OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ラグナビーチの思い出

2009-04-15 11:32:56 | Jazz

Lighthouse At Laguna (Contemporary)

如何にも1950年代、アメリカが一番良かった時期がモロという美女水着ジャケットが有名な1枚♪♪~♪ それは同時に白人ジャズ絶頂期を楽しめるライブの名盤でもあります。

と、ノッケからまたまた独断と偏見ではありますが、これを聴きたくなったのは、このセッションンで大活躍のバド・シャンクの訃報に接したからです。どうも4月2日に亡くなられたとか……。

それなら本来はバド・シャンクのリーダー盤かもしれませんが、サイケおやじは、このアルバムでバド・シャンクに魅了されたのですから、そこはご理解願いたいところです。

内容は、ロスから車で2時間ほど郊外のラグナビーチにある野外公会堂で行われたコンサートから、名演ばかりを抜粋したものですが、上手く拍手を編集したりして、おそらくは別個のパフォーマンスであった様々なバンドの演奏が、ひとつの流れで楽しめます。

録音は1956年6月20日、参加メンバーはハワード・ラムゼイ(b) 率いるライトハウスオールスタアズとしてフランク・ロソリーノ(tb)、バド・シャンク(as,fl)、ボブ・クーパー(ts)、クロード・ウィリアムソン(p)、スタン・レヴィー(ds) という魅惑の面々♪♪~♪ そしてゲストとしてバーニー・ケッセル(g)、さらにハンプトン・ホーズ(p)、レッド・ミッチェル(b)、シェリー・マン(ds) という強力ピアノトリオも出演しています。

A-1 Witch Doctor No.2 / Lighthoues All-Stars
 いきなり快調なスタン・レヴィーのドラムスが、なかなか柔軟なラテンビートを叩き出し、しかし全体は真っ当なモダンジャズという素晴らしさ! 纏まりの良いテーマアンサンブルからフランク・ロソリーノの高速スライドが冴えわたりのアドリブへ突入していく瞬間の高揚がたまりません。
 そして続くバド・シャンクがエキゾチック風味なフルートで高得点♪♪~♪ このあたりのムードはアメコミ系アニメとして我が国でも放映さていた「ジョニー・クエスト」のアメリカ版テーマ曲のようで、本当にワクワクさせられますねぇ~♪ 若き日のサイケおやじは、このパートで一発KOでした。
 さらにクロード・ウィリムスソンのピアノが、これまた琴線に触れまくり♪♪~♪ トドメに炸裂するスタン・レヴィーのラテンなドラムソロは、山本リンダの「どうにもとまらない」を歌いたくなりますよっ!

A-2 'Round About Midnight / Barney Kessel
 そして一転、あまりにも有名なモダンジャズの大名曲が、バーニー・ケッセルのギターを主役に演じられます。もちろん、ゆたったりしたノリとふくよかなハーモニーでバックアップするオールスタアズの趣味の良さは言わずもがな♪♪~♪
 ですからバーニー・ケッセルも相当に思い切ったアドリブフレーズと構成を妙を聞かせてくれますが、予定調和をきちんと演じているのは賛否両論でしょうか。
 このあたりはサイケおやじにしても、若い頃はツマラナイなぁ、なんて贅沢な我儘をタレていましたが、今では流石と思わざるをえません。
 ズバリ、出来すぎ!?

A-3 Mood For Lighthouse / Lighthoues All-Stars
 これが如何にも西海岸ジャズらしい、お気楽グルーヴが実に楽しい快演です。このミディアム・テンポの弾んだ雰囲気こそが、白人ジャズの極みかもしれませんねぇ。
 そしてアドリブパートではフランク・ロソリーノの些か散漫なアドリブが結果オーライでしょう。呑気に何も考えていないようなボブ・クーパーのテナーサックスも良い感じ♪♪~♪

A-4 Walkin' / Hampto Hawes' Trio
 そしてこれがA面のハイライト!
 グルーヴィで真っ黒なハードパップ! 完全にそれまでのフワフワしたムードを一掃する大名演のピアノトリオが、ここに記録されています。
 曲はお馴染みブルースとはいえ、この粘っこさとファンキーで明快なフレーズの積み重ねには歓喜悶絶させられますよっ! ハンプトン・ホーズにしても畢生でしょう。データ的には、このコンサートの数日後に名盤「Vol.1」を録音してしまうのが納得されます。
 脇を固めるレッド・ミッチェルとシェリー・マンは2人とも白人ですが、十分にハードバップのキモを掴んだサポートですから、聴いているうちに気持ちがグングンと高揚していくのでした。

