2022年4月から「マンション管理計画認定制度」がスタートしました。
この制度は、マンション管理適正化の推進を目的に創設された制度で、
マンションの管理や資産価値などに影響を与える可能性があります。
本制度の開始によって、具体的にどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
まず、『マンション管理計画認定制度』とは?
マンション管理計画認定制度とは、マンション管理計画が一定の基準を満たす場合に
地方公共団体の認定を受けられる制度です。
「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の改正により、2022年4月から開始されました。
マンションは重要な居住形態ですが、築年数が古いマンションが増加傾向にあり、
管理不全マンションが将来増加するという予測であることや維持管理には多くの課題がありますので、
マンション管理計画認定制度の創設は、マンション管理の適正化を推進することが目的です。
マンションの管理水準を底上げするため、必要に応じて地方公共団体が管理組合に
指導や助言、勧告を実施するこが可能となります。
なお、認定を受けることができるのは、地方公共団体が「マンション管理適正化推進計画」を
作成している地域にあるマンションです。
マンション管理計画の認定基準マンション管理計画認定制度の創設を踏まえ、
2021年9月には「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な指針(管理適正化指針)」が策定されました。
本指針では、管理計画認定制度の認定基準などが定められています。
主な認定基準は以下の通りです。
・修繕その他管理の方法 ・修繕その他の管理にかかる資金計画
・管理組合の運営状況・管理適正化指針・市区独自の管理適正化指針に照らして適正なものであること
「長期修繕計画の計画期間が一定期間あるか」「計画に基づいて修繕積立金が設定されているか」
「定期的に総会を開催しているか」といった点が審査されます。
また、管理適正化指針や市区独自の指針に照らして、管理計画が適正なものであるかも判断されます。
※判断項目と助言・指導・勧告の判断基準の目安としては。
地方公共団体は、管理適正化指針や市区独自の指針に基づき、必要に応じて管理組合の管理者などに
助言や指導、勧告を行います。
※助言・指導・勧告の判断基準の目安は以下の通りです。
・管理組合の運営・・・管理者が定められていない
・総会が開催されていない・管理規約 管理規約が存在しない
・管理組合の経理 管理費と修繕積立金額が区分されていない
・長期修繕計画の作成および見直し・・・修繕積立金が積み立てられていない
・その他 組合員名簿、居住者名簿がない
では、『マンション管理計画認定制度のメリット』は以下の通りです。
•マンション管理水準の維持向上につながる・・市場評価・地域価値の向上が期待できる
•購入希望者がマンション管理状況を把握しやすくなる・金利優遇を受けられる(新築の場合)
管理者や区分所有者のマンション管理に対する意識が高まり、管理水準の維持向上につながります。
地方公共団体の認定を受けたマンションであることをアピールすれば、
市場評価や立地している地域価値の向上も期待できるでしょう。
現在は、購入希望者がマンションの管理状況を把握するのは簡単ではありません。
しかし、今後は認定の有無を確認すれば、一定の管理水準を満たしているかを把握できるようになります。
また、中古だけでなく、新築マンションにも管理計画を認定する制度が開始される予定です(予備認定)。
予備認定を受けた新築マンションを取得する場合は、
住宅金融支援機構の「フラット35」の金利が一定期間引き下げられます。
では、反対に『マンション管理計画認定制度のデメリット』は?
マンション管理組合の事務負担が増えることだと思います。
認定を受けるには認定申請書や長期修繕計画を作成し、必要書類を準備して地方公共団体に申請しなくてはなりません。
一度認定を受けたら終わりではなく、5年ごとの更新もあります。
管理水準の底上げは期待できますが、管理組合の負担は大きなものになるでしょう。
マンション管理センターによる「管理計画認定手続き支援サービス(オンライン申請)」を利用すれば、
事務負担の軽減は期待できると思われますが・・。
主体は各管理組合ですから事務処理そのものが無くなるわけではありません。
では、『マンション管理計画認定の流れ』をご紹介。
マンション管理計画の認定申請方法は、「オンライン申請」と「窓口への直接申請」の2つがあります。
オンライン申請の流れは以下の通りです。
1. マンション管理センターへ認定申請依頼
2. マンション管理士の事前確認
3. 事前確認適合通知(適合証)の発行
4. 地方公共団体へ認定申請
5. 認定(マンション管理センターの閲覧サイトで公表)
オンライン申請でマンション管理士の事前確認を受けて適合証が発行されると、
地方公共団体が審査の事務手続きを省略できる仕組みになっています。
窓口への直接申請は地方公共団体によって手続きの流れが異なるため、
申請する地方公共団体に直接確認してください。
事前確認や認定申請では手数料がかかる可能性もあるので、申請前に確認しておくことが大切です。
最後に・・『認定申請の必要書類』は以下の通リですが、
自治体によって異なる場合もあるかと思いますので各自治体窓口でご確認をお願いします。
• 認定申請書
• 総会議事録の写し
• 管理規約の写し
• 貸借対照表
• 収支決算書
• 各戸の修繕積立金滞納額がわかる書類
• 長期修繕計画の写し
• 組合員・居住者の名簿の保証書
必要書類を準備する際は、記載内容や事業年度などの諸条件を地方公共団体に確認しておきましょう。
長期修繕計画については「計画期間30年以上」「残存期間内に大規模修繕工事2回以上含まれている」といった要件があります。
かつ、きちんと総会にて承認された長期修繕計画であることも必須です。
まとめ
マンション管理計画認定制度を利用して地方公共団体から認定を受けると、
マンションの価値向上につながるかもしれません。
ただし、認定基準はマンションを適切に維持管理するうえで最低限の基準を定めているものなので、
認定を受けることが必ずしも価値の向上に寄与するとは限りません。
マンション管理組合の事務負担が増えるデメリットがあり、
認定制度の効果には不透明な部分もあります。認定制度創設の影響は冷静に見極める必要があるでしょう。
先日、マンション診断に伺った管理組合理事長より本制度の登録についてご意見をお尋ねされました。
正直なところ私の個人的見解では、「将来的にはわかりませんが、今は様子見です」とお答えしました。
なぜなら、国土交通省のガイドラインが示す修繕積立金の額 235円/㎡ という数値で試算すれば
経年の管理組合ではその基準に合わせようとすれば、かなりの値上げが必要となる事。
新築の予備認定での積算では、
「正直、これでは将来が恐ろしくてマンション買えなくないですか?」とデベロッパーにつぶやいた事があります。
各地域により資産価値もかなり異なりますし、
建物の劣化状況は建物立地によりかかなり環境の影響も受け異なりますので修繕費用も異なります。
修繕積立金の値上げばかりにとらわれず、しっかり節約できることは節約し、
必要な事にお金をかける。住民が協力し合えば、維持費も安くできる方法もあります。
と・・・本日はまじめなつぶやきでした。
先週も長府の「ナンダン」に行きました。
ここ安くで美味しい◎と思います。スープもナンもおかわり無料です。