松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

陛下の新年挨拶を、深読みする。

2015-01-04 10:14:53 | 日記・エッセイ・コラム

 陛下が元旦に述べられたお言葉を、ずーっと考えている。

 「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なこと。」

 これを、あー戦後70年だからな。で済ました人は、国語力零点をお上げしたい。「この戦争」とは、アメリカとの戦争を意味しない。なぜなら満州事変から始まった、と断定しているからだ。ということはハルノートから始まった「太平洋戦争」でなく、その前の盧溝橋事件が発端になった(ように見える)日中戦争でもなく、その前の満州国が日本の後押しによって誕生するきっかけとなった(ように見える)満州事変からだ、とおっしゃっているからだ。「太平洋戦争」と言う「くくり方」が私は気に入らない。舞台は太平洋に点在する諸島だけじゃない。当時日本が主張した「大東亜戦争」の方が、範囲も意義も表しているように思う。陛下は「先の戦争」という言い方をされる。やはり太平洋戦争とは、おっしゃりたくないのだと忖度する。

 日本がロシアに勝って、満州鉄道の権益を譲与されてから後の一連の経緯を、国民みんなに学んでほしいのだと思う。過去の日本は戦争を避けることができなかった。しかし詳しく検証することによって、武力に頼らず、属国にもならずに済む道があるかも知れない。そこに持ってきて、安倍さんが「首相談話」を発表するという。これは天皇陛下のご意向に沿った談話でなければならない。

 前向きな談話になるはずだ、と言われているが、日本に着せられた汚名は晴らしてもらわねばならない。日本は韓国に自立することを望んだが、まったくその気がなかった。これでは共産圏に飲み込まれるか、米ソの取り合いになるか、ろくな未来はなかった。だから韓国を併合した。韓国を自立させるために、あらゆる投資を惜しまなかった。インフラの普及から教育まで、赤字経営になるまで注ぎ込んだ。台湾も同様だ。その事実だけでも、韓国に教えてやって欲しい。今でなくても。

 今、日本の歴史を、「国民のひとりびとりが」学ぶことを、陛下は要求されておられる。単純な構図。一部の軍人に責任を転嫁していないか。全員に勉強して欲しい。そういうふうに、私には聞こえる。そして同じ学ぶなら、絵の入った、参考文献の豊富な、小林よしのりさんの「戦争論Ⅱ」を推薦する。小林氏は平成21年の「御即位20年宮中茶会」に招かれており、「天皇論」の著作の影響が大きいと思われるが、それ以前の戦争論についても目を通しておられるはずだ。だから、一貫した彼の姿勢が好ましく皇室には受け入れられているはずだ。マンガと侮るなかれ。これは字の多い絵本だと思った方が良い。これが「おぼっちゃまくん」世代に与えた影響は、計り知れない。招かれるに当たっては、そういう事が評価されたのだろうと推察する。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 松村和子の「イヨマンテの夜」 | トップ | 阿部渉の無知 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記・エッセイ・コラム」カテゴリの最新記事