ペット飼育の主なトラブル
マンションのトラブルで騒音問題に次いで多いのが、ペットのトラブルです。
マンションという共同住宅でのペット飼育は問題点が多く、
平成の初期頃までは、ペットは禁止にしているマンションがほとんどでした。
このため、身体障害者補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)以外は、
かごや水槽で飼育できる小鳥・観賞魚に限られていたのですが。
少子・高齢化によるペットブームもあり、マンションライフにも多様性が求められ、
ペット共生マンション(ドッグランや足洗い場等の設備付き)なども増え、
マンションでの飼育がタブーではなくなりました。
新築マンションは、販売を促進するため、小型の犬・猫は可とする
管理規約が基本となっています。
このような状況の中、既存のマンションでは、
飼育ルールの不整備やマナー違反、ペット禁止マンションでの飼育など、
さまざまなトラブルが発生しています。
ペットは家族の一員と捉えるなど、人間の感情的側面が介在してしまい、
解決が難しくなります。
★ペット飼育の問題点
1)鳴き声・騒音
犬・鳥・発情期の猫などの鳴き声、フローリング床を走り回る音
2)臭気
共用部分やベランダなどでの糞尿の臭気
3)共用部分の汚れや損傷
糞尿、散歩後の泥、ブラッシングによる毛の飛散、尿による腐食
4)病気の感染
ペットに寄生する害虫や病気の感染等
5)咬む事故
犬・猫などに咬まれる可能性
6)動物嫌悪者の存在
幼児体験等による動物嫌い・恐怖症、アレルギー体質
★ペット飼育禁止マンションでの隠れ飼育問題
専有部分でのペット飼育は、本来は自由であると思いがちですが、
マンションの構造等からみてペットのトラブルが発生しやすく、
他居住者の快適な生活の障害となるおそれがある以上、
規約が禁止であれば従わなければなりません。
もし、違反してペットを飼育した場合、義務違反者としての措置や飼育に
起因する被害の責任を負うことになります。
ところが、禁止規定を無視して飼育してしまうケースが多く、
また、それをみた他の居住者も飼育し始め、黙認状況となってしまうのです。
このような場合、新たな入居者からの指摘がきっかけとなり、
大問題に発展してしまう場合があります。
このような問題に対し、画期的な解決策はありません。
ペット飼育を解禁とすれば、反対者にとって不利益となります。
また、禁止を再度徹底するとしても、現在飼育しているペットをどうするかとなります。
期間を設けて処分を促すか、そのペットのみ1代限り認めるか、
その住戸のみを例外とするかなど選択肢はありますが、決して公平ではありません。
このようにならないためにも、問題が発覚した時点で、早期に解決していくしかないのです。
★ペット飼育のマナー違反問題
ペットの飼育が禁止されていないからといって、好き勝手な飼い方をしてよいわけではありません。
マンションは共同住宅なのです。
共用部分を汚さない、騒音、臭いに気をつけるなど、
他の居住者に対して不愉快な思いをさせないように努力する必要があります。
共同の利益に反する行為は、義務違反者として必要な措置をとることができるのです。
こうしたトラブルが起きないように、ペット飼育については使用細則において
詳細なルールを作成するのと、ペット飼育者で『ペットクラブ』を創設し、
マナー遵守やトラブルの仲裁をするなど、積極的な活動をすることで、
非ペット飼育者との関係を良好にするなどが大切です。
★曖昧なペット飼育ルールの問題
ペット飼育のルールが曖昧なため、トラブルになるケースも多くあります
例えば、「他の居住者に危害・鳴き声・悪臭等の影響を及ぼす恐れのある動物の飼育禁止」
などと定めている場合、迷惑は人によって感じ方が違うため、
何をどの程度という判断がつきません。
例えば、飼育可能なペットの大きさを規定している場合、
飼育初期には規定以内でも、成長するにつれ規定を超えてしまうことがあります。
例えば、頭数制限をしている場合、子供が産まれ規定頭数を超えてしまうことがあります。
このように、一見、規約で定められているようでも、実は曖昧なルールが多くあります。
後々のトラブルのもとになりますので、出来るだけ明文化するようにしましょう。
また、ルール違反者へのペナルティーを定めておくと、より厳格な運用が期待できます。
★ペット飼育禁止なのにペット連れで入居する問題
ペット禁止のマンションであるにも関わらず、
新たな区分所有者がペットを連れて入居するというケースです。
管理組合が問いただすと、販売業者から説明がなかったとか、
迷惑を掛けなければ大丈夫でしょうと言われたとか、
他の居住者も飼育しているみたいなので大丈夫と判断したなど、
さまざまな言い訳をします。
通常、ペットを飼っていて中古マンションを購入する場合は、
管理規約や使用細則は確認するはずですが、つい販売業者の甘言を信じてしまうようです。
もし、販売業者が嘘をついて購入した場合は、重要事項の説明を果たしていないことになり
訴えることができます。
このような問題を引き起こさないためにも、ペット禁止のルールを日頃から
徹底するという努力が必要です。
中には、マンションのエントランスに、交通標識の駐車禁止マークをアレンジして、
