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マンション仲介

2016年12月26日 | マンション管理
マンションの仲介を行う際には、管理費・修繕積立金の滞納有無と

滞納額の説明をしなければなりません。


でも・・・まれにある例として。

自主管理で理解不足の理事長や会計担当理事の方が、

仲介業者や売主の応答に答えない。教えないというケースがあります。


その際、どうしたらよいのでしょうか?という相談がありました。


その仲介業者には、国土交通省の通達をご存知でしょうから、

その書面を提示して頂き、管理組合理事長の理解を得たらいかがですか?

とお答しましたが。



でも、残念ながら・・不動産業に携わる方のレベルも様々であるため、

時々、大丈夫だろうか?と思われる業者を見かけることも確かにあります。



買主は、売主の管理費・修繕積立金支払義務を引き継ぎますので、

仲介業者は、買主に対し、滞納の有無と滞納額を説明しなければなりません。


区分所有法には、区分所有者が規約・集会決議に基づいて

他の区分所有者に対して有する債権は特定承継人に対しても行うことが

できると定められています。(区分所有法7条1項、8条)。


管理費・修繕積立金は、通常規約・集会決議に基づきますから、

買主は売主の管理費・修繕積立金支払義務を承継することになります。


標準管理規約の中にも「区分所有者の包括承継人及び特定承継人に対しても、

その効力を有する」という条項があり、また実際多くのマンションの規約でも、

管理費・修繕積立金支払義務の承継が決められています。


それは、買主の管理費・修繕積立金の支払義務承継は買主が滞納を

知っていたかどうかにかかわりません。

もし買主が売主の滞納を知らずにマンションを購入していたとしても、

売主の滞納していた管理費・修繕積立金の支払義務を引き継がなければ

ならないことにかわりはありません。


以上の区分所有法の定めを受けて、仲介業者は、仲介に際し、

区分所有権に関し、「建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の

規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額」(修繕積立金)、

及び、「建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額」(管理費)を

重要事項として説明しなければならず。

(宅地建物取引業法35条1項5号の2、同法施行規則16条の2第5号・6号)、

また修繕積立金や管理費に滞納があるときには、滞納額も説明しなければ

ならないこととされています。

(平成13年1月6日国土交通省総動発第3号「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方について」)。


仲介業者に対し買主への説明義務を負わせることにより、管理費・修繕積立金に関し、

買主が予期せぬ支払義務を負うことのないようにしているわけです。


仲介業者が管理費の滞納を買主に正しく伝えず、その後の適切な対応も

怠ったため責任を問われた裁判例もあります。


この裁判例は、中古マンションの売買において、管理費の滞納があったにもかかわらず、

重要事項説明書に「管理費清算金」は「未定」と記載し、管理費の滞納額について、

「2、3か月程度の滞納があるが引渡日までには清算する」と説明していた事案で。


裁判所は、「管理費の滞納額の清算は売買契約の内容として重要な意味を有する事項であり

仲介業者には、売買の仲介業務の履行につき債務不履行があったというべきである」と

判断した事例です。


マンションの仲介をするにあたっては、売主の管理費・修繕積立金の滞納を

管理組合に確認することは、必要不可欠な業務です。


国土交通省のマンション標準管理委託契約書には、宅地建物取引業者が組合員

から委託を受けて媒介等の業務のために管理費・修繕積立金の滞納などの開示を

求めてきたときは、マンションの管理業者は書面をもって開示するものとする旨が

定められています(14条1項)ので、マンション管理業者が管理組合から

管理費・修繕積立金に関する問い合わせに対して回答する業務を受託している

場合には、マンション管理業者に問い合わせをすれば、滞納を知ることができます。


ただ・・・冒頭に戻りますが、自主管理で理解のない管理組合に出会うという

レアなケースもありますが、仲介業者は後々トラブルがのこらないようと

開示する努力する義務があるのです。


嘘のような本当の話ですが・・・過去、私も重要事項調査において

自主管理組合に問い合わせを起こった際、「部外者に教える必要はない」と

何度も断られ。問答し労力を費やしたということもありますが。


これ・・理事長も学習すべきだと思いますよ。
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