山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

注目した短歌

2010年03月08日 22時28分40秒 | Weblog
 退職教職員の会の新聞『府高退教通信』141号の短歌欄の中で四つの作品が目にとまった。

 ドクちゃんのフジ・サクラ愛でる瞳見て込み上ぐるものあえて拭わず    松田皓平

 アッツ島に「玉砕」せし君23歳吾と同姓同名同郷なりき         川上憲一

 いつよりかはやり来し語に違和感あり納得できぬ「日米同盟」       中川義邦

 市場にて「イスラエル産」蜜柑見たり入植地の産物ならずや        福田 勉


 いずれも大先輩の作品だ。日本も深くかかわったベトナム戦争。かつてベトナム反戦運動に情熱を注いだであろう作者。犠牲の象徴であるドクちゃんに男の子と女の子の双子が生まれた。ベトちゃん・ドクちゃん支援に日本の心ある人々が力をつくしてきた。その双子の名前がフジとサクラだ。作者の長年の思いがあふれる。第2首。アッツ島玉砕者のなかに同姓同名、しかも同郷者をみつけた驚き。疑いを知らず身を投げ出した君は思いもよらず身近にいたのだ。第3首。日米安保体制といわず、日米軍事同盟と正確にいわず、日米同盟とオブラートをかける。しかも国連中心主義から「日米同盟」中心へとシフトしてきた自民党政権。その到達点が国連憲章違反のイラク侵略。取り込まれるマスコミ。第4首。近くの市場で「イスラエル産」と書いた蜜柑をみつけた驚き。もしかしてヨルダン川西岸にあらたに入植をすすめ、パレスチナ人を抑圧しつつ生産されたものではないか。歴史教師の作者には、第1次大戦の頃からこの地をもてあそんだヨーロッパ帝国主義が浮かぶ。そしてアメリカの庇護のもと横暴な侵略をくりかえすイスラエル。その犠牲にされたパレスチナの民族の歴史が市場の蜜柑に集約されて目に飛び込む。作者ならではの視点がさえる。
コメント
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