知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

旧統一教会のプレスリリースに、メディアは、、、、

2022年08月23日 | 国家論
結構、興味深い展開になってきたので、軽く解説しておきます。

******
問題のプレスリリースは、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のHPより引用。
https://ffwpu.jp/news/3915.html

【異常な過熱報道に対する注意喚起】
現在、民放のワイドショーや報道番組、新聞・週刊誌記事を中心として、
世界平和統一家庭連合(以下、当法人)および友好団体等に対する異常ともいえる過熱報道が続いております。

これらのメディア報道は、日本国憲法第20条で保障された「信教の自由」を無視した魔女狩り的なバッシング行為であり、
当法人および友好団体等に対する著しい名誉棄損であると同時に、当法人の信者ならびに関係者に対する深刻な人権侵害に当たります。

また、当法人の関係施設および信者の自宅周辺で繰り返される強引な取材は、
再三に渡る注意喚起にも拘らず、現在も断行され続けており、
こうした強引な取材行為は当法人信者に深刻な不安と精神的ダメージを与え、
身の危険を感じさせる程の恐怖となっております。
当法人は、再度、報道機関に対して強行取材の停止を求めると共に、
これまでの強行取材によって、当法人信者が被った心的被害に対する謝罪を要求します。

さらに、一部の民放ワイドショーが意図的にたれ流す元信者と称する人物の証言インタビューには、
事実確認が行われたとは到底思えない内容が散見されます。
それらの報道が視聴者に与える誤解、影響は甚大であり、
報道によって誘発された差別・ヘイト感情はそのまま当法人の全国の教会にぶつけられ、
現在までに寄せられた殺害予告を始めとした誹謗中傷の数々は、
優に1万件を超え、街宣カーによる脅迫行為や教団施設への落書き行為等は日に日に増え続け、
その影響は信者家庭における離婚騒動や親子断絶問題にまで発展しております。

一方、多くの報道機関が、政治家と当法人および友好団体等との関わりをテーマに
「祝電を送った」「イベントに参加した」等、
政治家が当法人および友好団体等と少しでも接点を持っていれば、まるで犯罪を犯したかのような取り上げ方を繰り返しております。
また、一部の新聞社や通信社は政治家に対し、当法人および友好団体等との関係を炙りだすことを目的とした卑劣なアンケート調査を実施し、
まるで「魔女狩り」や「踏み絵」を行うかの如き不当な追及を行ってきました。

仮に、当法人および友好団体等が、
現在各種メディアで報じられているような「反社会的」で関係を持つことが許されないような団体だったとすれば、
各報道機関はその調査能力を総動員して、
過去から現在に至るまで当法人および友好団体等に全く関わらないように注意を払ってきた筈です。

しかし、これまでそのようなことは一切ありませんでした。
それどころか、当法人および友好団体等が開催するイベントへの取材活動を始め、
協賛、後援、寄付、ボランティア派遣等を通じて、
実に多くの報道機関が密接に関わって来たことは疑いようのない事実です。

なお、現在、各報道機関と当法人および友好団体等とのこれまでの関わり等について、
過去に遡って詳細な調査を進めております。
調査結果がまとまり次第、全面的に公表させていただく予定です。

再三に渡り申し上げますが、各報道機関に於かれましては、事実に基づいた報道を心掛けていただき、
無闇に当法人および友好団体等を陥れることを目的とした報道を行わないようお願いいたします。

今後は、事実に反する報道や不当に当法人等を貶める報道に対しては、
法的手段を講じて厳重に対処させていただく所存です。
以上
********



このプレスリリースを報道しているのは、
ヤフーニュースで検索したところ、弁護士.comとデイリーのみ。
他のメディアは、あれほど会見や前回のプレスリリースを叩いていたのに、完全無視。

