山上俊夫・日本と世界あちこち

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自民党が長谷部氏の前に本命としていた佐藤幸治教授も批判

2015年06月07日 10時01分40秒 | Weblog
 衆院憲法審査会で自民公明推薦の参考人としてよばれた長谷部恭男教授が、政府自民党の思惑とは正反対の意見を述べて、自公政府提案の「安保法制」が本当は憲法に違反する「戦争法案」だということが一般国民にも分かりやすい局面をつくった。
 昨日(2015・6・6)「立憲デモクラシーの会」が東京大学でシンポジウム「立憲主義の危機」をひらいた。1400人がつめかけ第3会場まで用意する盛況だった。そこで「世界史の中の日本国憲法」と題する基調講演をしたのが佐藤幸治京都大学名誉教授治だった。佐藤氏は政府の司法制度審議会会長や法制審議会委員などを歴任した憲法学者だ。わたしは著名な憲法学者の佐藤氏が政府の委員にどっぷりつかっていることに違和感をおぼえていたが、こんどのシンポジウムで本来の立ち位置を明確にしたことで少しすっとした。佐藤氏は「第2次大戦の悲劇への反省から、戦後世界では基本的人権の保障と、戦争を立憲主義の反するものとして、平和国家をめざすことがグローバルスタンダードとなった。日本国憲法もそれを具現化している。」「憲法は押し付けられたとして改憲を主張する人たちに大変怒りをおぼえる」とのべた。(『赤旗』『毎日』2015・6・7)
 自民党は衆院憲法審査会にこの佐藤教授をよびたかったが、日程調整がつかずことわられたあげく、長谷部氏に頼んでひどい目にあったと思っているのだが、佐藤氏が招へいに応じたとしても同じ結果だったことがわかった。佐藤氏も長谷部氏も政府の委員として権力のつっかえ棒的な役割をにない、自民党などとの付き合いが深くなっていたのだろう。だから自民党は自分たちのことをおもんぱかっていいように演じてくれるだろうと踏んでいた。しかし、いま安倍自公政権がやろうとしていることは、政府に取り込まれたと私が思っていた人も、これをみとめれば憲法学者としての生命を失うようなな問題で屈伏を迫ったのだ。あたりまえのことだが、憲法学者としての研究を総否定する発言を安倍自公政府のためにすることはない。
 菅官房長官は、「全く違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる」と強がっていた。わたしは集団的自衛権は憲法9条の範囲内だというまともな憲法学者はいないと思う。いてもそれは、安倍首相のお友達の「自称学者」だけだ。安倍首相がNHKに送り込んだ籾井、百田、長谷川などと同レベルの人物だ。たくさんいるというが、じつは3人(八木秀次、西修、百地章)だ。いっぽう「安保関連法案に反対する憲法研究者の声明」の呼びかけ人・賛同者は189人だ。
 自民党はこんどはそのお友達の極右「憲法学者」を呼ぶしか手がないだろう。そうなると政府の法案を憲法学とは言えない乱暴な議論で応援してもらうことになり、そうではないまともな憲法学者との間で議論の質が明瞭になる。法案の本質がわかりやすい形で提供されることになる。
 
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