白神岳、森吉山、秋田駒ヶ岳、姫神山
10月1日(木)、函館より青森へ。連絡船は14時に出航する。青森まで意外に時間を要したが、船の速さとはこんなものだろう。しかし、料金は高かった。青森港からしばし街中を走り、ナビに導かれて青森インターから東北自動車道に乗り、浪岡インターからは国道101号線に入る。鰺ヶ沢に出るまで幾分気を使う。見知らぬ街の夕暮れ時は何かと心細い。
五所川原を過ぎ、鰺ヶ沢に着く。後は大間街道を海岸沿いに南下すればいい。青森界隈は100名山などの折りに訪れたこともあるが、1,2度では何も分からい。 しかし、この大間街道は海岸沿いの一本道なので幾分記憶に残っている。遅くなったので道の駅「ふかうら」で車中泊とする。ここには風合瀬という美しい名前の海岸がある。「かそせ」と言う。以前通過した折、心に残った名前だ。道の駅は人気もなく静か。
翌2日(金)、大間街道を南下し、青森から秋田に入る。白神岳登山口駅を目標にして、やっと早朝の白神岳登山口駐車場に着く。この日、天気は曇り。駐車場に車を止めて準備をしていたら、妙な感じの人たちが集まってきた。話を聞くと、地元の案内人グループの研修会だそうな。道理で一般の登山者とは感じが違うはずだ。
登山口は、駐車場を数分登ったところにある。7時25分スタートする。
日本海が見えます。
避難小屋は頂上のすぐ近く。頂上付近からの写真です。立派なトイレもあります。
10時10分頂上。
立派な避難小屋です。ここに泊まれば素晴らしい朝夕の景色が見えることだろう。
白神岳の頂上から、前には日本海が、そして、後ろには哀しいまでの山また山の白神山地を見ることになる。秋色濃い山道を下る途中、いくつかのパーティに出会う。山自体はどちらかというと楽な方だが、群馬県からやって来たという一団はだいぶ苦しそう。たぶん寝不足のせいだろう。12時40分駐車場まで下山するが、間もなく雨が降る。雨の中、次の山森吉山へ向かう。途中、クマ牧場とマタギの里資料館を見学する。
東北(秋田)の田園風景。島根とはずいぶん違うのが面白い。
クマ牧場。
エサをもらおうとして様々なジェスチュアーをする。俺にくれと両手をたたいてアピールするクマ。
マタギの里資料館では、マタギについての認識を新たにすることができた。彼らの生態(言葉が悪いか?)について書かれた小説2編が「直木賞」を受賞している。一編は、「黄色い牙/志茂田景樹著」で他の一編は「邂逅の森/熊谷達也著」だ。この資料館でそのうちの一編「邂逅の森」を購入する。とにかく面白いので停めた車の中で読みふけった。クマとの壮絶な戦いは迫力がある。また、彼らは大雪の中でもクマを追って行動する。雪山のノウハウを熟知しているのだ。一読をお勧めします。
この日は、とりあえず森吉山登山口まで行ってみることにする。こめつが山荘前に登山口があるが、夕暮れ時なのでひっそりと静まりかえり、時折霧が流れる。登山口の確認を終えてから、温泉をざがす。温泉は少し引き返した所にあったが、それは何と駅の中。温泉つきの駅は珍しい。駅前には食堂もあり、ここで夕食を摂る。話し好きのおばさんを相手に酒を飲み、幾分酔っぱらう。駅前の駐車場で車中泊とする。森吉山はかってはスキー客で賑わったそうだが、今はリフトの撤収がおこなわれているとのこと。スキー客の減少やら温暖化も影響しているらしいいが・・・。ただ、阿仁スキー場のゴンドラだけは稼働しているとの情報を得て結局こちらのコースから登ることに決める。
3日(土)、少し雨っぽい天気だがゴンドラの始発を待って頂上を目指す。頂上へはゴンドラから約1時間。湿原が続きます。ただ、今は花はない。
立派な山小屋。中でパトロールの方が休んでおられた。
頂上の標識が見えてきます。
頂上です。ゴンドラから約1時間。ガスが出て視界悪し。
森吉山のご神体。冠岩。
頂上は写真左奧。ガスに煙る。今年の紅葉はあまりパットしなかった?。
ゴンドラ山頂駅。シーズンだけの稼働なのかよく分からないがこの日の土曜日は運行していた。
この日の200名山はハイキングのような感じで終わる。100名山の岩木山でもそうだったが、ゴンドラなどを利用して登った山は何か味気ない。それに、後ろめたさのようなものを後々まで引きずるものだ。しかし、これもしょうがないと割り切るより他はない。そんな思いを残してマタギの山を下り、国道105号線阿仁街道から田沢湖畔に車を回す。まずは、今夜のパーキングを探さなければならない。
