山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

新元号「令和」さわぎ、極右安倍派の政治利用に思う

2019年04月29日 14時26分27秒 | Weblog
 新元号「令和」さわぎはマスコミの総動員によって安倍支持率まで持ち上げるに至った。さらに天皇代替わりをもういちど政治利用しようと手ぐすねを引いている。統一地方選では、安倍自民は沖縄3区補選での大敗に象徴されるようにふるわなかった。
 国民の歓心を買おうと狙った10連休はからぶりに終わりそうだ。とくに非正規雇用層には生活破壊の10連休となった。あまりにも歓心を買う、支持率しか考えない、テクニックに走る安倍のやり口が裏目に出た。
 ところで「令和」。日本の伝統を振りかざす安倍氏は、1300年の伝統をこわして、「国書がいい」と新元号を『万葉集』を典拠にした。安倍氏を筆頭にする日本会議系の極右の人々は、「嫌韓・嫌中」だから、漢籍を典拠にする1300年の伝統を日本の伝統だと思わずに、いつまでも中国に従わうのはいやだ、日本発の単語も中国でたくさん使われているのだからそろそろ、と自立をめざした?ときあたかも日本のGDPは中国に抜かれ、ひとりあたりGDPは何十位にまで下がる事態の下で、ナショナリズム鼓吹に打って出た。日本会議系の極右の人々の留飲を下げるために。
 わたしは「令和」と聞いて、命令、律令の語感が響いた。令には令夫人、令嬢のように、姿・形がよいという第二の意味があるが、それも命令で従わせて、民を形よく並ばせた結果からくるものだ。
 安倍氏は知ったかぶりで万葉集の解説をして、悠久の歴史と薫り高い文化を表徴する、日本の国柄を次代にひきつぐものだと、「令和」に決めた理由をとくとくと述べた。それはすべて、「令和」が中国に淵源のないことばであることが必要だ。そのために、長い準備期間をもって「国書」を典拠にしたのだ。
 でも安倍氏は、さらに「令和」を提案した文化勲章の万葉学者も知ってか知らずか、すぐに「漢籍」に典拠があるとの指摘が出た。6世紀の梁でつくられた『文選』の漢・
張衡の「帰田賦」と書家・王義之の「蘭亭序」などをふまえて「万葉集」序文は書かれていると。さらにわたしの中国文学に詳しい友人は、令と和をつまんでくっつけて自分の政治的思惑を織り込もうとするやり方に対し、漢籍には令和という術語そのものがあるという。
 安倍首相らも、令和をもちだして、あまり麗しい日本などといいつのらないほうがいいと思う。

 4月1日、外務省が元号使用を原則的にやめ、西暦使用に変えていくと外務省幹部は明言し、その手続きや時期について検討を進めているとした。外交交渉は西暦だったが、省内文書は西暦と元号が混在していて間違う恐れがあったからだ。
 ところが、安倍・菅・萩生田らが巻き返しに出た。4月2日、菅官房長官は、「外務省がそのような方針を固めた事実はきいていない」、萩生田自民党幹事長代行は「元号を大事にする役所であってほしい」と外務省に元号押しつけを宣言した。これを受け、河野外相は同日、「ルールを変更するわけではない」と腰砕けした。
 元号かざして外交できないのは自明だ。だから省内文書も西暦で一本化しないと仕事にならない。いちいち換算しないといけないのは、世界標準からずれている。しかし日本会議系極右は元号命だ。好きなやつが元号まみれで生活すればいいだけで、人に押し付けるな。役所に押し付けるな。役所が元号で文書をつくると関係の人々が困る。銀行も元号を押し付けるな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする