西暦2000年にネット世界に現れたタイムトラベラー、ジョン・タイターは、オリンピックの中止と共にインターネットの消滅する世界のことを予言というか、自分の居た世界の話として紹介している。
2036年のジョンタイターの世界線では、アメリカの分裂と混乱の中で、インターネットは徐々に消滅し、イントラネット(内部ネットワーク)のような状態に変わっていったという。ネット上では、そんなことは起こるはずがないと激しい論争になった。
2000年当時、ネットを行きかう情報量は微々たるものであった。2014年頃までは、500GBに達していなかった。
それが2020年には、一日2.5TBに迫るほどになって来ている。ギガの単位がテラになり、テラの次は、とケータイに話し掛けた。「てらのうえは?」と聞いたら「寺の上」と出て、すぐさま「テラの上」と訂正した。さすがのAI、頭がいい。答えはペタ。
ここへ来て、コロナが情報量の進化を速めている。そもそもインターネットはアメリカでテキスト(文字)ベースで軍事的暗号通信を行うことを前提に設計された基本システムで、今日のように映像、動画が広く浸透することを描いたものではなかった。そこへ持って来て、コロナだ。コロナの終息が遅れて、テレワークが主流になると回線とサーバーは極限まで使用され、やがて破綻を迎える。
50億人とも言われるインターネット使用人口の全員が一日16時間使用できるような環境は、どこにも整備されていない。
不気味な兆候はある。世界のナショナリズム化だ。それぞれの国が自国の利益を最優先した結果、情報や商品、人間の移動が制限される。各国が独自のネット環境に変えていく。その結果、ジョン・タイターがいうイントラネット状態が出現するのかも知れない。
アメリカが分裂して弱体化するなどということは、2000年には思いもつかなかった。今は可能性としてあり得ると言える。日本が世界に果たす役割は、決して小さくないのかも知れない。