湖畔には、どこでもそうだがパーキングがあり、運が良ければキャンプ場もある。この田沢湖も例外ではなかったのだが、明日のことを考えて秋田駒ヶ岳登山口まで行くことにする。くねくねとしたやや狭いと思える道に入る。これで本当に登山口まで行けるのかと心配。夕暮れ時だからよけいに焦る。対向車でもきたらどうなることかと思いながらも、無事8合目登山口の駐車場に着く。立派な建物があるが人気はない。花の山として有名なこの秋田駒も、シーズンが過ぎると閑散としてなぜかうら悲しい。はっきりしない天気が続くこの頃、夕暮れ時はいつも霧だ。その霧が折からの風にあおられて吹きすぎる。まさに幽界にでも来たかのようだ。今日も車中泊、早めに寝る。
翌日の8合目駐車場
25日(日)、5時50分登山開始。駐車場には数台の車。昨夜遅くやってきた登山者のものだろう。今日も天気はパッとしない。頂上辺りはガスに覆われて皆目見当がつかない。時折下界が顔をのぞかせる。しっかりした登山道なのでとにかくその道をたどることにする。登山道は山を巻くようにつけられているので歩きやすい。ひと登りすると傾斜は落ちるが相変わらず視界不良。男岳への標識に導かれ頂上へ。
ガスの合間に車道が見える。
男岳頂上。ここが秋田駒の頂上かと思っていたら・・・。
頂上にある湖。ガスの中、突然姿を現す。まさに幽界をさまよう感じ。下北半島の恐山を思い出させる。
男女岳(おなめ岳と読むが女目ともある)1637mの頂上。秋田駒ヶ岳には男岳、女岳があり、さらに男女岳がある。下調べをしてなかったので男岳が主峰かと思っていた。湖があることも知らなかった。
横岳に着いたあたりから視界も良くなり、田沢湖が見える。周囲の山々も幾分見えてきたがよく特定できない。森吉山、岩手山、早池峰山など視界の中にあるはずなのだが。
写真右手が男女岳、中央やや左に男岳。焼森から写す。花の時期はまさに天上の楽園だろう。
9j時20分駐車場着。この駐車場を出るためには、定期バスの後ろについて出るという規則になっている。そのため、勝手に出ようとしたらしかられた。定期バスがスタートするまでしばし待機する。いずれ、マイカーの乗り入れは禁止となるような気がする。乗鞍や上高地のように・・・。
秋田駒ヶ岳への車道から解放され、一路盛岡方面に向かう。姫神山が目当てなのだがその前に寄りたいところがある。渋民村にある啄木記念館だ。秋田街道は、盛岡辺りで津軽街道と奥州街道に分かれ、渋民村はこの奥州街道(陸羽街道)にある。渋民村という呼び名は、旧の呼び名かもしれない。地図には渋民としか載っていない。岩手山が姿を現す。100名山だけあってやはり大きな山だ。その点、姫神山はか細い感じがする。
啄木の 育ちし街にそびえ立つ おおきなる山 富士かとぞ思う
記念館の前の啄木像。教師時代の子供らと。奧が旧小学校と住んでいた家。それぞれ復元したものです。
啄木が使用したオルガン
資料館裏の高台にある歌碑。ここから岩手山がよく見える。
さわやかな小春日和の 姫神山 薄霞していともやさしき
姫神山と登山口駐車場
頂上からは岩手山がよく見えます。啄木の好きだった山は姫神山か岩手山か?
そういえば、岩手山の登山口には宮沢賢治の歌碑があった。それに、なぜか芭蕉の句碑まであったが、これは、俳句研究会の人たちが建てたものらしい。
姫神山頂上から見る岩手山。
駐車場付近に咲いていた月見草。ちょっと時期はずれなのだが・・・。
これはウメバチソウです。島根県では、船通山で見かけます。
リンドウ。この花も近年少なくなってきました。
姫神山は早く終わった。近くにまだ200名山はあるが里心がついたので帰ることにする。東北自動車道滝沢I.Cから北上Jctまで南下し、秋田自動車道で秋田港に向かう。秋田港からフェりーで帰る予定が、何と出航は隔日とのことで、明日まで待たねばならない。フェリーをあきらめ、日本海沿いをさらに南下道の駅象(きさかた)で車中泊とする。ここで泊まるは3度目か?。海沿いにあり、温泉がある。鳥海山が望める。
象潟は、芭蕉奧の細道でも有名。
象潟や 雨に西施が ねぶの花
海岸に西施の像がありちょっとした観光地になっている。西施とは、古代中国の美女。傾国或いは傾城(けいせい)の美女とされる。その美女を見下ろしながら温泉に浸かり、湯上がりのビールで一人乾杯する。明日は松江に帰れそうだ。
これで、09年度の200名山は打ち止めとする。次年度2010年は、50山くらいは登りたいと思う。2011年に200名山を終え、その後は、300名山に向かう予定です。
2010年1月1日は、富士山頂。その後、各地のスキーゲレンデを巡り、チャンスがあれば各地の山々の頂上に立ちたいと思っています。
よいお正月をお迎えください。
門松を作ってみました。まあまあのできばえでしょう?口を開けて笑っているような感じがいいですね。コツは竹を斜めに切ること。チェンソーで切りました。