維新の浸透力は以前より強まった。大阪府議選、大阪市議選でそれは示された。脱法行為のダブル選挙で相乗効果が表れた。彼らの思いどうりとなった。任期を残して、入れ替えで信を問う(入れ替えたら信を問うことにはならない)やり方は、識者からは選挙の私物化、脱法行為だと厳しい批判が寄せられたが、彼らはどんなに汚い手でもやったもん勝ちの人たちだ。
松井のビラに、知事の退職金をゼロにしたと大書きしていた。たしかに退職金はゼロだが、同額を分割して各月の給与に上乗せしている。その結果、給与が多くなった分ボーナス算定基準が上がってボーナスがふくれあがった。なんのことはない、より多く手にしているのだ。しかも前払いの形で。とんでもない詐欺手法だ。これはなんども批判されてきたが、臆面もなく宣伝し続けている。多くの市民はだまされている。信者は信じ切っている。経費節約宣伝の中心が、この退職金詐欺宣伝だ。議員も減らした、議員給与も減らした、公務員賃金も減らした、その金を新しい政策に注いだという。ここに維新支持の源泉がある。
地下鉄のトイレがきれいになったというのも、ご利益のようにいわれる。だがこれは平松市長時代に計画がつくられたものだ。
かれらの手法は徹底した既得権益批判、補助金廃止とセットだ。老人は代表的既得権益者だとしてやり玉に挙げられた。補助金を受けている団体はあくらつな既得権益者と描かれた。振興町会への補助金は締め上げられ、いまや公園の掃除を拒否する町会も出ている(ほとんどはやっているが)。商店街連合も公金を受け取る既得権益者。補助金もつかってカラー舗装、アーケードの修理をやっていたが、締め上げられた。商店街支援だけでなく、中小企業企業支援も絞めた。中小企業・商店街支援は重要な経済対策なのに、じつに冷たい。なにわ筋線やカジノに見られるように大資本への支援は大々的にやるのに。障がい者の団体も補助金を切られた。障がい者の自主活動もやりたかったら自費のみでやれと。こうしてあらゆる補助金をカットした。中身を知らない人は、既得権益者を締めあげたときいただけで拍手喝采する。しかしその実際は社会的弱者への支援なのだ。府や市の職員労働者、教職員への権利はく奪は、新憲法下のものとは思えなかった。大阪市の職員思想調査、入れ墨調査、ひげの地下鉄職員処分(裁判で無罪)など治安維持法時代と見まがう。既得権益でいえば、何十億もの政党助成金をもらい続けるのは既得権益者そのものだ。弱者に対して既得権益批判で支援を引きはがすのに、自らは既得権益に浸る。
私立高校生の授業料補助=一部補助から無償まで、中学生の塾代補助は、3~40代の支持形成に大きく作用しているだろう。橋下知事は最初、私学助成拡充を求めた生徒に対し、なんで公立にいかなかったのだ、いやなら政治を変えるか、日本を出るしかないといじめて泣かせた。だがのちに、ここに政治的資源があると立場を豹変させた。
教育に関する個人給付は、維新からの果実の配布だ。そのために従来からの教育費を減らす。すなわち私学への助成金を減らす、公立校への学校管理費を減らす(家庭訪問・様々な付き添いの費用から図書館の費用まで)ことと対になっている。
教育については、維新政治のえげつない支配干渉がある。橋下時代からの教員への激しい攻撃。最近では、大阪市が生徒のテスト結果が政令市でビリだといってテスト結果を校長評価・給与と学校予算に反映させるとした。生徒の成績を単純化して、懲罰的に使うなど許せない。教育上問題を抱える学校にこそ手厚くすべきなのに、その逆のことをする。維新のもとで、府立高校でも進学有名校には特別に手厚く、困難校には貧弱に予算配置をしてきた。昔はすべての生徒に平等だった。だが維新は平気で差別対応をしている。それが府民世論の批判対象にならない。弱肉強食イデオロギーが浸透した時代とはいえ、じつに悲しい。その精神の貧弱が悲しい。
