松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

南部めくら暦

2019-11-28 07:23:06 | 日記・エッセイ・コラム

 夏にお中元をもらっておいて、何も返してないので、盛岡からギフトを送ろうと思った。かわとく一番館の5000円、7000円とセットになったお歳暮は目に悪い。恥ずかしいほどの金額で一つ手続きした。

  ついでに、二つ目の目的を探した。南部めくら暦は、どこで売っているだろう。来年用は見たいが、古いので構わない。とにかく現物を見たい。

  中津川のほとりを上流へ向かう。上の橋のたもとの古本屋を目指した。

 あやしげなツタに覆われた喫茶店の前を通る。

 前の日、火野正平がコーヒーを飲んだ店だ。ちょうど店の方が外に出て来た。

 「写真っこ、撮ってもいスか」きのう正平ちゃんを見たと言ったら、そうらしいですね、みんなに言われる、とおっしゃっていた。あれは2016年の岩手県版だった。

 学生時代は、平凡パンチやエロ本を探した店。

  私の勘は当たった。なにしろ店の袋に書いてある。

 それでまた一つ、興味が増えた。ナニ?「南部四種めくら経」しまった、店で気付くべきだった。まあいい。どうせオレには買えない値段だろう。

  南部めくら暦の創始は文化初年ころに遡る。江戸時代に一流の絵師を採用して数千部手摺したもので、最盛期の大正時代は1万5千枚に達した。このように本格的な文盲対象の絵暦は多分日本唯一のものであろう。とある。しかも太陰暦を採用した不自由なものを現代まで続けていることが、民俗的資料としての価値をさらに高めている。

  さわりをひとつ。右から読んで下さいね。一番上が年度です。

 和楽器の笙(しょう)と輪で昭和。重箱が5重とサイコロの目が4で、54年。やぎ歳、じゃなくてひつじ。右側が大刀で大の月、左が小刀で小の月。

  誰か荷物を担いで走っています。「盗賊が荷を奪う」で「にうばい」・・・「にゅーばい」「入梅」太陰暦で五月十七日。

  鬼が逃げているから、豆まき。おやじが裸で、「土用」てな具合です。

 この柄は年度が替わっても、そう変わりません。何しろ庶民の理解が大切ですから。サイコロの目の数は、知ってたんですね。でなきゃ、すごろくも出来ないし、賭博も出来ないですもんね。

  平成は、確か「塀」となんかだった。令和は、どんな絵か。興味ある。

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