お決まりのボードで、図式化するのかなと思い、
 掃除しながら、モーニングショーなどのワイドショーをみていた
のですが、 
 全く触れず。

旧統一教会と政治家との関与も、
 立憲民主党の枝野幸男・前代表、安住淳・前国対委員長、
 岡田克也・元外務大臣などが
 旧統一教会と関係の深い「世界日報」から取材を受けていた
というニュースは、どのメディアも、あまり報道していない。

自民党以外は、取り上げたくないのか?
それとも、プレスリリースにやばいと思ったのか、、、

今回の宗教の自由と報道の自由は、来年の司法試験の論文のネタになってもおかしくないほど、
 憲法学的には興味深いテーマ
だと思います。

ちなみに、令和4年の公法系の論文は、
 学術会議問題をオマージュしたかのような研究助成金や大学の決定の是非
を問うものでした。


まず、前提知識として放送法。
放送は、新聞と異なり、電波の有限性や、影響力の大きさから、
 法律の規制
があります。

チャンネルは有限なので、国民のためになる会社に割り当てます。
その代わり、国民のためになる放送をして下さい。
テレビは、影響力が大きく、人権侵害のおそれがあるので、
 報道倫理をしっかり守ってください。
 国民のためになる番組、報道倫理を守ってくれることを前提に、ビジネスチャンスである放映権を与えます。

これが、大前提。

新聞は、テレビほど影響力が大きくなく、電波と異なり、自ら反論の機会がある(と考えられている)ので、
 法律による規制はありません。

放送法では、
第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
と番組編集の自由を認めつつも

第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、
次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
という規制をしています。

第五条 放送事業者は、放送番組の種別(教養番組、教育番組、報道番組、娯楽番組等の区分をいう。以下同じ。)
及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準(以下「番組基準」という。)を定め、
これに従つて放送番組の編集をしなければならない。
*****

つまり、報道番組と娯楽番組とで、番組基準が異なります。

例えば、テレビ朝日では、放送法に従って、こんな感じで定めています。
HPより引用 https://company.tv-asahi.co.jp/banjyun/
**************
1.テレビ朝日は、社会的責任と公共的使命を重んじ、
不偏不党の立場に立って、真実を伝え、公正な姿勢を貫くとともに、
放送の品位を高め、表現の自由を堅持する。
 放送に当っては、民間放送の特色をいかし、豊富多彩、健全かつ清新な番組編成を方針とし、
文化の向上、教育教養の普及に寄与するとともに、正確迅速な報道、豊かな生活情報、
および多種多様な魅力ある芸能娯楽を提供し、広告の公正な媒体として、
公共の福祉と産業経済の繁栄に貢献し、社会の良識と信頼にこたえるものとする。

2.番組の編成に当っては、報道番組、教育番組、教養番組、娯楽番組、および広告などの調和をはかり、
その配列は視聴者の生活時間を考慮して構成する。内容については、社内外の審議機関を活用し、
その質的向上と品位の保持に努め、普遍性のある香り高い放送を目指すものとする。
 以上の基本方針にもとづき、編成する番組種別は次のとおりとする。

(1)報道番組
 報道番組は、ニュース、実況中継および時事問題に関する解説、論評などを内容とする。
放送に当ってはテレビジャーナリズムの特性を活かし、事実を正確、迅速、公正に取扱う。
 スポーツに関する番組についてもこれに準ずる。

(2)教育番組
 教育番組は、学問、芸術、技芸、技術などの分野において視聴者の生涯にわたる自己啓発に資するとともに、
能力の開発、資質の向上などに役立つ内容とする。放送に当っては、その対象を明確にし、有益かつ適切な内容を効果的に編成する。

(3)教養番組
 教養番組は、社会、経済、科学、文芸、美術などさまざまな領域において、広く国民の知識見聞をひろめ、
情操を培い、倫理性を高めるとともに、視聴者にとって豊かな生活の情報源となるような内容とする。
放送に当っては、その意図するところがわかりやすく、親しみやすく視聴されるよう配慮する。

(4)娯楽番組
 娯楽番組は、ドラマ、芸能、音楽、映画、演劇など視聴者に喜びとやすらぎをあたえ、
明日への活力の糧となるような幅広い内容とする。放送に当っては、健全な社会生活の潤滑油の役割を果たし、
明るく楽しい番組とするように配慮する。