維新の教育政策では、チャレンジテストという教育の条理に真っ向から反するものがある。高校受験の内申書を府のチャレンジテストという一発テストで個々の生徒の内申点を入れかえさせるという制度だ。先生が生徒の常日頃の学習を見て丁寧につけているのに、府の指示でくつがえすのだ。内申と一発テストは対極にあるものだ。さらに、5教科のチャレンジテスト成績で音楽・美術・技術家庭・体育の内申を決めるという荒業も平気でやる。いくらなんでもこれは違法だろう。恐怖の制度だ。生徒の反発は底深い。ボイコットする生徒もいる。政治主導の教育がどんな反教育的なことをやるか、体の震えが止まらない。
維新は選挙で、「大阪の成長を止めるな」とだけ大書したポスターを貼りめぐらした。成長しているのを止めるなというのだが、実はウソだ。維新政治の10年で、2007年を起点にして、GDPは全国が102・3%なのに大阪は98・8%なのだ。可処分所得は全国99・5%、大阪97・7%だ。75歳以上の高齢者の所得は全国でも93・3%に減っているが、大阪はなんと82・8%に激減しているのだ。貧困にあえいでいる。なにが成長だ。ウソもいいかげんにしろ。しかし「大阪の成長を止めるな」のフェイク・ポスターは維新拡大の最後の決め手になった。これでだまされた人は多い。
橋下現役のころは、甲高い声での激しい公務員攻撃・既得権益攻撃を絶やさなかったから、激しい攻防が続いた。だが住民投票に負けて橋下が引退した後は、表面的には静かになり、人の感情を逆なでする場面は減った。だから果実の配布のありがたみをしみじみと感じることになった。
維新政治の基本は、全部面にわたる徹底した新自由主義にある。さらに憲法9条改悪のたくらみをもっている。安倍晋三にとって一番の盟友は、公明党ではなく維新だ。だから、こんどの大阪ダブル選挙で自民公明推薦の小西・柳本候補が落選したのに、安倍は「大阪の結果に安堵した」といったのだ。
松井のビラに、知事の退職金をゼロにしたと大書きしていた。たしかに退職金はゼロだが、同額を分割して各月の給与に上乗せしている。その結果、給与が多くなった分ボーナス算定基準が上がってボーナスがふくれあがった。なんのことはない、より多く手にしているのだ。しかも前払いの形で。とんでもない詐欺手法だ。これはなんども批判されてきたが、臆面もなく宣伝し続けている。多くの市民はだまされている。信者は信じ切っている。経費節約宣伝の中心が、この退職金詐欺宣伝だ。議員も減らした、議員給与も減らした、公務員賃金も減らした、その金を新しい政策に注いだという。ここに維新支持の源泉がある。
地下鉄のトイレがきれいになったというのも、ご利益のようにいわれる。だがこれは平松市長時代に計画がつくられたものだ。
かれらの手法は徹底した既得権益批判、補助金廃止とセットだ。老人は代表的既得権益者だとしてやり玉に挙げられた。補助金を受けている団体はあくらつな既得権益者と描かれた。振興町会への補助金は締め上げられ、いまや公園の掃除を拒否する町会も出ている(ほとんどはやっているが)。商店街連合も公金を受け取る既得権益者。補助金もつかってカラー舗装、アーケードの修理をやっていたが、締め上げられた。商店街支援だけでなく、中小企業企業支援も絞めた。中小企業・商店街支援は重要な経済対策なのに、じつに冷たい。なにわ筋線やカジノに見られるように大資本への支援は大々的にやるのに。障がい者の団体も補助金を切られた。障がい者の自主活動もやりたかったら自費のみでやれと。こうしてあらゆる補助金をカットした。中身を知らない人は、既得権益者を締めあげたときいただけで拍手喝采する。しかしその実際は社会的弱者への支援なのだ。府や市の職員労働者、教職員への権利はく奪は、新憲法下のものとは思えなかった。大阪市の職員思想調査、入れ墨調査、ひげの地下鉄職員処分(裁判で無罪)など治安維持法時代と見まがう。既得権益でいえば、何十億もの政党助成金をもらい続けるのは既得権益者そのものだ。弱者に対して既得権益批判で支援を引きはがすのに、自らは既得権益に浸る。
