橋下大阪市長と維新の会は、すでに議会で否決され、消滅した大阪都構想をあの世から生き返らそうと新たな策謀をこらしている。「大阪都構想の賛成・反対を市民自らが決することを求める住民投票条例」の制定を求める直接請求署名運動を12月21日から大々的に始めた。大阪市の有権者の50分の1、4万3千人の有効署名が必要だ。50分の1はクリアするだろう。ところが維新は40万人分を集めると豪語している。ということは4月の一斉地方選の事前運動的意味合いでやるということだ。
だが今度の衆院選での維新の得票は33万1千だから40万などはじめから無理だ。直接請求は署名押印が必要だから、街頭で橋下が騒いだからといっておいそれとすすむものではない。名古屋での直接請求では、ずいぶん不正な署名もあってもめた。
橋下氏があおってすすめる直接請求を自分に提出させ、橋下氏が条例案を議会に提出する。自分が出すのなら、署名などやらずにさっさと自分で出したらいい。出せるのだから。しかし、政治的パフォーマンスをえんえんとやるための舞台装置として設定したのだ。
結果はどうなるか。議会では条例案は100%否決される。もし、ありえないけど可決されるとすれば、都構想を住民投票で決めましょうという条例案が住民投票にかけられる。しかし投票の結果がどうあろうと、法的には住民投票にはもちこめない。「大都市における特別区設置法」では協定書を機会に提出してその承認を受け、そのうえで住民投票にかけることになっている。だから、パフォーマンス投票をやったとしても住民投票には絶対持ち込めない。
橋下氏がねらうのは、40万?もの直接請求署名があつまったのに、条例案を否決した議会は横暴だ、民主主義に反するなどとわめいて、そのわきあがるばかりの?市民世論をバックに「専決処分」をすることだ。議会が機能していない(14年20月に協定書を否決したことをさす)から、市長が(ついでに府知事も)専決で協定書を承認し、住民投票に持ち込むという算段だ。だがこれは違法行為だ。専決は、災害などで議会が開けない、議会が議決する機能を失った場合に首長にあたえられた権限だ。大阪では議会は開いている、議決はできる、すでに議決した。橋下氏は1日でも議会が閉会した日ができたらそこをねらう。気を許してはいけない。スキをついて違法行為をする可能性がある。
専決処分は、だが、橋下氏の命取りになる。鹿児島県阿久根市の竹原・元市長と同列の極悪人として歴史にきざまれる。橋下氏にとっては苦しいところだ。
そこでもう一つの道を彼は考えている。
橋下徹氏は総選挙最終日(12月13日)最後の街頭演説で、総選挙の敗北を宣言しつつ、都構想についてこう演説した。府議会・市議会で協定書は否決されたが、4月の一斉地方選挙で「勝負をかけ」「過半数を取りに行く。府議会・市議会で必ず議決をとって、そのあと住民投票だ」と叫んだ。
これはプレ住民投票をもとめる直接請求は一斉地方選挙の事前運動として位置付け、府・市議会で過半数を獲得して、あらためて死んだ協定書を承認して、住民投票に持っていこうという態度表明でもある。専決はまずいという考えに傾いているのかもしれない。
だが、府・市議会で維新が過半数をとれない。衆院選では、人気が落ちたはずの維新がもりかえした。橋下氏は、国家・地方公務員給与20%削減、議会定数削減で身を切る改革一本やりの演説でもちなおした。橋下氏の宣伝の打ち出の小づちは、公務員攻撃、議会攻撃、市役所攻撃だ。だが身を切るといいながら、政党助成金でどっぷり税金につかっている。自分は利権を絶対手放さない(維新発足の時は形ばかり政党助成金削減をかかげていた)。このごまかしを見抜けない人々は、また維新に投票した。
総選挙の大阪府の維新比例票は2012年より減って、32%だ。府議会で定数1の選挙区もあるが、市議会は定数2以上だから過半数を占拠することは無理だ。4年前とは情勢がちがう。
そうなると都構想は死んだまま終わることになる。もしかして、そのあと専決処分に出る?
