脳科学者の茂木健一郎氏が天才クラスと評価するのが、キムタクだった。絵が少しずつ変化していく箇所を当てる問題で、3問全問正解だった。この設問が一番、私も苦手だ。どこが変わったのか、さっぱり分からない。林先生はヤマ掛けて、そこだけ見ていたらしい。それでも外れた。キムタクは、そうではなく、ぼやっと全体を眺めているらしい。曰く「木を見て、森を見ないが如し」みたいな事を言った。そう指摘された林先生の切り替えしも見事だった。「木も、森も、林も、見ないんですね。」 この全体像把握みたいなやり方が宮本武蔵級だそうだ。剣の切っ先に集中していては、相手の動きが見えない。力を抜いて、全体を見る。完敗した林先生のコメント。「顔で負けて、頭で負けて、・・・」オレの存在感はどこにあるんだ、と打ちのめされていた。
人間の脳の記憶力は計り知れない。サヴァン症候群の人たちを見れば、それが分かる。一度聴いた曲を、完璧にピアノで再現できる能力。カレンダーの曜日を言い当てる能力。この人は、カレンダーを見ている、と考えられるそうだ。過去200年のカレンダーが、絵として頭の中にある。しかもこういった能力は、誰にもあるのだ、と茂木先生は言う。日常生活に支障をきたすから、封印しているだけだ、という。
そこで14年前のBBC放送を再掲する。長いので、途中までです。
サバン症候群・自閉症の天才たち
これはNHKドキュメント地球時間という番組のお話です。制作はイギリスBBCです。
スティーブン・ウイルトシャーという人がいます。彼は建築物に大変興味を持っていて、イギリス国内の有名な建築物を寸分違わぬ正確さを持って描写する才能を持っています。これだけなら、ただの画家ですね。しかし彼は描く対象物をひとめ見ただけでそれを記憶し、記憶だけをもとに正確に細部まで再現する能力を持っているのです。例えばその建物に窓が145個あるとすると、正確に145個描きます。しかし彼は自閉症患者であり、重度の知的障害を持っており、簡単な足し算も引き算も出来ないのです。
その能力の秘密を探ろうとヘリコプターでロンドン上空を一回りしてきます。降り立った彼はスケッチブックに向かい、まず大まかな構図を鉛筆描きで決め、それから一心不乱にペンを走らせます。ためらうことも、修正することもありません。3時間の間に12の名所、200の建物を書き上げました。それはまさしく、ロンドンを上空から見た鳥瞰図そのものです。作品を見ながらこれはセントポール大聖堂、、これはロンドン・アイ、これはテート・モダンとミレニアム・ブリッジという風に建物の名前を説明していきます。
ディレク・パラビチーニさん。ジャズクラブで働く20才。この人は一度聞いた音楽は即座にピアノで再現することができます。しかし彼も自閉症患者であり、重度の知的障害を持ち、数を数えることも出来ないし、左右の区別さえ出来ません。右手を上げてと言えば左手を上げます。その上彼は未熟児網膜症のため盲目なのです。その彼が一旦ピアノの前に立つと(座ると)ジャズバンドのピアニストとして自在に両手を鍵盤上で踊らせ、時にバンドリーダーとの即興的な連弾までこなすのです。おそらく今の彼は数千曲を記憶していて即座に演奏できるだろうと言われています。その能力は一度聞いたオーケストラをパートごとに再現できるほどです。アダム・オッケルフォード博士(音楽学)によると、彼の頭の中では常に編集用のプログラムが動いていて、だから即座に鍵盤上で音を探し当て、曲を再現できるのだ、そうです。これはプロの音楽家でもなかなか出来ない芸当です。
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