私立高校生の授業料補助=一部補助から無償まで、中学生の塾代補助は、3~40代の支持形成に大きく作用しているだろう。橋下知事は最初、私学助成拡充を求めた生徒に対し、なんで公立にいかなかったのだ、いやなら政治を変えるか、日本を出るしかないといじめて泣かせた。だがのちに、ここに政治的資源があると立場を豹変させた。
教育に関する個人給付は、維新からの果実の配布だ。そのために従来からの教育費を減らす。すなわち私学への助成金を減らす、公立校への学校管理費を減らす(家庭訪問・様々な付き添いの費用から図書館の費用まで)ことと対になっている。
教育については、維新政治のえげつない支配干渉がある。橋下時代からの教員への激しい攻撃。最近では、大阪市が生徒のテスト結果が政令市でビリだといってテスト結果を校長評価・給与と学校予算に反映させるとした。生徒の成績を単純化して、懲罰的に使うなど許せない。教育上問題を抱える学校にこそ手厚くすべきなのに、その逆のことをする。維新のもとで、府立高校でも進学有名校には特別に手厚く、困難校には貧弱に予算配置をしてきた。昔はすべての生徒に平等だった。だが維新は平気で差別対応をしている。それが府民世論の批判対象にならない。弱肉強食イデオロギーが浸透した時代とはいえ、じつに悲しい。その精神の貧弱が悲しい。
維新の教育政策では、チャレンジテストという教育の条理に真っ向から反するものがある。高校受験の内申書を府のチャレンジテストという一発テストで個々の生徒の内申点を入れかえさせるという制度だ。先生が生徒の常日頃の学習を見て丁寧につけているのに、府の指示でくつがえすのだ。内申と一発テストは対極にあるものだ。さらに、5教科のチャレンジテスト成績で音楽・美術・技術家庭・体育の内申を決めるという荒業も平気でやる。いくらなんでもこれは違法だろう。恐怖の制度だ。生徒の反発は底深い。ボイコットする生徒もいる。政治主導の教育がどんな反教育的なことをやるか、体の震えが止まらない。
維新は選挙で、「大阪の成長を止めるな」とだけ大書したポスターを貼りめぐらした。成長しているのを止めるなというのだが、実はウソだ。維新政治の10年で、2007年を起点にして、GDPは全国が102・3%なのに大阪は98・8%なのだ。可処分所得は全国99・5%、大阪97・7%だ。75歳以上の高齢者の所得は全国でも93・3%に減っているが、大阪はなんと82・8%に激減しているのだ。貧困にあえいでいる。なにが成長だ。ウソもいいかげんにしろ。しかし「大阪の成長を止めるな」のフェイク・ポスターは維新拡大の最後の決め手になった。これでだまされた人は多い。
橋下現役のころは、甲高い声での激しい公務員攻撃・既得権益攻撃を絶やさなかったから、激しい攻防が続いた。だが住民投票に負けて橋下が引退した後は、表面的には静かになり、人の感情を逆なでする場面は減った。だから果実の配布のありがたみをしみじみと感じることになった。
維新政治の基本は、全部面にわたる徹底した新自由主義にある。さらに憲法9条改悪のたくらみをもっている。安倍晋三にとって一番の盟友は、公明党ではなく維新だ。だから、こんどの大阪ダブル選挙で自民公明推薦の小西・柳本候補が落選したのに、安倍は「大阪の結果に安堵した」といったのだ。