それにしても橋下氏の議論は全く筋が通らない。維新の要望で国会を通してもらった「大都市における特別区設置法」の特別区成立の要件、議会での承認、住民投票での承認、これを平然と無視し、議会で否決するのは民主主義ではないといいつのってきた。
これは憲法改正に当てはめたらどうなるか。憲法改正は、衆参両院の3分の2の賛成で発議し、国民投票での承認が要件となっている。橋下氏の議論は、国民投票こそが直接民主主義で意義があり、議会が3分の2の多数でないと発議できないというのは国民の決定権を制約するものだ、プレ国民投票をやって国会を飛ばして、直接国民投票にもっていくべきだ、やっていい、というのと同じだ。とんでもない珍論だ。
だが今度の衆院選での維新の得票は33万1千だから40万などはじめから無理だ。直接請求は署名押印が必要だから、街頭で橋下が騒いだからといっておいそれとすすむものではない。名古屋での直接請求では、ずいぶん不正な署名もあってもめた。
橋下氏があおってすすめる直接請求を自分に提出させ、橋下氏が条例案を議会に提出する。自分が出すのなら、署名などやらずにさっさと自分で出したらいい。出せるのだから。しかし、政治的パフォーマンスをえんえんとやるための舞台装置として設定したのだ。
結果はどうなるか。議会では条例案は100%否決される。もし、ありえないけど可決されるとすれば、都構想を住民投票で決めましょうという条例案が住民投票にかけられる。しかし投票の結果がどうあろうと、法的には住民投票にはもちこめない。「大都市における特別区設置法」では協定書を機会に提出してその承認を受け、そのうえで住民投票にかけることになっている。だから、パフォーマンス投票をやったとしても住民投票には絶対持ち込めない。
橋下氏がねらうのは、40万?もの直接請求署名があつまったのに、条例案を否決した議会は横暴だ、民主主義に反するなどとわめいて、そのわきあがるばかりの?市民世論をバックに「専決処分」をすることだ。議会が機能していない(14年20月に協定書を否決したことをさす)から、市長が(ついでに府知事も)専決で協定書を承認し、住民投票に持ち込むという算段だ。だがこれは違法行為だ。専決は、災害などで議会が開けない、議会が議決する機能を失った場合に首長にあたえられた権限だ。大阪では議会は開いている、議決はできる、すでに議決した。橋下氏は1日でも議会が閉会した日ができたらそこをねらう。気を許してはいけない。スキをついて違法行為をする可能性がある。
専決処分は、だが、橋下氏の命取りになる。鹿児島県阿久根市の竹原・元市長と同列の極悪人として歴史にきざまれる。橋下氏にとっては苦しいところだ。
そこでもう一つの道を彼は考えている。
橋下徹氏は総選挙最終日(12月13日)最後の街頭演説で、総選挙の敗北を宣言しつつ、都構想についてこう演説した。府議会・市議会で協定書は否決されたが、4月の一斉地方選挙で「勝負をかけ」「過半数を取りに行く。府議会・市議会で必ず議決をとって、そのあと住民投票だ」と叫んだ。
これはプレ住民投票をもとめる直接請求は一斉地方選挙の事前運動として位置付け、府・市議会で過半数を獲得して、あらためて死んだ協定書を承認して、住民投票に持っていこうという態度表明でもある。専決はまずいという考えに傾いているのかもしれない。
だが、府・市議会で維新が過半数をとれない。衆院選では、人気が落ちたはずの維新がもりかえした。橋下氏は、国家・地方公務員給与20%削減、議会定数削減で身を切る改革一本やりの演説でもちなおした。橋下氏の宣伝の打ち出の小づちは、公務員攻撃、議会攻撃、市役所攻撃だ。だが身を切るといいながら、政党助成金でどっぷり税金につかっている。自分は利権を絶対手放さない(維新発足の時は形ばかり政党助成金削減をかかげていた)。このごまかしを見抜けない人々は、また維新に投票した。
総選挙の大阪府の維新比例票は2012年より減って、32%だ。府議会で定数1の選挙区もあるが、市議会は定数2以上だから過半数を占拠することは無理だ。4年前とは情勢がちがう。
そうなると都構想は死んだまま終わることになる。もしかして、そのあと専決処分に出る?
それにしても橋下氏の議論は全く筋が通らない。維新の要望で国会を通してもらった「大都市における特別区設置法」の特別区成立の要件、議会での承認、住民投票での承認、これを平然と無視し、議会で否決するのは民主主義ではないといいつのってきた。
これは憲法改正に当てはめたらどうなるか。憲法改正は、衆参両院の3分の2の賛成で発議し、国民投票での承認が要件となっている。橋下氏の議論は、国民投票こそが直接民主主義で意義があり、議会が3分の2の多数でないと発議できないというのは国民の決定権を制約するものだ、プレ国民投票をやって国会を飛ばして、直接国民投票にもっていくべきだ、やっていい、というのと同じだ。とんでもない珍論だ。