OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ディープ・パープルのデビュー曲が好き

2009-04-26 15:14:01 | Rock

Hush / Deep Purple (Tetragrammaton / 日本グラモフォン)

ハードロックの王者として今に至るも揺るぎないディープ・パーブルのデビューシングルが、これです。

当時のバンドメンバーは所謂第一期で、ロッド・エバンス(vo)、リッチー・ブラックモア(g)、ジョン・ロード(org)、ニック・シンパー(b)、イアン・ペイス(ds) でしたが、演奏の密度はこれが出た1968年当時としても圧倒的に濃厚、しかもポップサイケな味わいも私にはリアルタイムでジャストミートでしたから、少年時代の乏しい小遣いを顧みもぜす、速攻でゲットさせられた1枚です。

というか、当時のメモを読み返したら、なんと昭和44年のお正月に、お年玉で買ったという事実が判明しましたよ。

肝心の演奏はオルガンが唸り、ギターが歪み、そしてヘヴィなロックビートが交錯する中で、後のバンド全盛期を鑑みればボーカルが些か穏やかなムードでしょうか。しかしそれは今になっての感じ方でしょう。リアルタイムでは、こんな猛烈なロックは驚異的だったんですよっ!

針を落とした直後から、野犬(狼?)でも吠えるSEに被さってガッツ~ンと鳴り響くバンド一丸の音出し、それに続くジョン・ロードのオルガン打楽器奏法によるリズミックなイントロ、さらに当時のヒット曲では当たり前のように使われていたモータウンサウンドをモロにパクった、たたみかける勢いのロックビート!

しかし、いよいよ聞こえてくる曲メロのコーラスが、ナァ~、ナナナァ~ナナ♪♪~♪ という極めてキャッチーなものでした! この適度に力んだボーカルとポップサイケなコーラス、それとは逆にハードロックど真ん中というキメのリフが、実にカッコイィィ~♪

当然ながら、当時のシングル盤ですからモノラルミックスなんですが、日本プレス特有のヌケの悪いモゴモゴ感が逆に結果オーライというか、当時も今も、それが不思議な親近感になっています。

気になるリッチー・ブラックモアのギターは、歌の合の手としては狂おしいばかりのフレーズを弾きまくり、音色そのものが既に特徴的です。

さらに少年時代のサイケおやじを熱狂させたのが、間奏で唸りまくるジョン・ロードのオルガンアドリブでした。う~ん、この頃から私はオルガンが好きだったんですねぇ~、なぁ~んて、今更ながらに思います。

アレンジ全体のタイトなキメも、イアン・ペイスのビシッとしたドラミングを中心に固められていますし、何よりもポップな雰囲気を壊さずに過激を貫いていた明快さが、大きな魅力でした。

ちなみに、この曲は前年にアメリカで大ヒットしたビリー・ジョー・ロイアルのカバーだということが、このシングル盤裏ジャケット解説に載っていましたが、私はこのバージョンが初体験でした。ただし、こういう遣り口は、やはり前年夏頃にヒットしていたヴァニラ・ファッジの演じる「You Keep Me Hanging On」の大成功がありましたから、ディープ・パープルは完全なる後追い体質だったわけです。もちろん件の曲は、オリジナルがシュープリームスというモータウンサウンドを代表していた女性グループによるものという真相は、皆様ご存じのとおりです。

しかしディープ・パープルがヴァニラ・ファッジと決定的に違うと私が感じたのは、同じオルガン主導のアレンジでありながら、メリハリがはっきりとした分かり易さだったと思います。つまりヘヴィロックがハードロックへと進化したのは、このシングル盤のヒットがきっかけじゃないでしょうか? 本日も独断と偏見の独り善がり、ご容赦願います。

それと私にとってこのシングル盤は、曲を書いたジョー・サウスとの出会いでもありました。

この人は白人のシンガー・ソングライターということになっていますが、その守備範囲はカントリー&ウェスタンから南部系ロックがメインらしく、自らも「Games People Play / 孤独の影」なんてヒット曲も歌っていますが、やはり縁の下の力持ち的な活動が多いようです。例えば前述したビリー・ジョー・ロイアルはジョー・サウスがスカウトして育て上げたシンガーですし、スタジオセッションとしてはアレサ・フランクリンのバックでギターを弾いたりする凄腕! さらに多くの素敵なメロディを書いていますから、なかなか要注意でしょうね。

さて、こうしてデビューしたディープ・パープルは、この曲がアメリカで大ヒット! というのは、契約していた「テトラグラマトン」という会社がアメリカのレーベルだったことから宣伝活動も上手くいったのでしょうが、その巡業で渡米したメンバー達は、あまりの歓待ぶりに困惑したり、感激したり♪♪~♪

結論から言えば、それゆえに後の活動が、ある意味で制約され、ついにはメンバーチェンジまでも……。どうやらロッド・エバンスはハリウッドスタアの道に進みたかったという噂まであったそうです。

ということで、皆様ご推察のとおり、ここ数日のサイケおやじはジャズモードに入らなくなってきました。こういうことは実際、これまでも頻繁にあったりします。

そして最後になりましたが、この歌の歌詞の中身は、女にクスリを与え、ヤリまくりたいという欲望剥き出し! 適度なスラングを使っているとはいえ、こんな歌がヒットしてしまうアメリカという国の凄さを痛感しています。

コメント
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