B-1 Blind Man's Bluff / Lighthoues All-Stars
 クロード・ウィリアムソンが書いた西海岸ハードバップの典型のような、実にスマートで痛快な名曲名演です。もちろん作者のファンキーなピアノが伴奏とアドリブ、その両面で冴えまくり♪♪~♪
 そしてボブ・クーパーの懸命なテナーサックス、猛烈な勢いが見事なフランク・ロソリーノのトロンボーン、フワフワと浮遊しながらツッコミも鋭いバド・シャンクのアルトサックスも大熱演の連続です。特にバド・シャンクは同時代にアート・ペッパーという超天才が存在していた為に、どうしても比較されての不当評価は免れませんが、個人的にはこのアルバムで好きになったと、愛の告白をしておきます。

B-2 Lady Jeane / Lighthoues All-Stars
 フランク・ロソリーノのオリジナルという愛らしいメロディが、もちろん作者の独り舞台で演じられます。あぁ、このホノボノとして明朗な性格が滲んでいるようなトロンボーンの味わい深さ♪♪~♪
 もちろん本人の人柄は知る由もありませんが、この演奏を聴いてると、なんか「良い人」のような気がしますねぇ。
 地味ながらハワード・ラムゼイの的確なペースワークも気になるところです。

B-3 The Champ / Hampto Hawes' Trio
 そして一転、ハンプトン・ホーズがまたまたカッ飛ばした大ホームラン! ガンガンに突進するハードバップピアノの真髄が徹頭徹尾に楽しめます。
 曲はディジー・ガレスピーが書いたモダンジャズの真相を秘めたブルースですが、ここまで熱く演じられたら、免許皆伝でしょうねぇ~♪ とにかく猛烈なアップテンポで十八番の「ホーズ節」を乱れ打ちいうピアノの痛快さは、まさに空前絶後!
 シェリー・マンのブラシは、白人らしいシャープな感性とビバップのエキセントリックなアクセントを見事に融合させていますから、白熱しすぎて火傷しそうです。
 また骨太で明快な4ビートを支えるレッド・ミッチェルのペースも侮れませんねっ♪
 もちろん観客は大興奮の拍手喝采!

B-4 Casa De Luz / Lighthoues All-Stars
 これはバド・シャンクが自己のリーダーセッションで度々演じている十八番ですから、ここでも爽やかにしてグルーヴィな、如何にもライブという楽しさに満ちています。
 もちろんアドリブ先発はバド・シャンクのアルトサックスが実に爽快に歌いまくりですよ。そして続くフランク・ロソリーノが浮かれた調子のトロンボーン♪♪~♪ このあたりは西海岸派の魅力が存分に満喫出来ると思います。
 またレスター派の面目を保つボブ・クーパーのテナーサックス、気取らないクロード・ウィリアムソンのピアノも滋味豊かだと思います。

ということで、バド・シャンクが良い味出しまくりのライブ盤です。

そしてハンプトン・ホーズの決定的な瞬間を記録した1枚としても、決して忘れられないでしょう。

実は告白すると、私はハンプトン・ホーズが聴きたくてジャズ喫茶でリクエストしたのが、このアルバムとの出会いでした。そして当然ながらハンプトン・ホーズの凄い名演にシビレましたが、同時にバド・シャンクというマルチリードの名手にも邂逅し、またウエストコーストジャズの明朗な魅力の虜にもなったのです。

それはサイケおやじが十代だった1974年のことでしたが、その直後、私はある幸運によりアメリカへと旅立つことになりました。そしてこのライブ興業が行われたラグナビーチへも行くことが出来たのは、今となっては嬉しい思い出です。

それゆえにお土産として買ったのも、このアルバム♪♪~♪

本日は、そんな我田引水で失礼致しました。

そして最後にはなりましたが、バド・シャンクの御冥福を衷心よりお祈り致します。

コメント (2)
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