山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

『週刊現代』が原発問題では健闘

2011年04月13日 07時47分11秒 | Weblog
 『週刊現代』の先週号、今週号を買って読んだ。まじめに本格的に原発問題に切り込んでいる。とくに原発推進の産・官・学のトライアングルの責任追及がするどい。原発企業からの甘い汁を分け合う醜さを突く。
 一方で、原発に警告を発し続けてきた原子力研究者の存在を紹介している。京大の原子炉実験所がある大阪府熊取町に由来する「熊取6人衆」をとりあげててくれたのが、この問題に心を痛めている人に、一筋の光明をもたらしてくれた。この6人は、さまざまな差別をうけながらも、研究者の良心から原発の安全神話に意見をいいつづけた。原発推進に変身すれば、研究費は潤沢にもらえ、教授への昇進の道も開かれる。でもかれらは節を曲げないゆえ、差別され、教授にはなれない。助手のままのひともいる。でもかれらの言ってきたことが、いま、現に起きているのだ。安全神話をふりまいた教授たちの権威は地に落ちた。これから責任をとってもらわなければならない。東大の原子力研究室は東京電力から10年間で5億円をもらっていた。ちょうちん持ちになるのはあたりまえだ。
 立命館大学の安斎育郎さんも紹介されている。安斎先生は、組合の学習会や研究会でなんども講演をきいた。この安斎先生も東大医学部では17年間も助手のまますえおかれた。反体制派と目されて、電力会社の人間が尾行する、講演を録音しに来る、研究室でも安斎とは口を利くなと差別される。電力会社が、お金を出すから3年間アメリカに留学しないかとアメをしゃぶらせようとする。でもアメをなめたら言いたいことがいえなくなる。
 これらの研究者は、金や地位をあてがわれることに屈することなく、学問的良心をつらぬいた。科学的真理に忠実に生きた。彼らの存在がなければ、まったくのヤミだ。でもいまだにテレビなどでは推進派の教授しか登場させない。
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3 コメント

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みーんな国策大学 (青ぱんだ)
2011-04-15 20:23:36
 国立大学は国策大学なのだから、そういった面はあろうかと思う。それが良い、それも仕方ないというつもりはないが…。

 今回の原発事故によって、これまで日陰者に甘んじてきた「熊取6人衆」に脚光が当たることになった。きっと彼らは複雑な心境だろう。いや、悲しみでいっぱいに違いない。彼らは事故を望んでいたわけではないし、それによって自分らが表舞台に立つことを期待していたわけでもないはずだからだ。できれば、自分たちの警告に耳を傾けてほしかった。もちろん、それが結果として彼らの再評価にはつながることではあったろうが…。

 国策大学には、国の機関であるがゆえの「しばり」が存在する。それを補完すべきなのが私立学校の役割のはずだが、実際にそうなっているだろうか。答えは否である。ほとんどの大学は文科省の「補助金」という鎖につながれている。補助金なしでやっていける私立大学など、まずあるまい。けっきょくのところ、日本の大学はすべて国家の「ひも付き」にならざるをえない。さしずめ文科省は代理店といったところか。

 この国で教育改革、大学改革をおこなうのなら、まず東大を解体しなければ不可能だ。真の知識人を育て、国際社会に対峙していくためには避けて通ることのできないプロセスだと思うが、そのために必要なことは文科省を「仕分け」することであろう。
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Unknown (森寿博)
2011-04-17 11:44:50
お元気ですか。東京も東日本地震の影響で大変です。今年の「政治経済」は原発の問題から入ることにしました。吉井さんの本を友人に勧められ、書店で探したのですが、特設のコーナーにおかれていません。先日テレ朝の番組で国会での質問の場面が紹介されていましたが、少しずつ反・脱原発の側の報道もみられるようになるのでしょうか。今年の夏の大会では、原発の特別報告も企画しています。なにかいい人がいましたら、連絡ください。
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どうも (やまがみ)
2011-04-20 08:07:07
 わたしも「現代社会」は原発問題を最初にやっています。昨日、4枚目のプリントをやっとつくったところです。一時燃料棒が完全に露出した2号機(30%)よりも1号機のほうが燃料棒の溶融率が高く70%にもなっているのが驚きです。理由がわかりません。格納容器の一部である圧力抑制室が破れている2号機は高濃度汚染水を流し続けています。注水してもその分がすべて放射能汚染水になるのですからたまりません。
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