湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

関門トンネル

2008年03月04日 | 日常生活
 学生のとき、自転車乗りにとってはマイナーな中国地方を、山のなかの林道を中心に大山あたりから山口市まで走った。1日に走る距離は短めで、途中大山に登ったり、隠岐にわたってのんびりしたりしながらの2週間のキャンプツーリングだった。

 その旅の最後に、それまでずっと積んできたキャンプ道具を降ろして、山口市から関門トンネルを通って門司まで往復することにした。せっかくここまで来たのだから関門トンネルをくぐって九州の地を踏んでおきたかったのだ。

 少し遠回りをして100kmほど走って関門トンネルをくぐったときはなんとも不思議な気分だった。笹子トンネルのようにもっと長いトンネルをくぐったことはあるけれども、車のまったく来ないそんな長いトンネルを走るのははじめてで、間の抜けた静けさがとても奇妙だった。そして当然なのか当然ではないのかわからないけれども、自分の頭の上に海があるという実感がどうしてもわかなかった。

 ただそれでも自分の足で九州の地を踏めたことにはやはりとても満足感があった。鳥取(の山のなか)までは輪行でやって来たにもかかわらず、それでも「こんな遠くまで走って来た!」みたいな達成感は確かにあった。だから思うのだけど、もし湘南からノンストップでずっと走っていって関門トンネルを越えたら、いったいどんな気持ちがするのだろう。下関までの1100kmを自転車で走り、関門トンネルをくぐって九州の地を踏んだら果たしてどんな気持ちになるだろう。きっと感動なんてことばじゃ言いあらわせないような衝動に襲われるのではないか。。。

 もちろん僕はそんなことはしないけれども、もしかしたら今年、その激しい心の衝動のお裾分けに預かれるのではないかと今から結構わくわくしていたりするのである。