犬・猫のイラストを入れたステッカーを貼るなどして、入居者および
入居予定者に明示しているところもあります。
★ペット飼育ルールの作成
『ペット飼育問題』は、飼育を禁止しているマンションだけでなく、
実は飼育可マンションでより多く発生しています。
マナー違反など、指摘することなく黙認してしまっていると不満が溜まり、
何かのきっかけで問題がより大きくなってしまいます。
それは、きちんとした飼育ルールがなく、常識に委ねているのが問題なのです。
居住者が不快にならずにきちんと運用するには、明確な飼育ルールが欠かせません。
また最近では、「ペット禁止!」といっているだけでは解決しないため、
飼育を認める代わりに厳しいルール(細則)をつくるという動きもあります。
仮にルール違反したら、飼育をあきらめる旨の誓約書を提出させるなどして、
ペット反対派の了解が得ているようです。
禁止したまま隠れて飼われるより、厳格にルールを守ってもらう方が、
全員の利害に合うという考えです。
★アンケートの実施
ペット飼育ルールを決める上で、必ず行いたいのが実態や意向を把握するための
アンケート調査です。
現状をすべて追認するということではありませんが、現状をまるで無視したルールでは、
新たなトラブルとなります。
またアンケート作成の際、飼育反対派や飼育容認派の意識操作(誘導質問)がされないよう、
中立的な立場の人か、第三者に作成してもらうことをおすすめします。
★ペット飼育の方向性を確認
実態調査や意向アンケートを元に、管理組合としてペット飼育をどうするのか
方向性を決める必要があります。
考え方として、以下の4通りがあります。
1)ペット飼育の全面禁止
2)一代限りにつき許可
3)制限付きで許可
4)無条件で許可
1)の場合、これまで黙認されていた隠れ飼育者をどうするかという問題が残ります。
期限を設けて何らかの処置をしてもらう必要があります。
それが困難であれば、2)の選択となります。
ペット飼育を容認する場合、4)は居住者の常識に委ねることになり、
さまざまな問題が発生する恐れがありますので、3)の制限を設けるべきでしょう。
★ペット飼育委員会
ペット飼育を容認する際、専門委員会としてペットを飼育したいと思っている
区分所有者がメンバーとなって『ペット飼育委員会』を設置し、
詳細ルールを検討するケースが多いようです。
これはペット飼育者が、ペットを飼っていない人に迷惑をかけないように
することが基本だからです。
また、ペットを飼っていない人がルール作りに労力を掛けるのは、
気持ち的にも納得性がないからです。
★ペット飼育細則
財)マンション管理センターが作成した使用細則のモデル(中高層共同住宅使用細則)に
『ペット使用細則』がありますので、参考にすると良いでしょう。
以下の事項を規定しています。
1)飼育できる動物(種類・大きさ・頭数)・禁止動物
2)飼育の届出(提出書類)・審査・承認
3)飼育の明示義務
4)健康診断・予防接種義務(報告義務)
5)遵守事項(飼育場所・方法)
6)飼育動物の虐待防止
7)飼育による損害賠償責任
8)違反に対する措置等(禁止)
9)死亡した場合の措置
★ペットクラブ創設
ペットを飼う人と飼わない人との円滑な関係を目指すための組織として
『ペットクラブ』(ペット飼育者組織)を設置し、参加することを条件と
している管理組合もあります。
主な役割は、ペット飼育に関する情報交換、飼育者に対する監督、指導、
トラブルが起こった場合の調査、解決などです。
このような組織があると、飼育者の意識も高まり、他の居住者と良好な関係が
保てる可能性が高くなるようです。
ペッット飼育にかかわるトラブルを見ると、飼い主がしつけや周囲への配慮を
怠ったために起きたと思われるものも少なくありません。
その意味でも、このように飼育者組織を結成し、飼い方の自主規制を
行ってもらうのも有効な方法といえるでしょう。
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と・・・色々とつぶやきましたが。
最近の傾向としては、旧い既存マンションで、暗黙飼育をしてるケース。
規約では、「不可」となっているものの。
現実には、ペットを飼育している住戸が多く。
暗黙を続けているうちに、ペット可マンションのような現況になっているというケース。
こんな時、規約・規約と言っても前進がない為。
とりあえず。実態把握のアンケート調査を実施。
どの位の住戸でペット飼育をされているのか?
そこを把握したうえで、ペットが可能になれば。「飼育の希望があるかどうか?」
あるいは、ペット飼育についてどう思っているのか?等の意見を聞くと。
そこから、今後・・どういう風に運営してゆくのか?を検討するという具合。
今年の総会では、今まで禁忌としていた。あえて触れなかった部分にメスを入れますよ。
あまりにも、改正されていない管理規約はきちんと改正を行い。
現行の法律に合わせる。現行の運営に合わせる。こんな地道な事も必要なのです。
本日の甘味・・・塩シュー。珍しいでしょ。
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