッシュのロックジャズなギターも楽しめますが、もちろん極めてアートロックな色彩が濃厚です。

う~ん、やっぱりラスカルズはライブバンドとしても一流という証明でしょうか!? 正直、今となっては退屈な部分も否定出来ませんが、この路線を1971年頃の解散まで捨てなかった潔さは評価されるべきかもしれません。

またラスカルズは黒人系の音楽志向があった所為で、常に黒人歌手との共演ステージを望んでいたそうですし、黒人公民権運動団体への寄付も行っていたらしく、それゆえに保守的な白人層からは疎まれ、特にアメリカ南部ではレコードの不買運動とかコンサートキャンセルが相次いだ時期もあったと言われています。解散に追い込まれたのも、それがひとつの原因だという噂も!?

そして残念ながら、メンバーのその後はソロ活動や新バンドの結成等々があるものの、やはりラスカルズ時代を上回ることがありませんでした。

しかしラスカルズの素晴らしさは、それで歪められるものではありませんし、こういう素敵なバンドは風化させてはいけません。この曲を聴く度に、サイケおやじは心底、そう思うのでした。

コメント (2)
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