************

ニュースは、報道番組。
ワイドショーは、娯楽番組。
だから、報道番組ほどの、正確、迅速、公正は要求されない。
そのため、反対当事者の意見を放送しなくてもよいし、
コメンテーターが自分の意見を発言しても、それは、個人の自由。

これが、モーニングショーが、テレビ局員に言いたい放題言わせて、
反対当事者の意見については、報道しなくてもよいという理由。

ただ、裁判では、
 ワイドショーで取り上げる内容は、「時事問題に関する解説」を含むことから、
 テレビ局の基準によれば、報道番組に当たる
という認定がなされる可能性が高いと思います。

報道番組に当たるとなると、
 政治的に公平である必要があり(今のような専ら自民党批判や反安倍無罪は公平性を欠く)、
 反対当事者の意見を踏まえ、
 意見が対立している問題について、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする
ことが放送法で要求されることになります。

その結果、放送法違反が認定されることになる。

*************

旧統一教会のプレスリリースは、
 異常な過熱報道(魔女狩り)
 信教の自由の侵害
 名誉毀損
 一方当事者のみの意見の放送(放送法違反)
 関与した政治家のつるし上げ批判(反社会的団体の独断的な認定)
を主な争点としています。

最後の点は、
 マホカンタ(ドラクエの呪文を跳ね返す呪文)
です。

メディアの論法は、
 旧統一教会は、霊感商法や多額の献金の強要など悪の組織である(独断的な認定)。
 そんな旧統一教会に関与した政治家は、悪の手先だ
というもの。

散々煽った結果、
 自分の会社も関与していたことが判明した
場合、
 そのダメージは強烈なものとなります。

まさに、天に唾する。
《上を向いてつばを吐くと、それがそのまま自分の顔に落ちてくるところから》
人に害を与えようとして、かえって自分に災いを招くことのたとえ。

メディアが攻撃を抑えているのも、
 過去の旧統一教会とのつながりをチェックしている
のと
 今までの放送内容について、コンプライアンス部の弁護士と協議をしている
ためであると考えられます。

ちなみに、
 裁判になった場合に、自分の弁護士費用は、メディア会社が負担することになる
ので、
 仮に勝訴したとしても、かなりのダメージになる
と思います。
(不法行為に基づく損害賠償請求の原告の場合は、認容額の1割程度が弁護士費用として認められるが、
被告の場合は、弁護士費用は、全額自分負担。)

さらに、教団や信者の勝訴判決が出れば、
 数万人の信者が続くおそれがある。

これは、
 過払い金返還請求訴訟によって、消費者金融が破綻に追い込まれたように、メディアが破綻に追い込まれることになる
ということ。

消費者金融会社は、弁護士費用を捻出できず、支店長が代理人として裁判をしていたそうです。

テレビ局としては、制作費を削減している関係で、
 多額の裁判費用の捻出は痛い。

急に、トーンダウンしたのは、こういう理由からだと思われます。

ちなみに、
 NHKは旧統一教会に及び腰だ
とネット上の批判がありましたが、
 NHKはワイドショーのような「グレーの番組」がないためです。

今日のNHKのニュースで、
 旧統一教会の二世が立憲民主党の会議に出席して被害を訴えた
という報道がありましたが、
 これに対し、旧統一教会の見解は、・・・・と反対当事者の見解も報道していました。

これが、
 放送法による縛り
というものです。

個人的には、
 霊感商法や多額の献金問題を抱える団体については、法律による規制をすべき
だと思います。

ただ、
 ワイドショーを中心とするメディアのやり方は、視聴率(お金)のために、
 あえて騒ぎ立てている炎上商法
のようで、
 放送法の理念をないがしろにする許しがたいもの
であると思うので、
 裁判で徹底的に戦ってもらいたい
ところです。

それが、
 司法国家
というものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする